ホンダの記事一覧

2020/01/14

F1技術解説レビュー レッドブル:2019年からの規約変更で苦戦もオーストリアGPのアップデートで覚醒

 レッドブル・ホンダの初年度は、新たなパートナーであるホンダの戦闘力が当初は疑問視された。ところが弱さをさらけ出したのはむしろ、レッドブルRB15の車体だった。しかし第9戦オーストリアGPを境に、その後のレッドブルとホンダは着実に結果を出し続けた。

■ニューウィは、新規約への適応が苦手?

 2011年来、エイドリアン・ニューウィの手によるマシンは、後方に向かって車高が上がって行く、『高いレーキ角』が特徴だ。ディフューザーのボリュームを上げることで負圧が増大し、より多くのダウンフォースが発生する。さらにリヤサスペンションがしっかり機能していれば、ストレートの全開走行の際にはリヤが沈むことでフロアは水平に近い位置になり、ドラッグは軽減される。

 ただし、欠点も大きい。一番の問題は、前後輪が巻き起こす乱流がフロア下に侵入しやすいことだ(青矢印参照)。その結果、フロア下のベンチューリ効果が大きな影響を受け、ディフューザーが期待した性能を発揮してくれなくなる。そのためエンジニアたちはフロア脇に複雑な切り欠きやデフレクターを取り付けるなど、いくつもの工夫を凝らしてきた。

 マシン前部に関して言えば、前輪が起こす乱流をフロントウイングによって両脇に飛ばす、いわゆる『アウトウォッシュ』が2018年までは効果的だった。

■レッドブルに特に不利だった規約変更

 しかし2019年の技術レギュレーションは、その乱流が追い抜きを厳しくするとして、大幅に制限した。独特なレーキマシンで強大なダウンフォースを発生していたレッドブルマシンにとって、アウトウォッシュは欠くことのできない武器だった。なのでその大幅な制限は、ライバルチームよりはるかに大きなダメージを、レッドブルに与えたのである。

 クリスチャン・ホーナー代表は、低迷を続けたシーズン前半をこう述懐している。「マシン挙動は極端にピーキーになり、運転だけでなくセッティングも非常に難しくなってしまった。何が起きていて、それにどう対処すべきか理解するのに、われわれは非常に時間がかかってしまった。それがようやくできたのが、(シーズン初優勝を遂げた)オーストリアGPだったということだ」

 レッドブルのフロントウイングはメルセデスと同様の、外側に向かって上がって行く形状である。ダウンフォースを稼ぐのに効果的だが、アウトウォッシュには向いていない。それでもフロアがほぼ水平で、ホイールベースの長いメルセデスW10は、そこまで厳密なアウトウォッシュを必要としない。シーズン前半の両者のパフォーマンス差には、そのことも大きく影響していたといえるだろう。

■モナコ、そしてフランスでのアップデート

 そのハンデキャップ克服の最初の大きなステップが、第6戦モナコGPでのアップデートだった。フロア両脇に付けられた4つの小さなデフレクターが、フロア下部への乱流を防ぐ役割を効果的に果たした。1970年代に一世を風靡したグランドエフェクトカーの、サイドスカートと同じ原理と思ってもらえばいいだろう。

 しかしそれだけでは、メルセデスとフェラーリの追撃には十分ではなかった。前輪の乱流のできるだけ解消するための次の工夫が、新形状のフロントホイールだった。アウトウォッシュ効果を狙った中空のハブは昨年から禁止されたが、レッドブルの空力エンジニアたちは規約ぎりぎりまで攻めて、各スポークを極限まで細く、さらに中心部に向かって大きな空間が開けたのだ。

■オーストリアでの覚醒

 そして次の第9戦オーストリアGPで、レッドブル・ホンダはついに初優勝を遂げる。ここでも新たな空力アップデートとして、フロントウイングにいくつかの形状変更を行った。外見からは大きな変更とは思えなかったが、『フロントとリヤのバランスが格段に改善された』と、マックス・フェルスタッペンは手放しで評価した。具体的にはリヤが安定したことで、コーナー進入からクリップに向けて高い速度を維持できるようになったのである。

■賭けに勝ったレッドブル・ホンダ
 その後もほぼ毎戦優勝争いに絡むようになったレッドブル・ホンダだったが、夏休み以降はその勢いを失ってしまう。第13戦ベルギーGP、第15戦シンガポールGP、第17戦日本GP、第20戦ブラジルGPと、アップデートの手が休まることはなかったが、その効果は限定的に見えた。

 数字の上でも最終戦までの9戦でレッドブルRB15は、最速マシンに比べて平均0.483%遅い。1周80秒のコースと仮定すると、約0.4秒の遅れとなる。獲得ポイントで夏休み前のオーストリアから第12戦ハンガリーGPまでは、平均20.33だったのが、ベルギーGP以降は19.22まで落ちている。ただしこれはスタート直後の度重なる接触事故など、車体性能とは直接関係ない要因が大きかった。

 レッドブルは多くのシーズンで、開幕序盤は相対的な戦闘力でライバルに負けている。それが中盤以降盛り返し、最後には最強かそれにほぼ近いレベルのマシンに仕上げる。そんな独特のパターンを、2019年も踏襲したといえるだろう。そこにはトロロッソ同様、ホンダ製パワーユニットの貢献も大きかった。飛躍的に向上した信頼性の下、ホンダPUはどんどんパワーアップして行った。

 しかし類似した空力コンセプトであるメルセデスとのパフォーマンス比較を見ると、メルセデスが苦手なサーキットでも被害を最小限に食い止めているのに対し、レッドブルはパフォーマンスの落ち込みが大きいことがわかる。2020年に本気でタイトル獲得を目指すのなら、シーズンを通して安定したパフォーマンスを発揮することが、何よりも重要だろう。

2020/01/08

F1技術解説レビュー トロロッソ・ホンダ編:飛躍のカギとなったホンダPUの継続性とハース型の開発手法

 2019年シーズンのトロロッソSTR14はこの5年間で初めて、テクニカルディレクターだったジェームズ・キーが設計に携わらなかったマシンだ。彼らはその代わりにレッドブルとの開発協力をいっそう緊密化させたが、独自路線も決して捨てたわけではなかった。

・飛躍のカギは、ホンダとの関係継続?
 2019年シーズンのトロロッソはコンストラクターズ選手権において、前年の9位から6位に躍進。しかも5位ルノーとは、わずか5ポイント差しかなかった。さらに彼らが一度も上がれなかった表彰台をドイツ、ブラジルと、二度にわたって獲得している。

 成功のポイントは、ふたつあった。まずホンダ製パワーユニット(PU/エンジン)を2年連続して供給されたことだ。それまでトロロッソのパワーユニットは、2014年にフェラーリからルノーに替わって以来、2016年にフェラーリに戻し、翌17年に再びルノー、そして2018年にホンダと、ほとんど毎年搭載PUが変わっていた。そのため車体開発には、多大の妥協が払われていた。それが2019年シーズンのSTR14は、ホンダ製PU搭載を念頭に開発されており、そのメリットは当然ながら非常に大きかった。

・ハース型の開発手法

 そしてもうひとつが、レッドブルとの関係強化である。これもまた、レッドブルがトロロッソ同様にホンダと供給契約を結んだからこそ可能になったのだった。

 レッドブルとトロロッソの密接な協力関係は、フェラーリとハースのそれを彷彿とさせる。トロロッソはミルトンキーンズのレッドブルテクノロジーから、次のようなパーツの供給を受けている。2018年型ギヤボックス(内部機構+カーボン製ケーソン)、油圧システム、電気システム、サスペンション内部パーツ。さらにリヤアクスルはほぼレッドブルRB15のままだし、一部のパーツはRB14から移植されている。

・どの分野を独自開発したのか

 現在の技術部門を統括するのは、ジェームズ・キーの右腕だったジョディ・エディントンである。上記のパーツをレッドブルテクノロジーから供給されたとはいえ、彼のチームが独自開発した部分も多岐にわたっている。冷却系、パワーユニットの車体への完璧な組み込み、フロントサスペンション、そしてもちろん車体全体の空力設計である。

「リヤサスペンションは、マシン全体の空力に大きな影響を及ぼす。その意味では、その部分の設計を自由にやらせてもらえなかったことに、部下たちはひどくがっかりしていたよ」と、エディントンは言う。

「しかしその分、別分野に貴重な人材を投入できた。たとえば冷却効率はかなり攻めて、去年よりはるかに効率が良くなった。何よりうれしいのは、パフォーマンスと信頼性が高いレベルで両立できていることだ。STR14は2018型よりはるかに速く、壊れにくいマシンになっている。レース週末の周回数が増えたおかげで、開発のスピードが上がるという好循環に入ることができた」

・さらに頑丈になった雄牛
 実際、トロロッソの開発テンポは非常に速く、バージボードひとつ取ってもシーズン中に3回のアップデートを果たした。これはマクラーレンと同じペースである。さらにホンダ製PUも、素晴らしい信頼性を発揮した。レース中に壊れたことは一度もなく、シーズン全体で88%という非常に高い完走率を達成したのである。

・独創性では負けない小チーム

 かつてレッドブルの風洞が置かれていた英国ビスターにあるトロロッソの空力部門はここ数年、素晴らしい独創性を発揮し続けている。

 たとえばSTR14が開幕戦で披露したフロントウイング翼端板外側下部のボード状のパーツは、スペインでフェラーリとマクラーレン、さらにドイツでメルセデスが追随した。

 それ以前にも内部を三分割したエアインテークやリヤウイング翼端板の切り欠き、フロントサスの取り付け位置を高める独特の工夫など、トロロッソが先鞭をつけたアイデアは数多い。

 以下の表は、各マシンの全21戦平均の速さを示したものである。トロロッソは各GPにおける最速マシンから平均して2.15%、1周80秒に換算すると1秒61遅く、全10チーム中7位の成績にとどまっている(にもかかわらず実際には、選手権6位を獲得した)。

各チームのマシン 最速マシンからの平均速度差 1周(80秒換算)辺りの差
1 メルセデスW10 +0.17% +0.13秒
2 フェラーリSF90 +0.33% +0.25秒
3 レッドブル・ホンダRB15 +0.65% +0.49秒
4 マクラーレンMCL34 +1.66% +1.24秒
5 ルノーRS19 +1.91% +1.43秒
6 ハースVF-19 +2.13% +1.59秒
7 トロロッソ・ホンダSTR14 +2.15% +1.61秒
8 アルファロメオC38 +2.21% +1.66秒
9 レーシングポイントRP19 +2.38% +1.78秒
10 ウイリアムズFW42 +4.3% +3.22秒

・トロロッソ・ホンダ:シーズン中の主なアップデート一覧
1)バーレーン=バージボード
2)モナコ=リヤウイング
3)カナダ=リヤビューミラー、バージボード
4)ドイツ=バージボード、フロア
5)ハンガリー=Tウイング
6)イタリア=モンツァ専用フロントウイング
7)メキシコ=フロントウイング、エンジンカウル

2020/01/07

ヘルムート・マルコ、フェラーリF1は2020年のタイトル争いに絡まないと予想「ライバルはハミルトン」

 レッドブルのモータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコは、2020年にレッドブルの主なライバルとなるのはメルセデスとルイス・ハミルトンであると語り、意外にもフェラーリの脅威については退けた。

 2020年シーズンのF1がメルボルンで開幕するまで2カ月以上あるが、専門家たちは、予想通りグランプリ上位のいつもの面々であるメルセデス、フェラーリ、レッドブルによる三つ巴の戦いがふたたび展開されるだろうと推測している。

 2019年シーズンのホンダの著しい進歩のおかげで、マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)は3度の優勝をチームにもたらした。22戦からなる2020年のチャンピオンシップにおいて、レッドブルはようやく常に優勝争いに加わることができるようになるだろうと多くの人々が考えている。

 大胆にもマルコは最近、レッドブルは2020年には少なくとも5勝を上げ、タイトルを獲得するだろうと予想した。その予想は多くの人々にとって現実的に思えるかもしれない。しかしその一方で、フェラーリはタイトル争いに絡まないだろうというマルコの推測は、控えめに言っても驚きだ。

「我々のライバルはメルセデスであり、特にルイス・ハミルトンだ」とマルコは『Auto Bild』に語った。

「彼はほぼ完璧な走りをするし、グリッド上で現在最高のF1ドライバーであることを認めざるを得ない。しかし彼の次にくるのはマックス・フェルスタッペンだ」

 マルコは、フェラーリをタイトル争いの相手として除外しているが、それは2019年終盤におけるフェラーリのパフォーマンスが相対的に低かったからであると語っている。

「2019年シーズンの後半3分の1では、我々は彼らに先んじていた。彼らには特にエンジンにアドバンテージがあるようには見えない。以前はあったようだが」

 エンジンについて言えば、マルコはホンダの仕事を称賛しており、ホンダはすでにメルセデスに追いついてると考えている。

「彼らはほぼメルセデスと同レベルだ。ただ予選でわずかなものが欠けているだけだ」

「だがホンダはこの小さな一歩を踏み出すことができると私は確信しているし、タイトルを競えるようなマシンを一貫して作り上げることは我々にかかっている」

「これまでのところ状況は良いように見える。なぜなら、我々は(2020年型の)新しいマシンをかつてないほど早い時期に完成できる見込みだからだ」

広告

2020/01/04

タイトル狙うホンダF1。フェルスタッペン の戴冠には“ひとりで5勝”が必要に【2019年F1反省会(2)/柴田久仁夫編】

 レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンは2019年シーズンに3勝を飾り、ドライバーズランキングにおいて自己最高位となる3位を獲得した。2020年は、ぜひともチャンピオン争いに絡みたいところだ。

 後半は、2019年シーズンにデビューした3名のルーキードライバーの評価、印象に残ったレース、そして2020年シーズンの成績予想を、オートスポーツwebでもおなじみのベテランジャーナリスト、柴田久仁夫氏が独自の視点でお届けする。

──────────

Q:2019年はアレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)、ランド・ノリス(マクラーレン)、ジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)という3名のルーキーがF1を戦いました。ルーキーの“当たり年”のようにも感じられましたが、彼らの印象はいかがですか。

柴田久仁夫氏(以下、柴田):当たり年と言っていいのかどうか、正直わかりません。まずノリスですが、彼はFIA-F2時代からすごかったとマクラーレンの人は言っています。でも私自身は、ラッセルはもちろんアルボンと比べても、ノリスはいまひとつだと見ていました。それがF1に昇格して、いきなり開幕戦の予選で速さを見せたので、僕の見方が間違っていたのかなと思ったんです。

 とはいえ、2018年にルノーでニコ・ヒュルケンベルグに敵わなかったカルロス・サインツJr.が2019年にあれだけ速くなったのを見ると、マクラーレンのクルマが本当に良かったという見方もできますよね。そう言う意味でも、ノリスがどれくらいすごいのかというのはまだわからないです。

2019年F1最終戦アブダビGP ランド・ノリス(マクラーレン)
ランド・ノリス(マクラーレン)

 それはラッセルも同じで、確かにF2時代のラッセルを見ると素晴らしいドライバーだなと思いますが、とにかく今のウイリアムズはクルマが悪すぎます。チームメイトのロバート・クビサに対して予選で全勝したとはいえ、正直わかりません。

 アルボンはトロロッソ・ホンダ時代もすごく良かったから、いいドライバーだと思っていましたが、レッドブル・ホンダであそこまで結果を出したのは本当に嬉しい驚きでした。2019年、一番予想外だったドライバーはアルボンだったのではないかと思います。

 2017年まではGP2や F2のチャンピオンになってもすんなりF1に上がれないことが多かったのですが、2019年はF2のランキング上位3人がF1に昇格したということで、珍しい年だったと思います。将来的にチャンピオンになれるかどうかはわかりませんが、3人とも1年で終わってしまうドライバーではないことは確かです。

2019年F1第10戦イギリスGP ジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)
初の母国レースとなったイギリスGPを14位で終えたラッセル

Q:2019年はホンダ勢の活躍が目立ちましたが、ホンダの活躍に関係なく、2019年印象的だったレースを教えてください。

柴田:レッドブル・ホンダということでいえばベストレースは第9戦オーストリアGPですが、レースのおもしろさで言えば第20戦ブラジルGPでしょう。私も仕事を忘れてガッツポーズを取った珍しいレースでした。純粋にファンとして楽しんだ数少ないというか、2019年の唯一のレースです。『レポートを書かなきゃ』という考えは完全に頭にありませんでした(笑)。

 フェルスタッペンは独走体制でしたが、最終ラップまでいろいろなことが起きて、フェルスタッペンが優勝という結果になるというのは純粋に見ていて楽しかったです。いろんな見どころがありました。

 トップ争いに限った話でいえば、第6戦モナコGPも非常に面白かったです。フェルスタッペンのペナルティは残念でしたが、ルイス・ハミルトン(メルセデス)との優勝争いは見応えがありました。

2019年F1第20戦ブラジルGP マックス・フェルスタッペンのポール・トゥ・ウインを祝うレッドブルとホンダ
2019年F1第20戦ブラジルGP マックス・フェルスタッペンのポール・トゥ・ウインを祝うレッドブルとホンダ
2019年F1第6戦モナコGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)とルイス・ハミルトン(メルセデス)のバトル
2019年F1第6戦モナコGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)とルイス・ハミルトン(メルセデス)のバトル

Q:最後に、2020年シーズンの大胆予想をお願いします。2019年はメルセデスが15勝、フェラーリとレッドブル・ホンダがそれぞれ3勝ずつという結果に終わりましたが、2020年レッドブル・ホンダは何勝できそうですか?

柴田:ホンダは2020年にぜひタイトルを獲りたいと言っているので、フェルスタッペンは少なくともひとりで5勝はしたいところ。そう考えるとモナコ、オーストリア、ハンガリー、メキシコ、ブラジルで5勝。イギリスは予選でパワーユニット(PU)にトラブルがありましたがポールポジションを獲れそうだったので、イギリスも優勝候補。それからシンガポールもいいですよね。ということで、7勝にしましょうか。

 それから、アルボンにも1勝してほしい。期待を込めて、日本での優勝がいいですね。レッドブル・ホンダの1-2は厳しいかと思いますが、2020年はハミルトン、ルクレール、フェルスタッペンという、2019年の最終戦アブダビGPで表彰台に乗った3人を先頭にシーズンが進んでいくと思います。

2019年F1第19戦アメリカGP アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)
アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)

 中団チームでは、2020年もコンストラクターズ選手権の4位はマクラーレンだと思っているのですが、もし彼らが1勝したらおもしろいのではないでしょうか。どこのレースで優勝かと言われるとわかりませんが……。マクラーレンが遅い理由はないと思いますし、とにかくマネージメントがいい。驚いたのは、マクラーレン・レーシングのCEOであるザク・ブラウンが口を出さなくなったこと。よくあの出たがりな性格の彼が口を出さないようになったなと思います。

 新しくチームに加入したマネージングディレクターのアンドレアス・ザイドルは、毎戦レース後に雑誌や新聞のジャーナリストを集めて囲みをやっているのですが、それを聞いていると『こうやってだんだん強くなっているんだな』というのがわかりますし、2020年も期待できそうです。

 レーシングポイントは、松崎(淳/シニアエンジニア)さんやチーム代表のオットマー・サフナウアーが『2019年のようにはならない』と言っていました。マクラーレンが頭ひとつ抜けている状況が続いて、少し離されたところでレーシングポイント、ルノー、トロロッソの三つ巴の戦いになるのではないかと予想します。

 2019年に大苦戦したハースも2020年は大丈夫だと言っていますが、まだわかりません。それからあくまで噂レベルではありますが、アルファロメオが撤退するのではないかという話がパドックでありました。2018年7月に亡くなったフェラーリの元CEOであるセルジオ・マルキオンネがF1にアルファロメオを復活させたいということでF1に戻ってきたアルファロメオですが、どうなるでしょうか。ハース、アルファロメオ、ウイリアムズは2020年も厳しいかなと思います。

2019年F1最終戦アブダビGP カルロス・サインツJr.(マクラーレン)
カルロス・サインツJr.(マクラーレン)
2019年F1第19戦アメリカGP セルジオ・ペレス(レーシングポイント)
2019年F1第19戦アメリカGP セルジオ・ペレス(レーシングポイント)
キミ・ライコネン(アルファロメオC38)
キミ・ライコネン(アルファロメオC38)

──────────
柴田久仁夫
 静岡県出身。TVディレクターとして数々のテレビ番組を手がけた後、1987年よりF1ライターに転身。現在も各国のグランプリを飛びまわり、『autosport』をはじめ様々な媒体に寄稿している。趣味はトレイルランニングとワイン。

2020/01/03

レッドブルとホンダの結束が強まった2019年。印象に残った“悪い子”ルクレール【2019年F1反省会(1)/柴田久仁夫編】

 2019年シーズンはレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンがキャリア初のポールポジションを獲得し、3勝を飾った。またフェラーリに昇格したシャルル・ルクレールもシーズンを通してポールポジションが7回、優勝が2回と、トップチームの若手ドライバーの活躍が目立った。

 とはいえ、サマーブレイク中に行った座談会でもレッドブル・ホンダの『シーズン5勝』という目標の達成を信じていたものの、残念ながらそれは叶わなかった。その理由はなんだったのか、2020年に飛躍を遂げるための課題は何なのか、オートスポーツwebでもおなじみのベテランジャーナリスト、柴田久仁夫氏が独自の視点でシーズン後半戦を振り返る。

──────────

Q:まずは、レッドブル&トロロッソを含むホンダF1の総括をお願いします。

柴田久仁夫氏(以下、柴田):優勝が3回、ポールポジションも実質的に3回(第18戦メキシコGPではフェルスタッペンが黄旗無視によりペナルティでグリッド降格)、トロロッソ・ホンダが2回表彰台に上がっていることを考えると、内容的にも非常に成功した1年だったと思います。

 ホンダの人が今だから言えると明かしてくれましたが、最初はレッドブルと組めばすぐに勝てるだろうという感じでやっていたようです。ところが、ふたを開けてみると思った以上に車体の性能が良くなくて、一体どうなるんだろうという感じになってしまいました。

 でもそこでお互いに非難し合うのではなく、問題解決に向けてお互いの結束が強くなり、それが結果的にシーズン中盤からの巻き返しに繋がっていきました。そういう意味でのストーリー性もあるし、すごく良い年でした。

 第8戦フランスGPまでは『本当に2019年は勝てるんだろうか』と雰囲気が悪かったんです。それが第9戦オーストリアGPで劇的に状況が変わったという意味では、あのレースはターニングポイントと言っていいでしょうね。

2019年F1第9戦オーストリアGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)

 トロロッソ・ホンダに関しては、本橋(正充/チーフエンジニア)さんが言っていましたが、2019年はホンダと組んで2年目ですし、車体もホンダに特化したものなので、うまくいくだろうという手応えを感じていたようです。第20戦ブラジルGPの2位はやや棚ぼた感もありますが、でもあの位置を走っていなければ表彰台には上がれていなかったですよね。

 2018年までのトロロッソ・ホンダは週末のミスも多かったし、2019年も金曜日のFP1で走り始めた時に、イニシャルセッティングがうまくいっていないという欠点がありました。それがよく改善されて、地力がついた1年だったと思います。

2019年F1第20戦ブラジルGP ピエール・ガスリー(トロロッソ・ホンダ)
ピエール・ガスリー(トロロッソ・ホンダ)

Q:ハミルトンのタイトル獲得、メルセデスの6連覇と、結果だけを見ると2018年と代わり映えしない結果になりましたが、2019年シーズン全体としてはいかがでしょうか。

柴田:非常に良いシーズンだったと思います。近年では一番充実して、ワクワクしたレースが多い年だったんじゃないかな。これまで何十年もF1を見てきて、『すごくおもしろかったな』というレースはせいぜい年間1戦か2戦あれば十分でした。それが2019年は、特にレッドブルファン、ホンダファンじゃなくてもおもしろいと思えるレースがいくつもありました。

 それからルクレールについてですが、2018年までは決して見せることのなかった、ドライバーとして良い意味で『悪い子』という部分が一番印象に残っています。『ルクレールは悪い子になれるのか』と(笑)。そのことについては悪いイメージは持っていません。

 フェラーリでやっていくうえですごいプレッシャーがあったと思いますし、上層部はなかなかベッテル重視の方針を変えなかった。そのなかであれだけの結果を出して、感情を表に出さずに大人の振る舞いをしていたのは、大したものだなと感じました。メンタルの強さはフェルスタッペンよりも上じゃないかなと思います。

2019年F1第14戦イタリアGP シャルル・ルクレール(フェラーリ)
2019年F1第14戦イタリアGP:今シーズン2勝目を挙げたシャルル・ルクレール(フェラーリ)

Q:レッドブルは開幕前に「5勝する」と宣言するも、最終的には3勝にとどまりました。5勝できなかった原因と課題について個人的な見解を教えてください。

柴田:『5勝はできなかったけど、3勝もできた』と捉えています。フェルスタッペンひとりで3勝ですが、もしチームメイトにダニエル・リカルド(ルノー)がいたら、6勝は挙げていたと思います。同士討ちをしていた可能性もありますが、それがなければメキシコやモナコなどでも優勝し、少なくともふたりで5勝していたのではないでしょうか。

 たとえリカルドでなくても、もしカルロス・サインツJr.(マクラーレン)がレッドブル・ホンダにいたら、もう少し結果を出せていたかもしれない。そうじゃなくても、サインツJr.が果たしてフェルスタッペンに対してどれくらい力を発揮できたかというのは、見てみたかったですね。

2019年F1第20戦ブラジルGP ダニエル・リカルド(ルノー)
ダニエル・リカルド(ルノー)
2019年F1第20戦ブラジルGP 表彰台で3位を喜ぶカルロス・サインツJr.
2019年F1第20戦ブラジルGP 表彰台で3位を喜ぶカルロス・サインツJr.

 言い換えれば、2019年のレッドブル・ホンダの一番の弱点は、ふたり目の勝てるドライバーが不在だったことですね。途中から加入したアレクサンダー・アルボンももちろん頑張りましたし、良いドライバーだと思います。結果的には1回も表彰台に乗れませんでしたが、途中からトップチームに加わったのだから、あれだけやれば十分というべきでしょう。

 2020年はレギュレーションが大きく変わらないので、2019年のように最初から3位が精一杯ということはないと思います。あとは、アルボンがどれくらい成長しているか。私はあまり心配していませんし、少なくとも予選ではフェルスタッペンと競る速さを見せるのではないでしょうか

Q:2019年はレッドブルとトロロッソの間でドライバー交代があり、ガスリーが古巣トロロッソへ戻り、ルーキーのアレクサンダー・アルボンがレッドブルへ昇格しました。彼らの2019年の評価と2020年の課題を教えてください。

柴田:結果的に、交代は正解だったと思います。もしあのままガスリーを起用していたら、ボロボロになっていたはず。ガスリーに関しては、2019年はメンタル的にあれだけ厳しい1年過ごしたことで、それが2020年に活きると思うんです。だから2020年に関してはあまり心配していません。
 
 アルボンもしかりで、2019年を学習の年と捉えれば、2020年はきちんと結果を出してくれると思います。2019年に関しては十分に合格点だと思いますが、少しナンバー2ドライバー感が漂っていますね……(苦笑)。もう一段階“脱皮”できるかどうかが課題ではないでしょうか。

 シーズン中にトップチームがドライバーを変えるというのはものすごく大変なことですし、アルボン自身も『このままだと潰されてしまう』という気持ちもあったようです。よく生き残ったなと思います。ラインアップ継続は妥当な判断でしょう。。

2019年F1 レッドブル・ホンダ:マックス・フェルスタッペン、アレクサンダー・アルボン
2019年F1 レッドブル・ホンダ:マックス・フェルスタッペン、アレクサンダー・アルボン

(2)に続く

──────────
柴田久仁夫
 静岡県出身。TVディレクターとして数々のテレビ番組を手がけた後、1987年よりF1ライターに転身。現在も各国のグランプリを飛びまわり、『autosport』をはじめ様々な媒体に寄稿している。趣味はトレイルランニングとワイン。

2019/12/31

ファン注目のロゴやレッドブル・ホンダのフェルスタッペンがランクイン/2019年F1フォトランキング

 autosport webでは文字はもちろん、写真も交えながら、さまざまなニュースをお届けしてまいりました。今回は2019年シーズンにお届けした写真のなかから、カテゴリ別に反響の多かったものをお届けします。

 今回は、ルイス・ハミルトンのワールドチャンピオンやレッドブル・ホンダ優勝など、世界中で注目された2019年F1世界選手権のフォトランキングトップ10を発表します。読者のみなさまに注目されたF1フォトはどんな写真となるでしょうか。

第10位:第9戦オーストリアGP レッドブルの記念撮影

 ランキング第10位は、レッドブルとホンダがタッグを組み初優勝を飾った第9戦オーストリアGPから、レッドブル・レーシングとマックス・フェルスタッペンによるレース後の嬉しそうな記念撮影がランクイン。
■【レッドブル・ホンダ優勝ギャラリー】F1第9戦オーストリアGP決勝

F1第9戦オーストリアGP、レッドブルのレース後記念撮影
F1第9戦オーストリアGP、レッドブルのレース後記念撮影

第9位:レッドブル・ホンダRB15シェイクダウン

 シルバーストンでのレッドブル・ホンダRB15のシェイクダウンが第9位に。カモフラージュカラーも相まってさらにレッドブル・ホンダへの注目と期待が高まっていましたね。
■【津川哲夫の2019私的新車チェック:レッドブル】ホンダPU次第では……と期待させるトータルエアロバランスに優れたマシン

シルバーストンでシェイクダウンを行ったレッドブル・ホンダRB15
シルバーストンでシェイクダウンを行ったレッドブル・ホンダRB15

第8位:トロロッソ・ホンダSTR14

 こちらもホンダとのパートナーシップ2年目で注目を集めたトロロッソ・ホンダ。2019年マシンSTR14が発表された際のスタジオショット、なかでもマシンを真正面から捉えたものが8位に。
■ホンダPUとの提携2年目を迎えるトロロッソF1が2019年の新車『STR14』を正式発表

トロロッソ・ホンダSTR14のフロント写真
トロロッソ・ホンダSTR14のフロント写真

第7位:リッチ・エナジーを迎えたハースF1チームのカラーリング発表

 第7位には、2019年からタイトルスポンサーとして『リッチ・エナジー』を迎えたハースF1チームのマシンカラーリング発表の写真がランクイン。ブラック&ゴールドカラーで注目でしたが、リッチ・エナジーの著作権違反騒動などがあり、シーズン終了までスポンサーシップは続きませんでした。
■ハースF1が2019年シーズンのマシンカラーリングを発表。黒と金の配色でイメージを一新

リッチ・エナジーとスポンサーシップを発表したハースF1チーム
リッチ・エナジーとスポンサーシップを発表したハースF1チーム

第6位:レッドブル・ホンダRB15のフロントサスペンション

 続いては、7月掲載の『津川哲夫の私的F1メカチェック』より、レッドブル・ホンダRB15のフロントサスペンションを激写したものが第6位にランクイン。
■【津川哲夫の私的F1メカチェック】ホンダの優勝を支えた、レッドブルRB15の独自フロントサスペンション

レッドブル・ホンダRB15のフロントサスペンション
レッドブル・ホンダRB15のフロントサスペンション

■5位には未来のF1が。そして第1位のフォトは?

第5位:2021年のF1マシン予想図

 第5位は“セクシーで接近戦が可能”な2021年のF1マシン予想図がランクイン。
■2021年F1新レギュレーションが承認。「セクシーで接近戦が可能」な新世代マシンの外観も発表に

2021年F1マシンの予想図
2021年F1マシンの予想図

第4位:ホンダF1パワーユニット比較

 第4位にもテクニカルな写真がランクイン。ホンダがF1に復帰した2015年のパワーユニットと、トロロッソに供給を開始した2018年のパワーユニットを比較した画像です。改めておなじ角度から見比べると、かなり重心が下がっていることがわかります。
■F1技術解説 ホンダPU進化の過程(2):重心位置を下げ、信頼性に懸念があったオイルタンクを大改良

ホンダF1パワーユニット比較画像
ホンダF1パワーユニット比較画像

第3位:マクラーレンMCL34

 そしてトップ3の発表です。まず第3位には、カルロス・サインツとランド・ノリスの若手ふたりというドライバーラインアップに変更したマクラーレンF1の2019年マシン“MCL34”がランクイン。

 新車発表前の1月にマクラーレン公式Facebookがカバー写真を変更し、そのカバー写真に写り込んでいるカーナンバー4番のマシンが2019年マシンではないか? と話題になりました。その後、コカコーラロゴもマシンに掲示されたMCL34が正式発表されました。
■マクラーレンF1が2019年型ニューマシンの画像を誤って公開か。コカ・コーラとの大型契約の可能性

マクラーレン公式Facebookに掲載されたMCL34
マクラーレン公式Facebookに掲載されたMCL34

第2位:アルファタウリのロゴ

 第2位には2020年シーズンにトロロッソから生まれ変わるレッドブル系ファッションブランド『アルファタウリ』のロゴ画像がランクイン。2019年シーズンで14年に渡ったトロロッソの名は消えてしまいますが、ホンダとのタッグ3年目を迎える新生アルファタウリに期待です。
■ホンダF1のパートナー、トロロッソが名称変更へ。レッドブル系ファッションブランド名の『アルファタウリ』に改称

レッドブル系ファッションブランド『アルファタウリ』のロゴ
レッドブル系ファッションブランド『アルファタウリ』のロゴ

第1位:第9戦オーストリアGPを制したフェルスタッペンのガッツポーズ

 映えある第1位にはオーストリアGPで優勝を飾ったマックス・フェルスタッペンのガッツポーズが輝きました。この第9戦オーストリアGPで、フェルスタッペンはスタートで後方まで下がってしまいましたが、その後オーバーテイクショーを繰り広げて優勝を果たしました。その姿に日本中のF1ファンがフェルスタッペンとおなじくガッツポーズをしたのでは。2020年シーズンは開幕戦からこういった姿が見られるでしょうか。
■レッドブル・ホンダのフェルスタッペンが今季初優勝。ついにメルセデスの連覇を阻止!/F1第9戦オーストリアGP決勝【詳報】

第9戦オーストリアGPで優勝し、ガッツポーズをするフェルスタッペン
第9戦オーストリアGPで優勝し、ガッツポーズをするフェルスタッペン

広告

2019/12/31

ファン注目のロゴやレッドブル・ホンダのフェルスタッペンがランクイン/2019年F1フォトランキング

 autosport webでは文字はもちろん、写真も交えながら、さまざまなニュースをお届けしてまいりました。今回は2019年シーズンにお届けした写真のなかから、カテゴリ別に反響の多かったものをお届けします。

 今回は、ルイス・ハミルトンのワールドチャンピオンやレッドブル・ホンダ優勝など、世界中で注目された2019年F1世界選手権のフォトランキングトップ10を発表します。読者のみなさまに注目されたF1フォトはどんな写真となるでしょうか。

第10位:第9戦オーストリアGP レッドブルの記念撮影

 ランキング第10位は、レッドブルとホンダがタッグを組み初優勝を飾った第9戦オーストリアGPから、レッドブル・レーシングとマックス・フェルスタッペンによるレース後の嬉しそうな記念撮影がランクイン。
■【レッドブル・ホンダ優勝ギャラリー】F1第9戦オーストリアGP決勝

F1第9戦オーストリアGP、レッドブルのレース後記念撮影
F1第9戦オーストリアGP、レッドブルのレース後記念撮影

第9位:レッドブル・ホンダRB15シェイクダウン

 シルバーストンでのレッドブル・ホンダRB15のシェイクダウンが第9位に。カモフラージュカラーも相まってさらにレッドブル・ホンダへの注目と期待が高まっていましたね。
■【津川哲夫の2019私的新車チェック:レッドブル】ホンダPU次第では……と期待させるトータルエアロバランスに優れたマシン

シルバーストンでシェイクダウンを行ったレッドブル・ホンダRB15
シルバーストンでシェイクダウンを行ったレッドブル・ホンダRB15

第8位:トロロッソ・ホンダSTR14

 こちらもホンダとのパートナーシップ2年目で注目を集めたトロロッソ・ホンダ。2019年マシンSTR14が発表された際のスタジオショット、なかでもマシンを真正面から捉えたものが8位に。
■ホンダPUとの提携2年目を迎えるトロロッソF1が2019年の新車『STR14』を正式発表

トロロッソ・ホンダSTR14のフロント写真
トロロッソ・ホンダSTR14のフロント写真

第7位:リッチ・エナジーを迎えたハースF1チームのカラーリング発表

 第7位には、2019年からタイトルスポンサーとして『リッチ・エナジー』を迎えたハースF1チームのマシンカラーリング発表の写真がランクイン。ブラック&ゴールドカラーで注目でしたが、リッチ・エナジーの著作権違反騒動などがあり、シーズン終了までスポンサーシップは続きませんでした。
■ハースF1が2019年シーズンのマシンカラーリングを発表。黒と金の配色でイメージを一新

リッチ・エナジーとスポンサーシップを発表したハースF1チーム
リッチ・エナジーとスポンサーシップを発表したハースF1チーム

第6位:レッドブル・ホンダRB15のフロントサスペンション

 続いては、7月掲載の『津川哲夫の私的F1メカチェック』より、レッドブル・ホンダRB15のフロントサスペンションを激写したものが第6位にランクイン。
■【津川哲夫の私的F1メカチェック】ホンダの優勝を支えた、レッドブルRB15の独自フロントサスペンション

レッドブル・ホンダRB15のフロントサスペンション
レッドブル・ホンダRB15のフロントサスペンション

■5位には未来のF1が。そして第1位のフォトは?

第5位:2021年のF1マシン予想図

 第5位は“セクシーで接近戦が可能”な2021年のF1マシン予想図がランクイン。
■2021年F1新レギュレーションが承認。「セクシーで接近戦が可能」な新世代マシンの外観も発表に

2021年F1マシンの予想図
2021年F1マシンの予想図

第4位:ホンダF1パワーユニット比較

 第4位にもテクニカルな写真がランクイン。ホンダがF1に復帰した2015年のパワーユニットと、トロロッソに供給を開始した2018年のパワーユニットを比較した画像です。改めておなじ角度から見比べると、かなり重心が下がっていることがわかります。
■F1技術解説 ホンダPU進化の過程(2):重心位置を下げ、信頼性に懸念があったオイルタンクを大改良

ホンダF1パワーユニット比較画像
ホンダF1パワーユニット比較画像

第3位:マクラーレンMCL34

 そしてトップ3の発表です。まず第3位には、カルロス・サインツとランド・ノリスの若手ふたりというドライバーラインアップに変更したマクラーレンF1の2019年マシン“MCL34”がランクイン。

 新車発表前の1月にマクラーレン公式Facebookがカバー写真を変更し、そのカバー写真に写り込んでいるカーナンバー4番のマシンが2019年マシンではないか? と話題になりました。その後、コカコーラロゴもマシンに掲示されたMCL34が正式発表されました。
■マクラーレンF1が2019年型ニューマシンの画像を誤って公開か。コカ・コーラとの大型契約の可能性

マクラーレン公式Facebookに掲載されたMCL34
マクラーレン公式Facebookに掲載されたMCL34

第2位:アルファタウリのロゴ

 第2位には2020年シーズンにトロロッソから生まれ変わるレッドブル系ファッションブランド『アルファタウリ』のロゴ画像がランクイン。2019年シーズンで14年に渡ったトロロッソの名は消えてしまいますが、ホンダとのタッグ3年目を迎える新生アルファタウリに期待です。
■ホンダF1のパートナー、トロロッソが名称変更へ。レッドブル系ファッションブランド名の『アルファタウリ』に改称

レッドブル系ファッションブランド『アルファタウリ』のロゴ
レッドブル系ファッションブランド『アルファタウリ』のロゴ

第1位:第9戦オーストリアGPを制したフェルスタッペンのガッツポーズ

 映えある第1位にはオーストリアGPで優勝を飾ったマックス・フェルスタッペンのガッツポーズが輝きました。この第9戦オーストリアGPで、フェルスタッペンはスタートで後方まで下がってしまいましたが、その後オーバーテイクショーを繰り広げて優勝を果たしました。その姿に日本中のF1ファンがフェルスタッペンとおなじくガッツポーズをしたのでは。2020年シーズンは開幕戦からこういった姿が見られるでしょうか。
■レッドブル・ホンダのフェルスタッペンが今季初優勝。ついにメルセデスの連覇を阻止!/F1第9戦オーストリアGP決勝【詳報】

第9戦オーストリアGPで優勝し、ガッツポーズをするフェルスタッペン
第9戦オーストリアGPで優勝し、ガッツポーズをするフェルスタッペン

2019/12/30

2020年、メルセデスの7連覇はない。レッドブル・ホンダの勝利数を大胆予想【2019年F1考察(2)/尾張正博編】

 2019年シーズンは、3名のドライバーがF1デビューを果たした。2018年のFIA-F2のランキング上位3名がステップアップを果たすという珍しいシーズンで下馬評も高かったが、実際にレースの現場ではどのように評価されていたのだろうか。

 前回に引き続き、全戦現場で取材したベテランジャーナリストの尾張正博氏が独自の視点で2019年シーズン後半戦を振り返る。後半は、FIA-F2から昇格してきた3名のルーキードライバーの評価、2019年のベストレース、そして2020年シーズンにおけるレッドブル・ホンダの勝利数の大胆予想をお届けする。

──────────

Q:2019年はアレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)、ランド・ノリス(マクラーレン)、ジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)という3名のルーキーがF1を戦いました。ルーキーの“当たり年”のようにも感じられましたが、彼らの印象はいかがですか。

尾張正博氏(以下、尾張):アルボンについてはドライバー交代についての質問でいろいろと話しましたが、評価するのは難しい。私としてはまだ判断できていません。

 ノリスは意見が分かれるのではないでしょうか。私もここまでやるとは思っていませんでした。ドライバーズランキングでトップ3チームに次ぐ『ベスト・オブ・ザ・レスト』はチームメイトのカルロス・サインツJr.(ランキング6位)で、その後ろがガスリー、アルボン、ダニエル・リカルド(ルノー)、セルジオ・ペレス(レーシングポイント)と続いて、11位がノリスとなっていることを考えると悪くないと思います。

 サインツJr.とのポイント差は47点と開きましたが、予選成績では11勝10敗とノリスが勝っています。ということは、天性の速さがあるということですよね。それにマクラーレンのランキング4位というのも、2012年の3位に次ぐ成績です。

 とはいえ、もちろんサインツJr.も成長しているので一概にはいえませんが、サインツJr.は(トロロッソ時代に)マックス・フェルスタッペンに負けていました。そのサインツJr.を予選で上回るもレースで勝てなかったということは、『それほどでもないのでは?』という見方もできます。ノリスは期待以上でしたが、将来のチャンピオン候補かと言われると疑問が残ります。

 それからラッセルについては、今のウイリアムズの状況では評価はできないですね。ただ、少なくとも2020年に(新しいチームメイトとなる)ニコラス・ラティフィに負けるようではダメ。2019年のようなロバート・クビサとの力関係は維持したいところです。

 ラッセルはメルセデスの育成ドライバーですし、その関係もあって、メルセデス製パワーユニット(PU)を使用するウイリアムズでの待遇は良かった。しかしラティフィは資金力のあるドライバーですので、ラッセルが2020年も今年と同じような待遇が受けられるかどうかはわかりません。それでも、ラティフィに対して16勝6敗くらいでやってほしいですね。

 ルーキーの当たり年かどうかは2020年の成績を見ないとわかりません。当たりとまでは言えませんが、2018年のFIA-F2の上位3人ですし、もちろんハズレではありません。

2019年F1第21戦アブダビGP木曜 アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)、ランド・ノリス(マクラーレン)、ジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)
2019年F1第21戦アブダビGP木曜 アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)、ランド・ノリス(マクラーレン)、ジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)

Q:2019年はホンダ勢の活躍が目立ちましたが、ホンダの活躍に関係なく、今年印象的だったレースを教えてください。

尾張:ホンダ勢の結果に関係なく、とはいえホンダが復調してくれたから後半戦が面白くなったのは事実。ベストレースは第20戦ブラジルGPです。ホンダが復調して、フェルスタッペンが活躍したことを象徴した優勝でもありましたし、本田宗一郎の誕生日、アイルトン・セナの没後25年という話題もありました。

 その一方で『何やってんだ!』というのを象徴するようなフェラーリの同士討ちもありましたよね。エンターテイメント性、ストーリー性、いろいろな要素が凝縮されたレースでした。

 決勝レースではセーフティカーが2回入りましたが、同じ戦略では勝てないからと、フェルスタッペンとルイス・ハミルトン(メルセデス)が逆の戦略を採りました。こういう点もおもしろかったのではないでしょうか。

2019年F1第20戦ブラジルGP ピエール・ガスリーと抱き合うマックス・フェルスタッペン
2019年F1第20戦ブラジルGP ピエール・ガスリーと抱き合うマックス・フェルスタッペン
2019年F1第20戦ブラジルGP セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)がシャルル・ルクレール(フェラーリ)と接触しリタイア
2019年F1第20戦ブラジルGP セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)がシャルル・ルクレール(フェラーリ)と接触しリタイア

 もうひとつ挙げるとすれば、第12戦ハンガリーGPもいいレースだったと思います。ハンガリーではレッドブルが負けてしまいましたが、タイヤ選択の判断(レース後半にハミルトンが2度目のピットインを行い、新品のミディアムタイヤに交換)は見応えがありました。

 レッドブルの戦略が間違っているという意見もありましたが、間違いではありません。あのレースは詰将棋のようなレースで、どちらにもミスはなかった。レッドブルは予選ではわずかに速かったけど、レースペースではメルセデスの方が1本も2本も上手だったというレースです。

 逆にちょっとがっかりしたレースは、第17戦日本GPです。もちろんグランプリにケチをつけるわけではありませんが、スタート直後のフェルスタッペンとシャルル・ルクレール(フェラーリ)の接触はよくなかった。単独チームが逃げ切ったらおもしろくないですし、他のチームが優勝争いに加わった方がいいのに、加わるべき2チーム同士が絡んでしまいました。レース前はそれほど悪い結果にはならないだろうと思っていたので残念でした。

2019年F1第17戦日本GP マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
2019年F1第17戦日本GP スタート直後にルクレールと接触したフェルスタッペン

Q:最後に、2020年シーズンの大胆予想をお願いします。2019年はメルセデスが15勝、フェラーリとレッドブル・ホンダがそれぞれ3勝ずつという結果に終わりましたが、2020年レッドブル・ホンダは何勝できそうですか?

尾張:まずはメルセデスが6勝(オーストラリア、中国、スペイン、フランス、アメリカ、アブダビ)、フェラーリが7勝(バーレーン、ベトナム、アゼルバイジャン、カナダ、ベルギー、イタリア、ロシア)、そしてレッドブル・ホンダが9勝(オランダ、モナコ、オーストリア、イギリス、ハンガリー、シンガポール、日本、メキシコ、ブラジル)かな。ちょっとフェラーリが多すぎるような気もしますが……。でも、最後は接戦になると思います。

 新しくカレンダーに加わるグランプリについては、ベトナムはストレートが長いからフェラーリ優位。オランダはフェルスタッペンが勝たないとまずいから、フェルスタッペンにしましょう(笑)。ホーナーも、ザントフールトはフェラーリよりもメルセデスやレッドブルに合っていると言っていましたから。

 2019年シーズン総括のところでも話しましたが、今年のフェラーリとレッドブル・ホンダにとって、シーズン前半戦は最悪でした。自滅と言ってもいいような状況でしたが、それさえなければ2020年は面白いシーズンになるのでは? メルセデスは7連覇できないと思いますよ。2019年の後半戦の成績が今の力関係だと考えると、サーキットによってそれぞれのチームの勝敗、勢力図が決まってくると思います。

 ですが、当然フェラーリは直線で速いだけでなく、他の部分での競争力アップ考えてくるでしょうし、レッドブルはホンダPUの馬力アップを考慮すると、中高速コーナーでの強みを増してくる。一方メルセデスは、今まで優勝を諦めていたレースを諦めるわけにはいかなくなる。となれば、メルセデスですら難しいシーズンになるのではないでしょうか。

 ここで本当に重要になのが、セカンドドライバーです。ハミルトン、ルクレール、フェルスタッペン以外だと実力的にはベッテルがトップですが、ベッテルはそう簡単にはチームの言うことを聞かないかもしれないし、そう考えるとルクレールのタイトルも厳しいかもしれません。チーム代表のマッティア・ビノットはチームをコントロールできていないし、ビノットには荷が重いかなと思います。

 ボッタスは私生活でもいろいろなことがありましたが(11月末に離婚)、2020年はもっとレースに集中できるようになるかもしれません。それからアルボンは、もう一皮も二皮も向けてくれないと戦いにならないと思います。もしフェルスタッペンがドライバーズタイトルを獲得すると考えれば、レースではアルボンが2位に入賞してハミルトンが3位以下にならないと、フェルスタッペンとハミルトンとの差が広がらない。メルセデスが得意なサーキットでボッタスが2位に入る可能性を考えると、やっぱりアルボンには2位に入ってほしいです。

2019年F1第17戦日本GP バルテリ・ボッタス(メルセデス)が優勝、メルセデスがコンストラクターズタイトル6連覇を達成
2019年F1第17戦日本GP バルテリ・ボッタス(メルセデス)が優勝、メルセデスがコンストラクターズタイトル6連覇を達成

 中団争いについては、やはりマクラーレンは良いと思います。荒れたレースでは自力で表彰台を取れるくらいのポジションにいくと思うので、2020年はセカンドグループとサードグループくらいに分かれるのではないでしょうか。ルノー、マクラーレン、ハースに加えて、ここにトロロッソが入るかどうか。レーシングポイント、アルファロメオ、ウイリアムズが遅れを取る可能性があります。

 詳しく見ていくと、ルノーもワークスではありますが、規模的にはトップ3ほどではない。2019年はリカルドが加入しましたが、今年の成績を考えると、やはり(ドライバーよりも)クルマの性能が占める部分が大きいので、エステバン・オコン加入の効果はそれほど期待できないと思います。

 ハースは最終戦アブダビGPに新しいパーツを持ってきていましたが、そのパーツを試していたロマン・グロージャンがボッタスとぶつかってしまって十分なデータ収集ができなかったようなので、どれくらいポテンシャルを持っているかわかりません。とはいえ2020年に向けて今年から開発を進めていると思うので、伸びしろがありそうです。

 アルファロメオは厳しいでしょう。フェラーリ型のフロントウイングが大正解ではなかったというのを考えると、アルファロメオはクルマ作りを変えないといけない。ところが2020年だけのためにクルマを大きく変えることはできないですよね。トロロッソとアルファロメオはそれほど伸びないのではないかと予想します。

2019年F1ブラジルGP マクラーレンが表彰台&2019年コンストラクターズ選手権4位を獲得
2019年F1ブラジルGP マクラーレンが表彰台&2019年コンストラクターズ選手権4位を獲得

 あとは少し気になっていたのですが、2019年シーズンはFIA側に何度かミスがありました。例を挙げるとしたら、今年の日本GPの決勝レースで予定よりも1周早くチェッカーフラッグが振られたこと。他にも開幕戦オーストラリアGPでは一部のグリッドからシグナルが見えなかったり、アブダビGPではレース序盤にDRSが使えませんでした。

 これらのトラブルと、チャーリー・ホワイティング(FIAのレースディレクター)が亡くなったことは無関係ではないと思います。もちろん後任のマイケル・マシに全責任があるわけではないですが、潜在的にあったFIAのシステムの課題がいろいろな形で浮き彫りになりました。

 人間がやる以上ミスは起きるものですが、少しでもミスが起きないようなシステムを作るようにすべきだと思います。特に新しいサーキットはこういうことが起きやすいので、2020年はそういうところも気をつけてやっていただきたいですね。

──────────
尾張正博
 宮城県出身。1993年よりフリーランスのジャーナリストとしてF1の取材を開始。一度は現場を離れたが、2002年から再びフリーランスの立場でF1取材を行い、現在に至るまで毎年全レースを現地で取材している。

2019/12/29

レッドブル・ホンダ『シーズン5勝』叶わず。原因はフロントウイングの解釈ミス【2019年F1反省会(1)/尾張正博編】

 ホンダがF1に復帰してから5年目となった2019年。今年ホンダはアストンマーティン・レッドブル・レーシングへパワーユニット(PU)を供給し、第9戦オーストリアGP、第11戦ドイツGP、第20戦ブラジルGPで優勝を挙げるなど、ホンダF1にとって大きな飛躍を遂げた1年だった。

 サマーブレイク中に行った座談会ではレッドブル・ホンダのシーズン5勝を予想したが、後半戦での勝利は第20戦ブラジルGPのみ。残念ながら予想は外れてしまったが、そんな2019年シーズン後半戦を、全戦現場で取材したベテランジャーナリストの尾張正博氏が独自の視点で振り返る。

──────────

Q:まずは、レッドブル&トロロッソを含むホンダF1の総括をお願いします。

尾張正博氏(以下、尾張):よくやった、という感じです。レッドブルと組めばそれほど悪くないだろうと想像していましたが、結果的には当初の期待と同じくらいです。プレシーズンテストから開幕戦までの状況を考えると、よくここまで盛り返したなと思います。

 レッドブルが3月に東京でデモランを行った際、私はヘルムート・マルコ(レッドブルのモータースポーツアドバイザー)にインタビューを行い、そこで彼が『5勝する』と言ったのを聞きましたが、私は『5勝は無理だな』と思いました。

 というのも『2019年はクルマのコンセプトを変えた』と言っていたので、2018年までの“ダウンフォースが必要なサーキットで速い”という強みがなくなるぶん、他で勝てるのかなと思いました。ところが開幕戦オーストラリアGPの時点で、クルマが仕上がっていなかったんです。マルコはずっと5勝と言っていましたが、それが難しいというのはわかっていました。

 ですが彼らはきちんとクルマを開発してなんとか追いつこうとしていましたよね。レッドブルについてはその作業が素晴らしかったと思います。

2019年F1第20戦ブラジルGP 左から田辺豊治F1テクニカルディレクター、山本雅史F1マネージングディレクター、マックス・フェルスタッペン、クリスチャン・ホーナー代表
2019年F1第20戦ブラジルGP 左から田辺豊治F1テクニカルディレクター、山本雅史F1マネージングディレクター、マックス・フェルスタッペン、クリスチャン・ホーナー代表

 トロロッソに関しては期待以上でした。表彰台に2回乗りましたが、これはチームの歴史上初めてのことですからね。

 今振り返ってみればの話ですが、トロロッソの今年のクルマは、基本的には昨年のレッドブルのクルマのいいとこ取りです。昨年のレッドブルは悪くなかったのですが、今年のシーズン序盤のトロロッソはセッティングがまだうまくいっていませんでした。

 ですが中盤から終盤にかけては、しっかりとしたデータに基づいて、今年のトロロッソのマシンをチームがしっかりと理解できたのではないでしょうか。

2019年F1第11戦ドイツGP ダニール・クビアト(トロロッソ・ホンダ)の3位を祝うチーム
2019年F1第11戦ドイツGP ダニール・クビアト(トロロッソ・ホンダ)の3位を祝うチーム
2019年F1第20戦ブラジルGP ピエール・ガスリー(トロロッソ・ホンダ)が2位表彰台を獲得
2019年F1第20戦ブラジルGP ピエール・ガスリー(トロロッソ・ホンダ)が2位表彰台を獲得

Q:ハミルトンのタイトル獲得、メルセデスの6連覇と、結果だけを見ると2018年と代わり映えしない結果になりましたが、2019年シーズン全体としてはいかがでしょうか。

尾張:結果だけを見ると6連覇ですが、連覇している時には誤解しがちな点があります。たとえば後続に30秒以上の差をつけて連勝が続いたり、ポイントでも200点以上の差をつけて連覇していれば、ものすごく強いと思いますよね。でも最後のちょっとした差で勝ったりタイトルを獲るという状況では、翌年の連覇が簡単かというとそうではないんです。

 メルセデスの開幕8連勝も、第2戦バーレーンGPでフェラーリのPUトラブルがなければ実現しなかった。もちろんそれも含めてレースですけどね。よく1988年のマクラーレン・ホンダ(開幕11連勝)と比較されますが、それとはちょっと違うなと思います。

 レッドブル・ホンダは、先に話したようにクルマの開発がうまくいきませんでした。フェラーリは速さを見せたレースがあったものの、バーレーンGPではPUの信頼性のトラブルで勝てず、第4戦アゼルバイジャンGPでは調子の良さそうなシャルル・ルクレールが予選でクラッシュ、第7戦カナダGPではセバスチャン・ベッテルがプレッシャーに負けた。レッドブルとフェラーリはどちらも自滅でした。

 それも含めてメルセデスが強いと言われればそれまでですが、メルセデスはきちんと足元を見て自分たちのやるべきことをきちんとやっている。この数年間そうですし、それが彼らの強みかなと思います。

 第5戦スペインGPや第10戦イギリスGPのように得意なレースをしっかり獲り、高地の第18戦メキシコGPのように、たとえ勝てなくてもタイトル争いには問題ないというレースでも、周りがコケたことが今年メルセデスが圧勝した最大の要因。2020年のタイトル争いがどうなるのかは、フェラーリ、レッドブル・ホンダ次第です。

2019年F1第17戦日本GP メルセデスのコンストラクターズチャンピオン獲得をチームで祝福
2019年F1第17戦日本GP メルセデスのコンストラクターズチャンピオン獲得をチームで祝福

Q:レッドブルは開幕前に「5勝する」と宣言するも、最終的には3勝にとどまりました。5勝できなかった原因と課題について個人的な見解を教えてください。

尾張:最終戦アブダビGPでピエール・ワシェ(レッドブルのテクニカルディレクター)に話を聞いたのですが、レッドブルは金曜日のフリー走行1回目に2020年シーズンに向けた新しいフロントウイングを試していました。

 第17戦日本GPでコンストラクターズタイトルが決まって以来、トップチームは2020年に向けて開発を進めていました。もちろんレッドブルもそうで、2020年はフロントウイングの形状を変えるようです。ということは、勝てなかった原因は『新しいフロントウイングに対する解釈の判断ミス』だと言っているようなもの。これが原因のひとつですね。

 もうひとつ言えるとしたら、セカンドドライバーのパフォーマンス不足です。3勝にとどまった大きな理由にはならないにしても、1台で走らないといけないプレシーズンテストでピエール・ガスリー(現トロロッソ・ホンダ)が2回クラッシュしたことで、データ収集が完全に遅れてしまった。開幕戦に新しいウイングを持っていこうとしたけれど、間に合わずに第3戦中国GPで投入したことなどを含めると、セカンドドライバーの影響は少なくなかったのではないでしょうか。

 昨年、クリスチャン・ホーナー(レッドブルのチーム代表)はフロントウイングの規則変更に反対していました。ホーナーを擁護するわけではありませんが、今年のフロントウイングに関する規則変更は誰のためにもならなかったと思います。2021年にはレギュレーションが変わるのに、この2年間のためだけの規則変更によってトップ3とそれ以外のチームとの差が広がってしまいました。

Q:2019年はレッドブルとトロロッソの間でドライバー交代があり、ガスリーが古巣トロロッソへ戻り、ルーキーのアレクサンダー・アルボンがレッドブルへ昇格しました。彼らの2019年の評価と2020年の課題を教えてください。

尾張:ドライバー交代は正解でしたね。まずはガスリーですが、彼はチームからの信頼をすごく気にするタイプです。それによってメンタル面が成績を左右することが少なからずありました。

 そういうドライバーは多いけれど、それでは一流のドライバーにはなれないのではないかと思います。チームはそのドライバーと心中するわけではないし、『信頼していますよ』と言ったところで本人がそう思ってくれないとね。そういった点を考えると、トップチームは荷が重かったのではないでしょうか。

 走りに関してはまだまだ上を目指さないといけないにしても、後半戦を見たら悪くない。チームメイトのダニール・クビアトより予選の成績も良いし、しっかりできているなと思います。

 問題はメンタルです。シーズンオフになっていろいろ発言していますが、それが怖いですよね(笑)。おそらくヘルムート・マルコやクリスチャン・ホーナーはそういうものを気にしていないとは思いますが、ガスリーが『なんで僕をレッドブルに戻そうとしないの?』というような雰囲気になって、空回りしたり、変にマスコミを使って “ゲーム”をするのはよくない。トロロッソでも表彰台に上がれると思って頑張ってほしいですね。

2019年F1第19戦アメリカGP アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)
アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)

 一方アルボンですが、レースでの安定感が後半戦で光っていたところだと思います。課題は予選だと本人も言っていますが、それはトロロッソの時も同じでした。これはF1ドライバーになった人たちのほとんどが抱える問題ですが、最初に直面する課題が予選です。

 F1では、FIA-F2などに比べるとセッション数は増えますが、同時にやらなければいけないことが比較にならないほど多いので一瞬たりとも時間を無駄にできない。FP1でコースインして2周目からクルマの本当のポテンシャルを発揮し、ミスをせず、きちんとフィードバックができないといけません。

 それでいてFP2ではもう予選と決勝レースの戦略を決めるくらいですから、FP2のロングランというのはレースと同じような走りが求められます。簡単なことではないですが、アルボンは少し時間がかかっているようです。

(2)に続く

──────────
尾張正博
 宮城県出身。1993年よりフリーランスのジャーナリストとしてF1の取材を開始。一度は現場からは離れたが、2002年から再びフリーランスの立場でF1取材を行い、現在に至るまで毎年全レースを現地で取材している。

広告

2019/12/29

優勝できる力を証明したレッドブル・ホンダ、常に話題を振りまいたフェラーリ/2019年F1全チームレビュー

 2019年シーズンのF1は非常に長く続いたように思える。多くの物語や出来事があり、それらを要約するのは困難だ。さらに難しいのは各チームに目を向けて、2019年が彼らにとってどのような年だったか適切に細部にわたって説明することだ。

 だが今年は明らかにいくつかの傾向があった。メルセデスはいつものように調子が良かったし、フェラーリは不振だった。レッドブルとマクラーレンの向上は驚きだった。ルノーとハースは期待外れだった……。2019年についてはおさらいすることがたくさんあるし、2020年については期待することがたくさんある!

■ウイリアムズ/ランキング10位(1ポイント)
ロバート・クビサ:ランキング19位(1ポイント)
ジョージ・ラッセル:ランキング20位(0ポイント)

ウイリアムズF1:ロバート・クビサ、ジョージ・ラッセル
ウイリアムズF1:ロバート・クビサ、ジョージ・ラッセル

 ウイリアムズにとって2019年シーズンは常に難しい年だったが、バルセロナでのプレシーズンテストで数日をふいにしたことで、状況はさらに悪化させた。さらにランス・ストロールがレーシングポイントに移籍し、重要な資金源だったストロール家の支援もなくなったことで、チームは難しい状況に置かれてしまった。

 ロバート・クビサが、適切にマシンをドライブするのに必要なステアリングホイールのパーツを受け取ったのは、シーズンもあと3分の1という時期だった。第11戦ドイツGPでクビサが1ポイントを獲得できたのは奇跡だった。2020年にチームは、ニコラス・ラティフィが持ち込む資金を有効に利用して、前進できるようにする必要がある。だがこの挑戦はあまりにも厳しいものかもしれない。私はこの伝説的なチームの将来を懸念している。

■ハース/ランキング9位(28ポイント)
ロマン・グロージャン:18位(8ポイント)
ケビン・マグヌッセン:16位(20ポイント)

2019年F1 ハース:ケビン・マグヌッセン、ロマン・グロージャン
2019年F1 ハース:ケビン・マグヌッセン、ロマン・グロージャン

 マクラーレンが2019年シーズンの素晴らしい驚きだとしたら、ハースはマイナスの驚きだった。開幕戦オーストラリアでの非常に良い予選セッションから、チームは素晴らしいシーズンを迎えると思われた。ケビン・マグヌッセンは6位でフィニッシュしたが、その後に彼がポイントを獲得できたのは3戦だけだった。チームメイトのロマン・グロージャンもポイントを獲得できたのは合計3回で、チームに8ポイントをもたらしただけだ。

 外部からハースの苦戦を理解するのは難しいが、チームはピレリタイヤに苦戦しているのだろう。タイヤの扱いは彼らの2020年シーズンにとって鍵となるだろう。マシンには競争力があり、ドライバーたちは速いのだ。だがタイヤの性能を引き出せなければ、好結果がついてくることはない。

■アルファロメオ/ランキング8位(57ポイント)
キミ・ライコネン:12位(43ポイント)
アントニオ・ジョビナッツィ:17位(14ポイント)

2019年F1 アルファロメオ:キミ・ライコネン、アントニオ・ジョビナッツィ
2019年F1 アルファロメオ:キミ・ライコネン、アントニオ・ジョビナッツィ

 私はザウバーからアルファロメオに名称が変更となった際に少し期待をしていた。タイトルスポンサーとして自動車メーカーであるアルファロメオの支援が入り、元F1世界チャンピオンのキミ・ライコネンを迎えたことで、2019年の元ザウバーには絶好のチャンスがあった。実際、ライコネンは最初の4戦はポイント圏内に入り素晴らしいものだった。シーズン前半には合計7戦でトップ10入りしたのだ。

 だがその後、チームは道を見失ってしまった。彼らのパフォーマンスは消え、ふたたびポイントを獲得するのは難しいように見えた。シーズン後半でライコネンがポイントを獲得したのはたった2度で、一方のアントニオ・ジョビナッツィのポイント獲得回数は合計4度、そのうちの3度はシーズン終盤だった。私は後半戦に入って彼らが2020年のマシン開発に集中していたと思いたい。そうでなければ、彼らは開発レースで負けていることになるからだ。

■レーシングポイント/ランキング7位(73ポイント)
セルジオ・ペレス:10位(52ポイント)
ランス・ストロール:15位(21ポイント)

2019年F1 レーシングポイント:セルジオ・ペレス、ランス・ストロール
2019年F1 レーシングポイント:セルジオ・ペレス、ランス・ストロール

 レーシングポイントにとって今年は明らかに移行の年だったが、結果は非常にポジティブだった。チームにとってシーズンの初めは困難に見舞われたものの、後半にかけての彼らの進歩は見事だった。セルジオ・ペレスは第13戦ベルギーGPから9戦中8戦でポイントを獲得し、チームが正しい方向へ向かっていることを証明したのだ。

 一方のランス・ストロールは、自身の実力よりも少ないポイント数になった。ふたり目のドライバーにあともう少し競争力があれば、今年レーシングポイントはコンストラクターズ選手権を5位で終えることもできたかもしれない。だが現状から見ると、2020年はエキサイティングな年になりそうだ。チームにはリソースがあり、優れたリードドライバーがいるからだ。疑問としては、“レーシングポイント”というチーム名は他の名前に変わるのだろうか?ということだ。

■トロロッソ・ホンダ/ランキング6位(85ポイント)
ダニール・クビアト:13位(37ポイント)
ピエール・ガスリー:7位(95ポイント)

2019年F1 トロロッソ・ホンダ:ピエール・ガスリー、ダニール・クビアト
2019年F1 トロロッソ・ホンダ:ピエール・ガスリー、ダニール・クビアト

 限られたリソースで最大限のものを引き出す完璧な例をトロロッソ・ホンダで見ることができた。トロロッソは着実な仕事をして、ドイツGPでダニール・クビアトを、第20戦ブラジルGPでピエール・ガスリーを表彰台に上げることができたのだ。

 実は、1シーズンに2度の表彰台獲得があったのは、チームの歴史のなかでも初めてのことだ。そして、表彰台に入るためには“トップ3チーム”の直下にいなければほぼ不可能という現在の状況を考えると、これは非常に素晴らしい成果だ。とにかく、2020年から“アルファ・タウリ”という新たなチーム名を名乗る彼らにとって、“トロロッソ”という名前に別れを告げる最高のやり方となった。

■ルノー/ランキング5位(91ポイント)
ダニエル・リカルド:9位(54ポイント)
ニコ・ヒュルケンベルグ:14位(37ポイント)

2019年ルノーF1:ダニエル・リカルド、ニコ・ヒュルケンベルグ
2019年ルノーF1:ダニエル・リカルド、ニコ・ヒュルケンベルグ

 ルノーにとって2019年シーズンは重要な時期だった。チームはF1のトップチームとの差を縮めることを期待していたのだ。しかし、チームは技術的に間違った方向へ進み、ダニエル・リカルドとニコ・ヒュルケンベルグというベテランドライバーを擁していたにもかかわらず、2018年よりもはるか下回る結果で終わってしまった。

 ルノーにとっては、カスタマーチームのマクラーレンにも負け、進むべき道も不明確であるという良くない状況だ。F1に残留できるよう取締役会を納得させるためには、2020年に彼らはマクラーレンを打ち負かす必要があるだろう。もしそうできなければ、彼らはF1を去ることになる可能性もある。

■マクラーレン/ランキング4位(145ポイント)
カルロス・サインツJr.:6位(96ポイント)
ランド・ノリス:11位(49ポイント)

2019年F1 マクラーレン:カルロス・サインツJr.、ランド・ノリス
2019年F1 マクラーレン:カルロス・サインツJr.、ランド・ノリス

 間違いなく、マクラーレンは2019年シーズンにおける素晴らしい驚きだった。フェルナンド・アロンソとともに厳しい数年を過ごしたチームは復活を遂げ、カルロス・サインツJr.とランド・ノリスという新たな血を取り入れた。

 彼らは真の再生が行われたという最高の兆候を示した。マクラーレンは2020年にルノーとのパートナーシップにおいて新たな移行の年を迎える。2021年にはメルセデスとの提携に戻るからだ。サインツは幸運にもブラジルGPで3位を獲得したが、2020年のマクラーレンはさらなる結果を求めるだろう。

■レッドブル・ホンダ/ランキング3位(417ポイント)
マックス・フェルスタッペン:3位(278ポイント)
アレクサンダー・アルボン:8位(92ポイント)

2019年F1 レッドブル・ホンダ:マックス・フェルスタッペン、アレクサンダー・アルボン
2019年F1 レッドブル・ホンダ:マックス・フェルスタッペン、アレクサンダー・アルボン

 私がレッドブルとホンダの人々と2018年に話をした時、両者とも2019年のレース優勝は考えられないということで意見が一致していた。彼らの最初の1年が終わってみると、誰もが随分慎重だったのだと言って差し支えないだろう。

 マックス・フェルスタッペンは3勝を飾り、自身が将来注目すべき男のひとりであることを世界に示して見せた。レッドブル・ホンダは競争力のある組み合わせであることが証明されたのだ。それでもなお、ピエール・ガスリーやアレクサンダー・アルボンの手にあった2台目のマシンは表彰台を獲得していない。2020年シーズンは新たな挑戦をチームにもたらすだろうが、次の目標はタイトル獲得以外にないだろう。

■フェラーリ/ランキング2位(504ポイント)
セバスチャン・ベッテル:5位(240ポイント)
シャルル・ルクレール:4位(264ポイント)

2019年F1 フェラーリ:セバスチャン・ベッテル、シャルル・ルクレール
2019年F1 フェラーリ:セバスチャン・ベッテル、シャルル・ルクレール

 フェラーリによるいつものエンターテインメントがなかったら、一体どうすればいいのだろう?2019年シーズンはメルセデスが制したが、今年のエンターテインメントの半分を提供したのはフェラーリだった。

 世界チャンピオンと優勝争いをしていない時は、彼らはセバスチャン・ベッテルとシャルル・ルクレールに内部でライバル対決をさせたことで話題をさらっていったのだ。そしてフェラーリはルクレールと5年間の契約延長を発表。このままルクレールがエースドライバーとなれば2020年末にベッテルがチームを去る結末になるかもしれない。フェラーリの目標は世界選手権タイトル獲得だが、2020年もドライバーたちをコントロールできない状況になれば、腰を据えてメルセデスに挑戦できないだろう。

■メルセデス/ランキング1位(739ポイント)
ルイス・ハミルトン:1位(413ポイント)
バルテリ・ボッタス:2位(326ポイント)

2019年F1 メルセデス:ルイス・ハミルトン、バルテリ・ボッタス
2019年F1 メルセデス:ルイス・ハミルトン、バルテリ・ボッタス

 メルセデスがまたしても世界チャンピオンとなった。これによりメルセデスは、6年連続でドライバーズおよびコンストラクターズの両選手権でタイトルを獲得したことになる。ルイス・ハミルトンはまたもほぼ完璧であり、バルテリ・ボッタスは前年よりも見事な走りで、チームの覇権を確固たるものにするのに貢献した。

 もちろん今では“ラッキー・セブン”が彼らの視野に入っているだろうが、どこかの時点で彼らの一連の成功が終わる時がくるだろう。2020年は現在のレギュレーション最後の年となる。もしメルセデスが2021年の変化の方へより集中するのなら、ライバルチームにチャンスを与えることになるかもしれない。他に大きな問題はダイムラーが“チーム・ブラックリー”への出資を継続するかどうかだ。今後のメルセデスはまだ達成されていないことのうち、何を成し遂げればいいのだろう?

2019/12/27

『ホンダF1はなぜ勝てたのか』初公開映像も駆使し舞台裏に迫った番組がNHK BS1で元日放送

 2019年、モータースポーツの最高峰に位置するF1で、実に13年ぶりとなる優勝を飾ったホンダの姿を追ったドキュメンタリー番組『BS1スペシャル 最速に挑む! ホンダF1はなぜ勝てたのか』がNHK BS1で2020年1月1日20時に放送される。

 BS1スペシャルは注目スポーツの舞台裏や、世界と日本いま、時代の知られざる真実といった各種テーマに、ドキュメンタリーを中心に大スケールで迫るNHKの大型特集番組だ。その新年第1回目の放送が2020年元日に行われるが、当該回のテーマにホンダF1が選ばれた。

 2019年シーズン、F1復帰5年目を迎えたホンダは、王者メルセデス、名門フェラーリとともに“3強”と呼ばれるレッドブル・レーシングとタッグを組み、6月28~30日に行われたオーストリアGPで2006年以来、13年ぶりの優勝を達成。
 
 また、翌7月のドイツGPで2勝目、11月に開催されたブラジルGPではシーズン3勝目を28年ぶりのワン・ツー・フィニッシュで飾っている。

 番組ではホンダF1が挑んだ2019年シーズンの戦いを振り返るとともに、“復活”を支えたホンダ社内の航空機部門との縦割りを超えた連携など数々のドラマを特集。初公開映像も駆使しながら“ワンチーム”となって世界最速に挑んだ日本企業の姿を紹介していく。

 放送は1月1日20時00分から。語り部はNHKアナウンサーの豊原謙二郎さんと、声優の水樹奈々さんが担当する。

■番組情報

番組名:BS1スペシャル 最速に挑む! ホンダF1はなぜ勝てたのか
放送局:NHK BS1(BS 101ch)
日時:2020年1月1日(水)20時00分
語り:豊原謙二郎、水樹奈々
ホームページ:https://www4.nhk.or.jp/bs1sp/x/2020-01-01/11/3044/2393183/

F1オーストリアGPの表彰台で、ホンダのロゴマークを指差すマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
F1オーストリアGPの表彰台で、ホンダのロゴマークを指差すマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)

2019/12/26

ホンダ山本MD 2019年総括(2):鈴鹿で山本尚貴が初走行「ファンの前で、日本人が現代のF1で頑張れる姿を披露したかった」

 ホンダF1の山本雅史マネージングディレクターが、レッドブルと初のタッグを組み3勝を挙げた2019年シーズンを振り返った。

──2019年は日本GPで山本尚貴選手がトロロッソのマシンを駆り、久しぶりに日本人ドライバーがF1マシンを走らせました。
山本雅史マネージングディレクター(以下、山本MD):
ホンダは育成システムをやっているので、いつかは日本人をF1に乗せてほしいという声もたくさんあった。そういう方たちも含めて、日本のモータースポーツファンの前で、日本人ドライバーが現代のF1で頑張れる姿を披露したかった。その思いを受け入れてくれたレッドブルとトロロッソには本当に感謝しています。

 尚貴はサーキットでF1マシンを走らせる経験がないまま、鈴鹿を走ることになったわけですが、それでもあれだけの走行を実現できたことを(ヘルムート・)マルコ(モータースポーツアドバイザー)もクリスチャン(・ホーナー/レッドブル代表)もフランツ(・トスト/トロロッソ代表)も高く評価していました。

 あとでチームから聞いたんですが、『ナオキの無線でのやりとりのレベルがレギュラードライバーと変わらなかったし、セッション後のミーティングではエンジニアたちに自分の意見をしっかりと伝えていた』そうです。そのような評価を聞いて、尚貴がホンダにとって優秀な良いドライバーだという思いを強く持ち、あらためて尚貴を乗せて良かったと思っています。

──今後に向けては?
山本MD:
レーシングドライバーというのはだれでも頂点はF1だという気持ちがあると思うので、チャンスがあれば、そういう興味を持つのは当たり前。もしそういう機会があれば、皆さんにいい報告をし、発表ができればいいという期待を持っています。

──2019年シーズンにヨーロッパでFIA-F2とFIA-F3を戦った3人の選手についてコメントをお願いします。
山本MD:
松下(信治)選手は1年間日本でレースをした後、イギリスの新たなチームでレースを戦ったわけですが、序盤戦はうまく噛み合わなかった。トラブルに見舞われるという不運もありました。そんな中、モナコ以降は別人のような活躍を見せ、この1年間で彼が大きく成長したことを実感させてくれました。もともとレースは強かったんですが、2019年は予選も安定しました。選手権4位以上になれず、F1に乗るためのスーパーライセンスポイントを獲得できなかったことは残念ですが、レーシングドライバーとして大きく成長し、2020年以降が楽しみです。

 角田(裕毅)選手に関しては、所属したイェンツァーが結果的にそれほどパフォーマンスが高くないチームだったことは、マルコとも反省しています。そんな中で、彼は『チームとともに成長できたことはいい勉強になりました』と言ってくれ、フランスではほぼ最後尾から7位まで挽回し、イタリアでは優勝した。

 名取(鉄平)選手に関しては、言葉の問題などからチームとのコミュニケーションがスムーズにいかず、チームと一体感が形成できなかった。それでもイタリアでの走りには光るものがあった。ラインが一人だけ違っていた。レーシングドライバーとしてのセンスがあることは確認できたことはポジティブだったと思います。

──2021年もホンダはF1活動を継続すると発表しました。
山本MD:
ブラジルGPの後、マルコが日本に来て、ミーティングを行いました。そこで、いい形で21年の中身に関して合意に達しました。その合意に至るスピードを加速した要因には、2019年シーズンの活躍があったことは間違いありません。レッドブルとトロロッソの両チーム、そしてホンダのF1活動に関わってくれた多くのスタッフの方たちに、あらためて感謝を申し上げます。

──2020年の抱負をお願いします。
山本MD:
マックス(・フェルスタッペン)が言っているように、常に勝てるパフォーマンスが望めるよう、私たちホンダとしてはパワーユニットの開発を冬の間にさらに加速させて、来年の開発を迎えたいと思います。

広告

2019/12/25

ホンダ山本MD 2019年F1総括(1):「レッドブルと実際に仕事をすると、予想していた通りのトップチームだった」

 ホンダF1の山本雅史マネージングディレクターが、レッドブルと初のタッグを組み3勝を挙げた2019年シーズンを振り返った。

──2019年から山本さんはモータースポーツ部長からマネージングディレクターとして、ホンダのF1活動を指揮しました。2018年との違いを教えてください。
山本雅史マネージングディレクター(以下、山本MD):
まずF1に集中できるということです。2018年は(モータースポーツ部長として)いろんなカテゴリーのレースを見なければならなかったので、F1に全戦来ることができませんでした。出席できたのは、だいたい13戦か14戦。6割ぐらいでした。

 それが、今年は初めて皆勤賞で(F1に全戦)出勤しました。2019年はトロロッソだけでなく、レッドブルにもホンダはパワーユニット(PU/エンジン)を供給し、2チーム4台体制となり、現場で私がやるべき仕事が増えました。

 今回(2019年の最終戦となったアブダビGP)も、木曜日にフランツ(・トスト/トロロッソ代表)とミーティングを行いました。田辺(豊治F1テクニカルディレクター)が行っているテクニカルな部分以外のチームからのリクエストは私が聞いて、田辺へうまく橋渡しができたと思います。

 レッドブルに関しては、クリスチャン(・ホーナー代表)が現場監督的な役割を担っているので、田辺とミーティングすることが多く、私はレッドブルとトロロッソを統括しているモータースポーツアドバイザーの(ヘルムート・)マルコさんと話し合う機会が多かったですね。

──F1では、さまざまなミーティングが日常的に行われていますよね。
山本MD:
そうですね。ホンダがパワーユニットを供給しているチーム以外の人たち、例えばFOM(フォーミュラ・ワン・マネージメント)の方たちともミーティングしました。チェイス・キャリー(F1会長兼CEO)から『シーズン開幕前にイギリス・ロンドンでコンストラクターズ会議があるから、ホンダも是非参加してほしい』というメールをいただき、ホンダの代表として私は初めてコンストラクターズ会議にも参加しました。

 そこでFOM(F1)が将来に関して、どのようなビジョンを持っているのかを確認できただけでなく、ほかのチーム代表がそれについて、どのような考えを持っているかを知ることもできました。FOMとの関係においても良い効果が出ていたと思いますし、そういった意味で、今年私がF1に全戦参加したことは、ホンダにとってあらたな一歩に繋がったと思います。

──今年はホンダにとってレッドブルへもパワーユニット供給を開始しました。パートナーとして1年間戦ってみて、レッドブルがどのようなチームだったと感じましたか。
山本MD:
レッドブルというチームに関しては外からですが、2018年までも見ていたし、2019年からパートナーを開始する契約を締結した後はミーティングを行い、ファクトリーにも行っていたので、2019年の1年間戦ってというよりも、その前にどんなチームであるかはわかっていました。

 そして、実際に一緒に仕事を始めてみて、予想していた通りのトップチームでしたし、仕事を進めていく中で、『このチームとだったら、さらにすごいことができるんじゃないか』と我々ホンダのスタッフたちを興奮させてくれるチームでした。

 レッドブルやトロロッソと仕事してみて感じることですが、両チームともテクニカルな面でもマネージメントの面でも非常にシンプル。勝つことへのこだわりに関してはホンダと同じで、ピュアに戦ちに行けるという意味ではとても組みやすいチームです。

──レッドブルと組んだ2019年の活躍を山本さんはマネージングディレクターとして、どのように評価していますか。
山本MD:
2018年にレッドブルはルノーのパワーユニットを搭載して4勝していたので、ホンダというメーカーとして、個人的にはその数字を上回りたかった。とはいえ、昨年の4勝はマックスとリカルドが2勝ずつで、今年はマックスだけで3勝しました。

 また、個人的にはポールポジションを取りたいと思っていましたので、2回プラス1回(ポールポジションを獲得しながら、黄旗無視で降格したメキシコGPの分)という成績は良かった。

 レースというのは、さまざまな状況によって変わりますが、予選はクルマの純粋な速さを示すことができるので、研究所で仕事しているスタッフにとってはとても勇気づけられる結果となったと思います。こうした2019年シーズンの成績は、ホンダを強くしてくれる大きなきっかけを作ってくれたと思います。

 その背景には、HRD Sakura(栃木県さくら市にあるホンダの技術開発研究所)で指揮を執っている浅木(泰昭/HRD Sakuraセンター長/パワーユニット開発責任者)が、日本でいいジャッジをしてくれたと思うし、その浅木たちが開発したパワーユニットをサーキットで走らせた現場のスタッフを、田辺がしっかりとまとめていたことも忘れてはならない。

 田辺はホンダで最もレースを知っているひとりで、目の前で起きている状況を即、解析し判断できる能力の持ち主。それに対する信頼は揺るぎない。またHRD Sakuraだけでなく、ホンダF1の開発に協力してくれたさまざまな研究所の皆さんの努力があったことも忘れてはなりません。おかげさまで良いシーズンを送ることができたと思っています。

ホンダ山本MD 2019年F1総括(2)に続く

2019/12/20

スクーデリア・トロロッソ、14年の歴史を振り返る2020年F1カレンダーが公式サイトで公開中

 2006年シーズンよりF1世界選手権に参戦しているスクーデリア・トロロッソ。2020年シーズンからは『スクーデリア・アルファタウリ』に名称が変更されることが決定しているため、今シーズンがトロロッソとしての最終年となった。チームはF1に参戦した14年の歴史を振り返りできる2020年のカレンダーを公式サイトで公開している。

 スクーデリア・トロロッソは、エナジードリンクメーカーであるレッドブルが前身チームのミナルディを買収し、レッドブル・レーシングのジュニアチーム的存在として2005年に設立されたチームだ。F1には翌2006年から参戦を開始した。

 2008年のF1第14戦イタリアGPではウエットコンディションのなか、前年途中よりチームに加入したレッドブル育成ドライバーのセバスチャン・ベッテルの手によって、チーム初ポールポジションから初優勝を成し遂げた。

 この優勝はミナルディ時代も含め、チームにとって初表彰台、そして初優勝となった。またベッテルにとっても、当時のF1史上最年少記録で優勝を果たした。

2008年F1第14戦イタリアGP 雨のモンツァで、当時21歳のベッテルの手によりチーム初優勝を果たした
2008年F1第14戦イタリアGP 雨のモンツァで、当時21歳のベッテルの手によりチーム初優勝を果たした

 2018年からはホンダとワークス待遇でタッグを組み、エントリー名が『レッドブル・トロロッソ・ホンダ』と変更された。第2戦バーレーンGPではピエール・ガスリーが、ホンダの復帰以来最高位となる4位入賞とドライバー・オブ・ザ・デーを獲得した。

 迎えた2019年シーズンはチーム史上最高とも言える年となった。第6戦モナコGPでのダブル入賞をはじめ、第11戦ドイツGPでダニール・クビアトが大荒れのウエットレースを耐え抜き3位フィニッシュ。トロロッソにとって実に11年ぶりの表彰台獲得となった。

 そして第20戦ブラジルGPでは、ガスリーがメルセデスのルイス・ハミルトンとのファイナルラップ、フィニッシュラインまで続いたバトルを制し2位でチェッカーを受け、ガスリーにとって自身初の表彰台を獲得した。

 2019年はチーム史上初となる、同シーズンで2度の表彰台を獲得するなど活躍を見せたトロロッソ。チームは設立以来最多となる85ポイントを獲得し、コンストラクターズランキング6位でシーズンを終えた。

2019年F1最終戦アブダビGP スクーデリア・トロロッソ・ホンダの集合写真
2019年F1最終戦アブダビGP スクーデリア・トロロッソ・ホンダの集合写真

 そんな14年の歴史が詰まったスクーデリア・トロロッソの2020年度版カレンダーが公式サイトで公開されている。カレンダーはPDF形式で配布されており、誰でもダウンロード可能だ。

 カレンダーには2006年から2019年までの写真が使用されており、2008年イタリアGPでのベッテル優勝シーンや、若き日のダニエル・リカルドやマックス・フェルスタッペン、カルロス・サインツなども写真に収められている。

 2020年のF1開催日が国旗と日付でも確認でき、利便性とビジュアルが両立されたトロロッソカレンダー。ダウンロードはスクーデリア・トロロッソ公式ホームページ(https://scuderiatororosso.redbull.com/en/toro-rosso-2020-calendar/)まで。

2019/12/20

ホンダ田辺TD 2019年F1総括(3):ベストレースはオーストリアGP「レッドブルの地元で力強い走りが見せられた」

 ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターが、レッドブルとトロロッソの2チームとともに戦ったホンダの5年目のシーズンを振り返った。

──田辺さんにとって、2019年シーズンのベストレースは?
田辺豊治F1テクニカルディレクター(以下、田辺TD):
やはり、最初に優勝したオーストリアGPになると思います。いろんな状況が味方したとはいえ、レッドブルの本拠地で力強いレースが見せられました。また個人的には表彰台に上げさせてもらいました(笑)

──ホンダのスタッフが表彰台に上がったのは、2006年のハンガリーGPで当時、ホンダの社長を務めていた福井(威夫)さん以来でした。
田辺TD:
福井さんは、上がる権利がありました(当時はホンダがBAR買収してワークスチームとして参戦)。でも、それ以前はホンダのスタッフが表彰台に上がった記憶はありません。たぶん、第2期のときもなかったんじゃないでしょうか。

──確かにコンストラクターでないホンダのスタッフである田辺さんが表彰台に上がって優勝トロフィーを受け取るというのは、珍しい光景でした。
田辺TD:
表彰式が終わって、チームに『トロフィーはどうすればいい?』と聞いたら、『これはレッドブルで預かるから』って言われたので、すぐにお渡ししました。

──次に印象に残るレースは?
田辺TD:
当然、勝ったレースや最後の方のレースというのは記憶に新しいわけですが、やっぱり開幕戦の表彰台でしょうか。オフシーズンの結果を考えれば、トップ3チーム6台の中で、我々はその中で一番下だった。つまり、前に4台いるわけで、そこから表彰台に上がるためには2台を抜かないといけない状況でしたが、マックス(・フェルスタッペン)がきちんと走ってくれた。レッドブルとパートナーを組み、周囲の期待も大きい中、開幕戦でいきなり表彰台を手にしたことは、非常に励みとなりました。

──もうひとつ、挙げるなら?
田辺TD:
(ブラジルGPの)ワン・ツーですかね。レッドブル・ホンダとしての初のポール・トゥ・ウィン。トロロッソ・ホンダの2位も(ピエール・)ガスリーが常にセカンドグルーブのトップを走行し、いろんなことがあって最終的に2位。チームは違いますが、ホンダとしてはベストな結果が残せました。

──逆に残念だったレースは?
田辺TD:
日本GPですかね。鈴鹿という特別な場所で、日本のファンの方々、そしてホンダの従業員にレッドブル・ホンダに乗ってマックスが戦う姿を最後まで見てもらいたかった。しかし、(スタート直後の2コーナーでの接触によって)ダメージを受けて、それを果たすことができなかったことは非常に残念でした。

──2019年から2チームにパワーユニット供給を開始したわけですが、苦労と喜びは、どちらが大きかったですか。
田辺TD:
苦労以上に、今年の結果はうれしいかったです!!

──今年もありがとうございました。そして、1年間、お疲れ様でした。

広告

2019/12/19

ホンダ田辺TD 2019年F1総括(2):事前確認の強化でトラブルが減少「上を目指すための開発ができるようになった」

 ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターが、レッドブルとトロロッソの2チームとともに戦ったホンダの5年目のシーズンを振り返った。

──2019年シーズンのパワーユニット(PU/エンジン)を振り返りたいと思います。まずスペック1は、どのようなパワーユニットだったのでしょうか。
田辺豊治F1テクニカルディレクター(以下、田辺TD):
基本的には2018年の最終スペックだったスペック3をさらに向上させた仕様です。そのスペック3をベースに2019年のスペック1が開発され、(第4戦アゼルバイジャンGPから投入された)スペック2は、スペック1で不安があった信頼性を向上しただけでなく、スペック1よりも信頼性が向上した分、ICE(内燃機関)のパフォーマンスも上げられるような仕様になっていました。

 そして、スペック3で改良されたターボが入りました。そして、スぺック4でICEが改良されました。さらにスぺック4投入時には燃料も新しくなって、性能アップにつながったと思います。2018年のPUはスペック1とスペック2に比べて、スペック3でそれまでより大きく性能を向上させた仕様になっていましたが、2019年はスペック3だけでなく、スペック4でもステップアップできたと思っています。

──信頼性について、お尋ねします。2018年は年間で8基を投入しましたが、2019年は例えばレッドブル側では5基でとどまりました。しかも、その中にはトラブルが理由ではなく、戦略的な観点から新しいパワーユニットを投入したものもありました。この数字をどのように評価しますか。
田辺TD:
戦略的とはいっても、グリッドペナルティのことを考えれば、変えなくてもいいのなら変えないほうがいい。つまり、本来であれば、採らなくてもいい戦略だったという言い方もできる。だから、そこはレギュレーションの規定数の中で年間をしっかり戦うというのが当然の目標だし、やるべきことだと思っています。

──2020年にさらに上を目指すためには、その辺りが重要になりますね。
田辺TD:
ここからは、もう楽な戦いはない。グリッド1つでもギリギリの戦いになってくる。そういう意味では、パワーユニットのトラブルによる成績への損害をチームに与えないような運営をしていかなければなりません。

──とはいえ、現場でのトラブルは大きく減ったと思います。
田辺TD:
すべて失敗に学んでいるということです。いままでのやり方ではカバーできなかったことがあり、それでサーキットで走らせてみたら、トラブルになるということが散見されました。

 例えば、2018年のスペック3のオシレーション(共振)のように、いままでのスペックでは出なかった問題が、新しいスペックになって、違う世界に入っていったら出た。そういう経験がHRD Sakura(栃木県の本田技術研究所)とHRD MK(イギリスの拠点・ミルトンキーンズ)の連携を一層強くし、ダイナモを使った事前確認を強化するきっかけとなりました。

──性能面についてはいかがですか。
田辺TD:
ホンダはこれまで数年間、開発してきて、いろいろ見えてきた。壊れたモノを直すという時間の使い方から、上を目指すための開発に時間を使えるようになってきた。そして、2019年はそれなりに(ライバルに)近づいてきました。

 ただし、これからは重箱の隅をつついていくような開発となるでしょう。重箱の隅をつついたぐらいで追いつけるのかと言われるかもしれませんが、重箱の隅でもチリも積もれば、です。もちろん、現在のパワーユニットにはまだ開発できるエリアが残って、ライバルがさらに大きく前進してくるかもしれないので、われわれとしても、重箱の隅をつつきつつも、新しいものを投入できるような開発を続けたいと思っています。

ホンダ田辺TD 2019年総括(3)に続く

2019/12/19

アルファタウリ・ホンダF1のニューマシン公開日が決定。オーストリアで発表会を開催

 スクーデリア・トロロッソは、アルファタウリと改名して迎える初のシーズンに走らせるマシンの発表日を明らかにした。

 2006年からF1に参戦しているトロロッソは、2020年にはレッドブルが所有するファッションブランドであるアルファタウリをチーム名とすることが決まっている。新たなスタートを迎える同チームは、ニューマシンを2月14日に披露することを発表した。発表会はオーストリア・ザルツブルク空港に親会社レッドブルが所有する施設『ハンガー7』で開催される。

レッドブル系ファッションブランド『アルファタウリ』のロゴ
レッドブル系ファッションブランド『アルファタウリ』のロゴ

 2019年、トロロッソは2回の表彰台を獲得して、チーム史上ベストタイのコンストラクターズ選手権6位を獲得した。アルファタウリとして参戦する2020年には、ホンダとのパワーユニット(PU/エンジン)契約3年目を迎える。ドライバーは2019年から変更なく、ダニール・クビアトとピエール・ガスリーを起用。一方で、名称変更に伴い、チームカラーがブルーから一新される可能性がある。

 2020年のシーズンオフテストは2月19日にスタートする。

■2020年F1新車発表会スケジュール
フェラーリ:2月11日
アルファタウリ・ホンダ:2月14日

2019/12/18

「レッドブル・ホンダF1加入は責任重大だが大きな一歩だった」アルボン、2020年は上位争いに期待

 レッドブル・ホンダのアレクサンダー・アルボンは、2020年の主な抱負として、チームメイトのマックス・フェルスタッペンとのギャップを埋め、上位で戦うことを掲げた。

 アルボンにとって、激動の12カ月だった。2018年後半に、レッドブルのモータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコがアルボンをF1に参戦させるため、彼のフォーミュラE参戦プランを中止させたことで事態が一転した。

 トロロッソ・ホンダでのシーズン前半戦の12レースを成績が認められ、シーズン後半よりレッドブルへの移籍が決まったアルボンは、レッドブルでも引き続き高く評価された。

「僕が来年ブラジルでルイス(ハミルトン)と表彰台争いをすることになると、もし誰かが2018年11月の時点で言ったとしたら、『嘘をついている』と僕は答えただろう。その時点ではF1の走行経験もなかったからね」と、アルボンは当時を振り返った。

 アルボンはシーズン後半戦でも一貫性を持ち続け、1戦を除いたすべてのレースでチームにポイントをもたらした。その1戦、すなわち第20戦ブラジルGPでは、ラスト2周のところでハミルトンの強引なオーバーテイクにより表彰台獲得のチャンスが奪われてしまった。

 だがアルボンは全体的にまだ学習段階にあることを理解しているものの、自身のF1デビューシーズンに満足している。

「トロロッソでの仕事は最高だったよ。すごく気にかけてくれたし、チームの一員だと感じた」

「レッドブル・レーシングに呼ばれたのは僕にとって大きな一歩だったが、本当に責任重大なことだったし、F1でのルーキーとしてインパクトを与えて、自分ができることを証明したかった」

「2020年シーズンに向けて取り組まなければならないことがあるけど、まず改善箇所がどこにあるのかよく理解することから始めているよ」

 アルボンは決勝レースでは成果を出したが、フリー走行では何度か大きなミスをした。

「どこで改善できるのか、どこを改善しなければならないのか自分に問わなければならなかった」

「フリー走行でもう少し落ち着いて、オーバードライブしないようにする必要がある。ブラジルGPの時にで何ができるかを試したから、2020年に向けて冬の間に強化したい」

「僕はまだF1の経験が1年だけで、チームに加入して半シーズンにも満たないけれど、目標はマックスとの差を縮めることだ」

 フェルスタッペン同様に、アルボンは来年3月の開幕戦オーストラリアGPから力強いパフォーマンスを発揮することを目指している。

「僕たちはもう少し強力なスタートを望んでいる。スタッフたちはもうファクトリーで全力で働いているし、僕たちはメルセデスやフェラーリにプレッシャーを与え続けたい」

「ギャップが縮小しつつあるから、来季は前向きだと考えているよ。僕たちには優れた基盤がある。それはマシンの開発にとってものすごく重要なことだ。次のステップへ進みたいね」

「すべてが正しい方向に進んでいる。来年は先頭集団で争いたいよ!」

広告

2019/12/18

ホンダ田辺TD 2019年F1総括(1):2チーム体制で重視したのは情報共有の流れ「ファクトリーの仲間とも常に連携」

 ホンダF1の田辺豊治F1テクニカルディレクターが、レッドブルとトロロッソの2チームとともに戦ったホンダの5年目のシーズンを振り返った。

──2019年は昨年までのトロロッソだけでなく、レッドブルを新たに加え2チームへパワーユニット(PU/エンジン)を供給しました。
田辺豊治F1テクニカルディレクター(以下田辺TD):
現場でのエンジニアリング側のスタッフの数は、2018年の2倍マイナス1人でした。マイナス1人というのは、私(田辺TD)のことで、2019年はトロロッソとレッドブルの2チームを、私が統括して見ていました。

 2018年は田辺&本橋(正充​/ホンダF1副テクニカルディレクター)でやっていましたが、2019年はそこにテビッド・ジョージが加わり、トロロッソは田辺&本橋(トロロッソ担当テクニカルディレクター)体制で、レッドブルは田辺&ジョージ(レッドブル担当テクニカルディレクター)体制となりました。

レッドブル担当テクニカルディレクターのテビッド・ジョージ
レッドブル担当テクニカルディレクターのテビッド・ジョージ

 それ以外のPUパフォーマンスエンジニア、ERSエンジニア、テクニシャン、メカニックも、レッドブルもトロロッソもまったく同じ人数で単純に2倍となりました。この体制で臨むことは、2019年からレッドブルとパートナーを組むことが決まった2018年の6月から考えていたことだったので、2019年に向けて人材を育成しつつ、スキルのあるスタッフを外部から雇用するなどしました。

 サーキットの現場でレースする我々のためにパワーユニットを開発し、組み立て、準備する日本(HRD Sakura/栃木県さくら市にあるホンダの技術開発研究所)やミルトンキーンズ(HRD MK/イギリスの拠点・ミルトンキーンズ)のスタッフも増えました。もちろん、単純に2倍ではありませんが、最適かつ最小限の増強を図りました。

──本橋さんは第3期時代から田辺さんと一緒にF1をやってきたスタッフですが、ジョージさんはどういった経歴の持ち主ですか。
田辺TD:
私がアメリカでインディを戦っていたときに、HPD(ホンダ・パフォーマンス・デベロップメント)のスタッフとして一緒に仕事した仲です。その後、HPDを辞めて、コスワースへ行ったり、NASCARのテクニカルディレクターを務めるなど、さまざまなモータースポーツ活動を経験したベテランです。

 私がF1に来る前のHPD時代には、コンサルタントとして、一緒にレースに帯同してもらっていました。その後、私はF1の担当となり、2019年に向けて2チーム供給の話が出始めたときに、『2チーム供給になったら、一緒にやってもらえないか?』と相談したところ、快諾してもらい、2018年の序盤戦あたりから合流してくれました。

──ジョージさんを起用した理由は何ですか。
田辺TD:
彼をこの役職に抜擢した理由のひとつは、ホンダをよく知る外国人エンジニアということです。彼はHPDが雇った日本人以外の最初のエンジニアでした。所属はHPDでしたが、日本のホンダの研究所でも仕事していた経験があり、日本の研究所の日本人エンジニアがどういうものの考え方をして、仕事にどのようにアプローチするのかを間近で見てきたので、日本人エンジニアとどう接すればいいのかのを理解している外国人エンジニアだということです。

 したがって、ホンダに入って、技術以外のところで右往左往することはないことはわかっていたので、それを理解したうえで抜擢しました。

──2チーム体制で重視したことは何ですか?
田辺TD:
2チームの間の情報共有です。日本(HRD Sakura)とミルトンキーンズ(HRD MK)を中心にした情報の流れがスムーズになるよう整備しました。私たちは現場にいるスタッフだけで戦っているのではなく、ファクトリーにいる仲間たちとも常に連携をとっています。彼らの支えがあるからこそ、我々が現場でパワーユニットの性能を最大限引き出すことができていることも忘れてはなりません。

2019年F1第9戦オーストリアGP 優勝したマックス・フェルスタッペンにシャンパンをかける田辺豊治F1テクニカルディレクター
2019年F1第9戦オーストリアGP 優勝したマックス・フェルスタッペンにシャンパンをかける田辺豊治F1テクニカルディレクター

ホンダ田辺TD 2019年F1総括(2)に続く

2019/12/14

レッドブルF1のフェルスタッペン「ホンダはパワーの面でメルセデスにほぼ追いついた」

 レッドブル・ホンダF1のマックス・フェルスタッペンは、ホンダのパワーユニット(PU/エンジン)について、馬力に関してはメルセデスにかなり近いところまでいっていると語った。メルセデスは現在のターボ・ハイブリッド時代に入ってから6年連続でダブルタイトルを獲得している。

 ホンダは2015年にマクラーレンのパートナーとしてF1に復帰。その契約を解消した後、2018年からはトロロッソに、2019年からはレッドブルにもパワーユニットを供給している。

 レッドブル・ホンダとして迎えた初めてのシーズンで、フェルスタッペンはオーストリア、ドイツ、ブラジルで勝利を挙げた。一方、トロロッソ・ホンダも2019年には大きな成功を収め、ダニール・クビアトがドイツで3位、ピエール・ガスリーがブラジルで2位と、2回の表彰台を獲得した。

2019年F1第9戦オーストリアGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)が優勝
2019年F1第9戦オーストリアGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)が優勝

 フェルスタッペンはシーズン終盤、ロイターに対し「僕らは正しい道を進んでいる。エンジンのパワーの比較でいうと、僕らはメルセデスにかなり近いところにいる。来年に向けてとても心強い」とコメントした。

■「ホンダの高い信頼性はタイトルを争う上で大きな武器になる」とフェルスタッペン

 フェルスタッペンが、ホンダのパワーユニットはメルセデスのパフォーマンスに追いつきつつあり、信頼性も非常に優れているとして高く評価したと、formula1.comも伝えている。

「僕らはメルセデスにかなり近いところにいる。(ホンダは)必死に作業に取り組んできた。最後のふたつ(のエンジンスペック)で大きな改善を果たした」とフェルスタッペン。

「一年を通して目標を持って戦い、その目標と同レベルかそれを超える成果を常に出してきた。それはとてもポジティブなことだと思う。今までになかったことだからね。(ホンダは)持ち込もうとしているものに関してとても正直だ。時には予想よりもよくなる。そうなればもちろん、なおさらうれしいよね」

「今年、ホンダの問題でリタイアしたことはない。一年を通して信頼性が高かったのはとてもポジティブなことだ」

「僕らは過去に信頼性の問題によってたくさんのポイントを失ってきた。マシンとエンジンの両方に問題が起きたんだ。世界タイトルを狙うには、そういうことでリタイアするわけにはいかない。だから状況が改善したことを喜んでいる」

 フェルスタッペンは2019年に3勝を含む9回の表彰台を獲得、王者メルセデスのルイス・ハミルトンとバルテリ・ボッタスに続くドライバーズランキング3位を獲得した。

 コンストラクターズ選手権では、レッドブル・ホンダはメルセデスとフェラーリに続く3位、トロロッソはチーム史上ベストタイの6位をつかんだ。

 レッドブル・ホンダとフェルスタッペンは、2020年には本格的にF1タイトル争いに加わることを目指すと明言している。

2019/12/10

フェルスタッペン「レッドブル・ホンダは2020年のF1タイトルを狙える」

 マックス・フェルスタッペンは、アストンマーティン・レッドブル・レーシングなら2020年シーズンの世界タイトルを狙えるが、上位グループで戦うためには開幕から力強いスタートを切っておく必要があると考えている。

 2019年のレッドブルは、例年通りメルセデス、フェラーリのライバル勢と並ぶF1タイトル制覇の有力候補と目されていた。しかし、フェルスタッペンの挙げた年間3勝だけでは、新たにホンダPUを搭載したレッドブルがチャンピオンシップの頂点に上り詰めるには足りなかった。

 12月6日にフランス・パリで行われたFIAの年間表彰式に出席したフェルスタッペンは、「今年のパッケージには、当初は若干苦労したよ」と語った。

「優勝を争うような戦いはほとんどできなかったし、表彰台もかなり厳しかった。だから、できるだけ一貫性を保とうとすることがテーマだったんだ」

「チーム全員、2020年はもっと競争力を高めたいと考えている。シーズン開幕から競争力を発揮しなければいけないし、タイトル獲得に向けて戦っていきたい」

「そのために全力を注ぐ。簡単なことではないけれど、僕たちはタイトルを狙いにいく。できることはすべてやるつもりだ」

「このチームは過去にもそれができることを証明してきた。だから、これは単なる希望的観測などではないよ」

 現在22歳のフェルスタッペンは、チームとの現契約が切れる2020年シーズン末よりもかなり前から、F1における自身の将来像を明確化していくつもりだろう。

 とはいえ、彼が2021年の選択肢を検討し始めるのはもっと先のことになりそうだ。

「正直に言って、今はそのことをあまり考えていないんだ。2021年について他にも選択肢があることはもちろん分かっている」

「契約はあと1年だ。だけど、今は2020年シーズンの開幕当初に何が起きるのかを見極めることの方が大事だと思っている。それ以降に、もっと先のことが見えてくるだろうね」

広告

2019/12/10

アルボン、激動の1年間を振り返る「レッドブル昇格でルーキー気分は消えたけど、とても順調」

 アレクサンダー・アルボンはF1初シーズンとなった2019年の半ばでレッドブルに昇格したことで、F1ルーキーとしての気分が消え去ったと述べている。

 アルボンのモータースポーツにおけるキャリアは1年前に一変した。ニッサンからフォーミュラEに参戦するはずだったアルボンは、レッドブルのモータースポーツアドバイザーのヘルムート・マルコから、トロロッソのF1シートという、より魅力的なオファーを受けてF1への参戦を決断したのだ。

 23歳のアルボンのルーキーイヤー前半におけるパフォーマンスは非常に印象的なもので、マルコはレッドブルで結果を出せなかったピエール・ガスリーとアルボンを、F1の夏季休暇中に交代させた。

 そしてアルボンはレッドブル昇格後も勢いを維持して優れた実績を積み重ねていったため、2020年もレッドブルに残留できることになった。

「時には自分はまだルーキーなのだと自身に言い聞かせなければならなくなる。なぜならレッドブルにいると、期待をかけられて、ルーキーとしての気分が消えてしまうからだ」とアルボンは語った。

「振り返って考えてみても、(2019年シーズンに)僕は満足しているよ。ただ僕の性格上、素晴らしい瞬間があっても自分に厳しくしてしまう。そして常に改善したいと思っているんだ」

「ルーキーであることを言い訳にはしたくない。速くなるべき週末で、速くなりたいだけだ」

「ドライバーとして改善することは、僕自身の努力の一部だ。僕にはまだ改善の余地があることは分かっている。今も学び続けているけど、1年目の展開には満足しているよ」

 アルボンはその実績により、先週金曜日に行われたFIA授賞式でルーキー・オブ・ザ・イヤーを受賞し、日曜日の夜に行われたオートスポーツ・アワードでも同様の賞を受賞した。

 喜びの笑顔を見せたアルボンは、この激動の12カ月を総括した。

「フォーミュラEに参戦できることは嬉しかった。でも僕はトロロッソに加入した。それは素晴らしいチャンスだったんだ」

「(トロロッソに入って)6カ月が経つころにはマシンの良い感触を掴めるようになった。だからリラックスして夏季休暇に入ったんだ」

「そしてマルコから電話があり、20秒ほど会話をした。それは僕がビッグチーム(レッドブル)に昇格するという知らせだった」

「とても順調にいっている。まだ改善することが多くあることは分かっている。でも僕はそのことを楽しんでいるよ」

2019/12/10

レーシングポイントを抑えランキング6位。チーム史上最高のシーズンに/トロロッソ・ホンダF1コラム

 2019年最終戦アブダビGPのトロロッソ・ホンダには、コンストラクターズランキング5位が掛かっていた。ルノーとは8ポイント差。しかし7位のレーシングポイントとは16点差で、逆に順位を落とす可能性もある。

 歴史的に見て決して得意とはいえないヤス・マリーナ・サーキットだが、トロロッソ・ホンダは最初から“決勝重視“でレースに挑んだ。暑いコンディションのレースではタイヤのデグラデーションに苦しむ傾向にあり、特に今回のように柔らかいコンパウンドの際にはその傾向が強かったからだ。

 金曜フリー走行からそれを想定した慎重なプログラム構成を採った。

2019年F1最終戦アブダビGP ピエール・ガスリー(トロロッソ・ホンダ)
2019年F1最終戦アブダビGP ピエール・ガスリー(トロロッソ・ホンダ)

 結果としてダニール・クビアトが9番手、ピエール・ガスリーが10番手につけ好調のように見えたが、ソフトタイヤが数周で大きくタレることを考えればQ3に進むのは利口とは言えなさそうだった。

「ダニーと2台で色々と比較データ取りをして、明日以降に向けて色んなことが見えてきた。今日(金曜フリー走行2回目)は10番手だったけど、ソフトタイヤのデグラデーションの大きさを考えるとこれは望ましいポジションじゃない。あとコンマ数秒を見つけて7番手を狙わなきゃいけないし、15番手・16番手まで落ちるのだってコンマ数秒しかないんだ」(ピエール・ガスリー)

 決勝重視のセッティングで臨んだFP3では10番手・12番手と好調だったものの、予選では路面温度が下がる中でグリップを引き出せずに12番手・14番手と順位を下げてQ2で敗退となってしまった。

「良かったのはQ2のアタック1回目だけで、それ以外は正直言ってマシンのグリップがとてもプアだった。なぜだか分らないけど、マシンがスライドしまくってしまったんだ。そのせいで本来の走りができなかった」(ダニール・クビアト)

 しかしこれは結果的にトロロッソ・ホンダにとっては良い展開を生むことになった。

 ガスリーが語っていた通り、Q3に進んで中古のソフトタイヤでスタートすれば戦略の幅はかなり限られてしまう。ミディアムやハードタイヤでスタートして1ストップ作戦を採るのに較べれば不利が大きくなる。

 そして何より、純粋な速さでは及ばないマクラーレンやルノーを上回るには、異なる戦略を用意するしかないのだ。

「今回のソフトタイヤのタレを考えれば、予選で10番手に入るくらいなら11番手や12番手の方が良い。いずれにしても今日はマクラーレンやルノーには敵わなかったし10番手以内に入ることは難しかったと思うけどね。Q3に進んで彼らと同じ戦略になれば逆転はかなり厳しいだろう。マクラーレンの方が僕らよりもかなり速いからね。でも今回はタイヤ選択が鍵を握ることになると思う。スタートタイヤが自由に選べるなら1ストップ作戦も視野に入るようになる。ギリギリだけど、その方がまだ可能性があるんだ」

 決勝に向けてどんな戦略を採るべきか?ソフトスタートで2ストップ作戦になるかもしれないQ3進出組に対して、ミディアムスタートの定石を採るか、ハードスタートで引っ張って最後にプッシュする戦略を採るか。

 ここでトロロッソ・ホンダが選んだのは、ランキング5位争いをするルノーではなく、ランキング6位争いをするレーシングポイントを見てレースをするということだった。

 レーシングポイントはトロロッソ・ホンダより1つ前の予選11番手・13番手。確実に彼らの前後でフィニッシュできるレースをすれば、ランキングを逆転されることはない。だからトロロッソ・ホンダは2台で大量得点を狙うのではなく、ガスリーにミディアム、クビアトにハードと戦略を分けて確実にどちらか1台はレーシングポイントと同等の結果になるようにコンサバティブなアプローチを採ったのだ。

 チーフエンジニアのジョナサン・エドルスはこう説明する。

「どちらの戦略もそれぞれに良いところと悪いところがあって、レーシングポイントは2台ともミディアムスタートの戦略で来るだろうと読んでいたから、我々としてはそれも想定した上であらゆるケースに対してカバーしておきたかったんだ。だから1台は彼らと同じ戦略、そしてもう1台は異なる戦略を採ることで様々な展開、つまりセーフティカーがレース序盤に出ても終盤に出ても対処できるようにしておいたというわけだ。(レーシングポイントに完敗して)コンストラクターズランキング6位を失うようなことがないようにしたかったんだ。我々はマクラーレンやルノーのことはあまり気にせず、どちらかといえばレーシングポイントだけを見てレースをしていたんだ」

 ガスリーがそのレーシングポイント勢とスタート直後のターン1で接触し、フロントウイングを失って大きく後退してしまったのは痛手だった。ノーズを留めるボルトが壊れており、交換に手間取ってしまいウイリアムズから80秒も後方でコースに戻ることになり、セーフティカーが出てギャップが縮まることもなく、ここからハードタイヤで走り切る戦略を採ったものの挽回はできなかった。

 しかしクビアトはハードタイヤを非常に上手く保たせ、40周目まで引っ張ってみせた。クビアト自身、キャリアベスト走りだというほどの好走だった。

「ハードタイヤで走った第1スティントはおそらく僕のキャリアでベストな走りだったと思う。明日なんてもうないっていうくらいに(余力を残さず)プッシュし続けたんだ。毎ラップ周りの誰よりも速かったし、マシンのフィーリングがすごく良かった。そしてレース戦略は僕らがまさに狙ったとおりに上手くいったんだ、最高の戦略だったと思うよ」

 序盤はキミ・ライコネン(アルファロメオ)に抑えられたもののフリーエアになってからは良いペースを維持し、ミディアムに履き替えた最終スティントもニコ・ヒュルケンベルグ(ルノー)を抜いて9位にポジションを上げた。その際にフロントウイングにダメージを負ってそれ以上の追撃がならなかったのは残念だったが、ここ数戦は不本意なレースが続いていたクビアトが最後にしっかりと好走で締めくくったのは来季に向けて良かった。

「ここ数戦はいつも何かを掴み損ねていたような感覚だったしとても良いレースでシーズンを終えたかった。それができて本当に良い気分だよ。僕らはレースに合わせて最高のセットアップを決めていた。それによって予選パフォーマンスは少し犠牲になってしまったかもしれないけど、それを今日のレースでひとつにまとめあげたんだ」

 これまで苦手としていた柔らかいコンパウンドのマネージメントは非常に上手く行き、2020年シーズンに向けた学びになった。

「非常にタイヤを上手く使えて保たせることができたというところで色々と学べたことがあったとチームのブリーフィングでも話していました。今までは後方で競っているとタイヤを壊してしまって抜けない、タイムが落ちていってしまうということがありましたが、今日は色々と学べることがあったし、色んなツールを使ってマネージメントしている中で、何が良かったのかというのは来年に向けていかせるという意味で非常にポジティブな最終戦になったということですね」(ホンダ・田辺豊治テクニカルディレクター)

 ガスリーは1周目の事故が無ければ7位か8位にはなれただろうとチームはいう。それが事実なら、ルノーを逆転してコンストラクターズランキング5位も有り得たわけだ。

 しかし今のトロロッソ・ホンダのマシンパッケージの実力からすれば、コンストラクターズランキング6位が妥当な結果だろうとエドルスはいう。

「現実的に考えると我々の実力としてはランキング6位が妥当な結果だっただろう。シーズンを通してルノーの方がマシンパフォーマンスは優っていたからね。サーキットによっては我々も好パフォーマンスを発揮できたけど、マクラーレンの方が安定して一歩先を行っていたし、ルノーも僅かながら我々を上回っていた。そういう意味ではランキング6位というのは我々のマシンパフォーマンスを反映したものだと言えるだろうね」

 しかしこのコラムでも再三触れてきたとおり、今季のトロロッソ・ホンダはセットアップや戦略などレース運営で大きく進歩を遂げた。さらにイタリアの本拠地ファエンツァだけでなくイギリスにあるファクトリー、ビスターの空力部門の改善にも着手し、風洞のオペレーションも刷新してそれがしっかりと効果を発揮してきた。

 チームとして着実に一歩成長したのが今年のトロロッソ・ホンダだった。それがこうしてしっかりと結果にも反映されたということだ。

 フランツ・トスト代表はチーム史上最高のシーズンだったと振り返ったが、それは結果だけでなく内容を含めてのことだ。

「トロロッソにとっては2度の表彰台を獲得し、これまでで最も成功に満ちたシーズンになった。コンストラクターズランキングでも5位と僅か数点差の6位だ。ドライバーたちは献身的で成熟したパフォーマンスを発揮し、空力部門のもたらしたアップグレードも全て上手く機能した。そして信じられないほど素晴らしい仕事をしたホンダにも大きく感謝したい」

 そして2020年シーズンはアルファタウリと名を変え、さらに強いチームへと成長を遂げるはずだ。

「来年はさらに強くなると自信が持てる。2020年が楽しみだよ」

2019年F1最終戦アブダビGP ダニール・クビアト(トロロッソ・ホンダ)
2019年F1最終戦アブダビGP ダニール・クビアト(トロロッソ・ホンダ)

2019/12/09

ここ一番の勝負強さはまるでアロンソ。マクラーレンを引っ張る存在に成長したサインツ【今宮純のF1アブダビGP採点】

 F1ジャーナリストの今宮純氏が独自の視点でドライバーを採点。週末を通して、20人のドライバーから「ベスト・イレブン」を選出。予選やレースの結果だけにとらわれず、3日間のパドックでの振る舞い、そしてコース上での走りを重視して評価する。今回はF1最終戦アブダビGP編だ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・

☆ ダニール・クビアト(トロロッソ・ホンダ)
予選=14番手/決勝=9位

2019年F1第21戦アブダビGP ダニール・クビアト(トロロッソ・ホンダ)
2019年F1第21戦アブダビGP ダニール・クビアト(トロロッソ・ホンダ)

 驚いた。スタートタイヤをウイリアムズ勢以外で彼だけがハード、金曜FP2ではミディアムを試していたのに(ガスリーがハード担当)。この選択と1ストップ戦略は難しかったはずだが40周ロングスティントをこなし9位へ。

 トロロッソの目標はランク5位争い、だがガスリーがいきなりランス・ストロール(レーシングポイント)に接触され最後尾に後退、ルノーとの8点差を2点ちぢめ6位決定(08年ベスト・タイ結果)。チームメイトが入れ替わった今シーズンにレギュラーとして9回入賞、3度目の表彰台も。

☆ ジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)
予選=19番手/決勝=17位

2019年F1最終戦アブダビGP ジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)
2019年F1最終戦アブダビGP ジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)

 似たような結果に見えるが最後の健闘だ。1ストップ後に18周したオールド・ミディアムで50周目に自己ベストタイム13位を記録。体調不良が心配された週末も元気な走り、GP後の4日のタイヤテストでメルセデスに乗り込み、堂々トップタイム。速度次元が全く違うのに適応力を示した。

☆☆ ダニエル・リカルド(ルノー)
予選=8番手/決勝=11位

2019年F1第21戦アブダビGP ダニエル・リカルド(ルノー)
2019年F1第21戦アブダビGP ダニエル・リカルド(ルノー)

 終盤4戦連続入賞はならなかった。ここでは2020年シーズンのためのニューパーツ・テストを担当、PUトラブルなどもあり初日は16位。またもタイヤ温度問題を抱えたが土曜に大きくセッティングを変え、予選8番手はさすが。“オーバーテイク・マイスター”はセットアップ能力も持ち合わせているのだ。

☆☆ ランド・ノリス(マクラーレン)
予選=7番手/決勝=8位

2019年F1最終戦アブダビGP ランド・ノリス(マクラーレン)
2019年F1最終戦アブダビGP ランド・ノリス(マクラーレン)

 対サインツの予選で<11勝10敗>勝ち越した。何度も触れてきたが最年少20歳(11月13日に)ルーキーは、タイムアタック力がそなわっている。今年の新人3人でその部分が光る。ここでもセクターベストをしっかりそろえる7位。レース最終周の11コーナーでペレスとの真剣バトルに抜かれ、悔しさをむき出し(これもいいレッスン)。

☆☆ バルテリ・ボッタス(メルセデス)
予選=2番手~20番手グリッド降格/決勝=4位

2019年F1第21戦アブダビGP 予選2番手のバルテリ・ボッタス、ポールのルイス・ハミルトンを祝福
2019年F1第21戦アブダビGP 予選2番手のバルテリ・ボッタス、ポールのルイス・ハミルトンを祝福

 パワーユニットを2度交換して最後尾となるが今年最後の予選でセーブすることなくいった(気概を感じる)。このコース2本の直線で18周目まで“DRS機能停止”となり、メルセデスでもオーバーテイクは難しくなっていた。W10のストレートスピードは低く中団レベル、それでも5番手までポジションアップ。最後にルクレール(ソフトタイヤ)に仕掛けるもオールド・ハードでは果たせずに4位。誤解をおそれずに言えば今季のボッタスを象徴する結果に……。

☆☆☆ セルジオ・ペレス(レーシングポイント)
予選=11番手/決勝=7位

2019年F1第21戦アブダビGP セルジオ・ペレス(レーシングポイント)
2019年F1第21戦アブダビGP セルジオ・ペレス(レーシングポイント)

 ポジションアップ・レースが今年は15戦。最終戦もその強みを発揮しノリスをとらえると、11コーナー・エントリーからインサイドラインの“フェイント”をかけ、すかさずアウトサイドに。フェアーで巧妙な『ベスト・パッシング』のひとつ。ノリスとのランク10位攻防に勝ち、またここで中間チームのトップでゴール。

☆☆☆ シャルル・ルクレール(フェラーリ)
予選=4番手/決勝=3位

2019年F1第21戦アブダビGP 3位のシャルル・ルクレール(フェラーリ)と2位のマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
2019年F1第21戦アブダビGP 3位のシャルル・ルクレール(フェラーリ)と2位のマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)

 鬼門となったセクター3、走り出しからSF90は直角ターンで入口アンダーステア傾向が見てとれた。それをなんとかしようとアプローチのアクセリングを修正し、使用ギヤを変え、それでもカーバランスは最終盤戦で最も厳しい状態だった。(マシンが)決まらないときこそ彼のドライビングセンスが表れる。

☆☆☆ ニコ・ヒュルケンベルグ(ルノー)
予選=10番手/決勝=12位

2019年F1最終戦アブダビGP ニコ・ヒュルケンベルグ(ルノー)
2019年F1最終戦アブダビGP ニコ・ヒュルケンベルグ(ルノー)

 177戦のこれが総結果。4位3回、5位9回、6位20回、7位18回、8位18回、9位12回、10位14回(入賞率53%は現役ドライバーでトップ10レベル)。表彰台3位を阻まれた相手は12年ベルギーGPがキミ・ライコネン、13年韓国GPがロマン・グロージャン、16年ベルギーGPがルイス・ハミルトン。彼らは去るヒュルケンベルグの力量を充分に知っている。

☆☆☆☆ カルロス・サインツJr.(マクラーレン)
予選=9番手/決勝=10位

2019年F1最終戦アブダビGP カルロス・サインツJr.(マクラーレン)
2019年F1最終戦アブダビGP カルロス・サインツJr.(マクラーレン)

 ますます同郷の先輩、チームの先輩でもあるフェルナンド・アロンソのようなレースをやってみせている。最後のチャンス、最終周にヒュルケンベルグをとらえ10位1点を。この1点がドライバーズランク6位逆転の“大勝負”、そこに彼の勝負強さを見た。

 アロンソに似ているのはまだある。スタートに賭けオープニングラップで上がってくる技。接近戦では周囲を見切り、ラインワークをアドリブのようにチェンジ、空間認識能力が高い。自らのエラーは少なく今年3度のリタイアはメカニカル(PU)トラブル。担当エンジニア・メンバーとも密な“技術ミーティング”ができ、その気になれば自分でマシンを組み上げることもできるだろう。『ザ・マクラーレンズ2019』、ノリスとのコンビは進化途上にある。

☆☆☆☆ ルイス・ハミルトン(メルセデス)
予選PP/決勝=1位

2019年F1最終戦アブダビGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)が優勝
2019年F1最終戦アブダビGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)が優勝

 プレッシャーから解放され、リラックスした6冠王だからこその6度目“グランドスラム”。ありったけのスピードをチームというよりも自分自身のために追求したのだろう。<ルイス・ハミルトン・ショー>のグランド・フィナーレ、アンコールはドーナツターン。旋回半径を見事なくらい正確に描いていた(!)。

☆☆☆☆☆ マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
予選=3番手/決勝=2位

2019年F1第21戦アブダビGP 2位のマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)がレース後、ドーナツターンを披露
2019年F1第21戦アブダビGP 2位のマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)がレース後、ドーナツターンを披露

 何度もホンダPUの感触に関して無線で細かく言っていたのは、けしてネガティブ意味ではない。リアルタイムでコクピットから発する生コメントは、レース後のデブリーフィング会話と違う意味を持つ。

 聴く側のエンジニアグループは瞬時にリアル対応でき、それがデータとなって記憶保存され後日の“反省ミーティング“のテーマとなる。こうした流れがホンダ×レッドブルの初年度“アライアンス(協業)”を強化してきたのだ。再三TVにOAされる無線交信に、フェルスタッペン自身の進化と現体制への忠誠心をも感じた。

広告

2019/12/05

【F1アブダビテスト総合結果】2019年タイヤのボッタス/メルセデスが最速。ホンダF1勢トップはガスリー

 アブダビでの2019年F1タイヤテストが終了、2日間の総合結果が発表された。メルセデスがトップ2、フェラーリが続く形になった。

 今回のテストでは2020年に向けたタイヤ選択のための作業が行われ、2019年タイヤと2020年用タイヤの両方が持ち込まれ、各チームが比較テストに取り組んだ。

 2日間総合トップはメルセデスのバルテリ・ボッタスで、1分37秒124を2019年C4タイヤでマークした。2番手に同じメルセデスW10をドライブしたジョージ・ラッセルが続いた。3番手、4番手はフェラーリのシャルル・ルクレールとセバスチャン・ベッテルだった。

 ホンダ勢トップはトロロッソ・ホンダのピエール・ガスリーで6番手。トロロッソのクビアトが7番手、レッドブルのアレクサンダー・アルボンが11番手、チームメイトのマックス・フェルスタッペンが16番手、トロロッソで初日に走行したゲラエルが20番手という結果だった。

2019年F1アブダビテスト ピエール・ガスリー(トロロッソ・ホンダ)
2019年F1アブダビテスト ピエール・ガスリー(トロロッソ・ホンダ)

 2020年プレシーズンテストは、2月19日から21日と26日から28日にスペイン・バルセロナで開催される予定となっている。

■2019年アブダビF1タイヤテスト タイム結果(総合)

Pos Driver Team Time(tyre) Test Day
1 バルテリ・ボッタス メルセデス 1’37.124(2019年C4) 1
2 ジョージ・ラッセル メルセデス 1’37.204(2020年C5) 2
3 シャルル・ルクレール フェラーリ 1’37.401(2019年C5) 2
4 セバスチャン・ベッテル フェラーリ 1’37.991(2020年C5) 1
5 ランス・ストロール レーシングポイント 1’37.999(2020年C5) 2
6 ピエール・ガスリー トロロッソ・ホンダ 1’38.166(2020年C5) 2
7 ダニール・クビアト トロロッソ・ホンダ 1’38.183(2020年C5) 1
8 セルジオ・ペレス レーシングポイント 1’38.434(2020年C5) 1
9 カルロス・サインツJr. マクラーレン 1’38.729(2020年C5) 2
10 エステバン・オコン ルノー 1’38.950(2019年C4) 2
11 アレクサンダー・アルボン レッドブル・ホンダ 1’39.181(2019年C4) 2
12 ロマン・グロージャン ハース 1’39.526(2020年C5) 1
13 ピエトロ・フィッティパルディ ハース 1’39.682(2019年C5) 2
14 ランド・ノリス マクラーレン 1’39.741(2020年C5) 1
15 アントニオ・ジョビナッツィ アルファロメオ 1’39.811(2020年C5) 2
16 マックス・フェルスタッペン レッドブル・ホンダ 1’39.926(2020年C3) 1
17 ニコラス・ラティフィ ウイリアムズ 1’40.188(2020年C4) 2
18 ジョージ・ラッセル ウイリアムズ 1’40.368(2020年C5) 2
19 キミ・ライコネン アルファロメオ 1’40.903(2019年C4) 1
20 ショーン・ゲラエル トロロッソ・ホンダ 1’41.640(2020年C4) 1
21 ロイ・ニッサニー ウイリアムズ 1’43.892(2020年C4) 2

※C1が最も硬く、C5が最も軟らかいコンパウンド

1 2 3 4 5 7