F1アブダビGPの記事一覧

2019/12/20

【F1チームの戦い方:小松礼雄コラム第16回】「若いチームにはどこかで躓く時がある」対処の方法が2020年を左右するカギ

 今シーズンで4年目を迎えるハースF1チームと小松礼雄チーフレースエンジニア。最終戦アブダビGPでは2020年シーズンに向けたテストを行うなど、最後まで開発を続けていた。2019年はチーム史上最も厳しいシーズンとなったが、チームの全員が全力で解決策を探しながらこのシーズンを戦い抜いた。そんな現場の事情を小松エンジニアがお届けします。

──────────
2019年F1最終戦アブダビGP
#8 ロマン・グロージャン 予選16番手/決勝15位
#20 ケビン・マグヌッセン 予選15番手/決勝14位

 前戦ブラジルGP以上の苦戦を覚悟していたアブダビGPですが、結果はやはり予想どおり厳しいものとなりました。しかし、良い収穫もありました。金曜日にロマンが今年最後の開発パーツをテストし、かなり面白い結果が得られました。もちろん2020年仕様のクルマはとっくに開発が始まっていますが、来年はほとんど規則に変更がないのでアブダビで得られた良いデータはすぐに2020年のクルマに活かせます。

 当初はFP1でこのパーツを使いデータを集めて、FP2では元の仕様に戻す予定だったのですが、ロマンの感覚も良かったので、もう少しデータを採るためにFP2でもテストを続けました。

 FP2でもクルマは好調で、燃料を増やしてロングランをした時にどうなるかを確認するのが楽しみだったのですが、なんとこのロングラン中にバルテリ・ボッタス(メルセデス)にぶつけられてしまいました。

 これで新しいパーツは修復不可能なレベルまで壊されてしまい、この部品は1セットしか作っていなかったので、FP3以降この仕様で走らせることはできなくなりました。結果、元の仕様に戻して走ったFP3以降は絶対的に戦闘力に欠けており、勝負になりませんでした。

2019年F1第21戦アブダビGP FP2でバルテリ・ボッタス(メルセデス)とロマン・グロージャン(ハース)が接触
2019年F1第21戦アブダビGP FP2でバルテリ・ボッタス(メルセデス)とロマン・グロージャン(ハース)が接触

 一方、通常の仕様でFP1から走っていたケビンは、週末を通してアップダウンはなかったもののやはり絶対的な性能不足でした。予選は15番手とあまり良い結果ではなかったですが、ケビンにとってはあまり予想外ではなかったようです。あとコンマ1秒速ければ13番手あたりでしたが、残念ながら彼も僕たちもこの辺りを最初から予想していたんです。

 グランプリ終了後にはタイヤテストが行われ、2020年仕様のタイヤをテストしましたが、あまり良いところがなかったので、僕らはFIAにこのタイヤを2020年に導入するべきではないというフィードバックを出しました。

 第19戦アメリカGPのFP1でこのタイヤを試した時にグリップがないというのはわかっていたのですが、必ずしもこのタイヤで一発のタイムを速くすることが目的ではないので、1周のグリップが良くなかったからといってそれだけで総合的な判断を下すことは出来ません(特に路面温度もとても低かったので)。

 本来ならば高温域でもっとよく機能するなどのメリットがあるはずなのですが、一番の問題はそういった改善がみられなかったことです。タイヤは、すごく単純に言ってしまえば構造とコンパウンド(要はゴム)に分けられるのですが、そのどちらともに良くなかったんです。シーズン後のアブダビテストはピレリの1年間を通じたタイヤ開発の集大成のはずです。そのテストで使用された製品としてはあまりにもお粗末であるとしか言いようがありません。

 とはいえどのチームも、“新しいタイヤを使うとどこのチームが自分たちよりも不利になるのか”を考えて結論を出すので、もしかしたら政治的な投票によって2020年のタイヤが採用される可能性もないことはないと思っていました。2020年に使うタイヤを2019年仕様に戻すということは、10チーム中7チームの同意がないとできないからです。

 このコラムの第8回でも書きましたが、F1では、どれだけ自分たちが有利になるようにレギュレーションを変えることができるかというところにも勝負があります。みんな相手のことをよく見ていますし、結局は駆け引きですからね。

 しかし、結果はなんと満場一致で10チームすべてが2020年仕様のタイヤを使うべきではないという結論をだしたのです。どれだけ2020年仕様のタイヤが酷いものだったかわかりますよね。

■「どこかでつまずいた時に、どう対処するかが重要」

 さて2019年シーズンも全レースが終了しましたが、今年は本当に大変でした。新しくチームを作っていつまでもずっと順調に右肩上がりに成績が良くなることはありえないですし、どこかで問題が起こるときが来ます。それが起こったのがチーム創設4年目となる2019年でした。

 すごく大変なシーズンでしたけど、そのなかでも良かったのは、みんなが最後まで諦めないで最善を尽くしてやってくれたので、いろいろな面で悪かった点がわかってきたことです。もちろん、クルマが速くなかったのは空力の開発が上手くいかず、アップデートでクルマを速くすことができなかったからです。重要なのはなぜそうなったのか、根本的な原因を突き止めて、将来同じ過ちを犯さないように対処することです。

 若いチームはどこかでつまずくことがありますが、そういう時にどう対処するかというのがいちばん重要です。そういう意味ではできる限りのことはできていると思うので、2020年は良い年にできると思っています。

2019年F1最終戦アブダビGP ロマン・グロージャン(ハース)
ロマン・グロージャン(ハース)

 ふたりのドライバーへの評価ですが、ロマンに関してはフィードバックがとてもよかったので、彼のおかげで必ずしも当初データでは明らかではなかった空力の問題に目を向けることができました。反対に悪かった点は、相変わらずアップダウンが激しいことと、すぐパニックになることでした。

 ケビンについては、彼はクルマが悪くても、悪いなりにベストを出せていたことがよかったです。難しいクルマでも予選でロマンを上回っていましたからね。反省点は、今シーズンのウチのクルマは本当にレースを戦うのが厳しいクルマでしたが、そんななかでもレースでタイヤを上手く使えないでズルズルと順位を落としてしまうのをもう少しなんとかできればよかったです。

 また第7回のコラムでも触れたことですが、ケビンは、気にしなくてもいいようなことまで心配してしまう時があります。実は今年、この点がすごくよく改善されました。ハースF1チームで3年目という落ち着いた環境が彼にはとてもよかったようです。

 ケビンには、これまで少なくともF1では同じチームから2年以上レースにフル参戦した経験がありませんでした。そういう意味では2年目の2018年も大きなステップとなりましたが、3年目の今年はくだらないことを考えず、集中すべきことに集中できていたので、それが予選パフォーマンスに繋がったということもあると思っています。ケビン自身もこの点が改善されたと自覚していたので、これは来年に繋がる大きなことです。

2019年F1最終戦アブダビGP ケビン・マグヌッセン(ハース)
ケビン・マグヌッセン(ハース)

 ただ、これはロマンにもケビンにも言えることですが、今年は同士討ちのせいでチームとしても貴重なデータを失ったことがあったので、2020年は手綱を引き締めてやらないといけないですね。

 最後に、マクラーレンから空力部門のスタッフがハースへ移籍するのではないかという報道がありましたが、根拠のない報道(!)ですので何もコメントすることはありません。

2019/12/17

【あなたは何しに?】アラン・プロストも祝福。スイス人ジャーナリストが750戦目のF1取材を迎える

 アブダビGPの木曜日の夜、ヤス・マリーナ・サーキットのパドックを歩いていたら、レッドブルのヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)がTシャツを持って歩いていた。かすかに『BRAZIL』という文字がプリントされているのが見えたので、「レッドブル・ホンダの勝利を記念したTシャツか!?」と思って、尋ねてみたら、「違うよ、ロジャーのF1取材750戦記念Tシャツだよ」と見せてくれた。

 ロジャーとは、スイスの新聞『Blick』紙のベテラン記者のロジャー・ブノワのことである。

【あなたは何しに?】アラン・プロストも祝福。スイス人ジャーナリストが750戦目のF1取材を迎える
ロジャー・ブノワのF1取材750戦を讃えるTシャツを持ったレッドブルのヘルムート・マルコ博士

 1967年に『Blick』紙に入社したブノワは、2年後の1969年のイギリス・ブランズハッチで行われた『レース・オプ・チャンピオンズ』で初めてF1の取材を現場でスタートさせた。ただし、これはノンタイトル戦だったため、選手権としてのF1初取材は翌年の1970年のハラマで行われたスペインGPが記念すべき第1戦目のF1取材となった。

 アブダビGPの金曜日の午後に、ルノーのホスピタリティハウスの前で、ルノーの非常勤取締役を務めるアラン・プロストと、そのブノワに出会った。ブノワが何をしにルノーのホスピタリティハウスに来たのだろうかと近寄ってみたら、「750戦記念Tシャツ」をちょうどプロストに渡すところだった。

【あなたは何しに?】アラン・プロストも祝福。スイス人ジャーナリストが750戦目のF1取材を迎える
元F1チャンピオンのアラン・プロストも記念Tシャツを受け取る

「せっかくなので、ツー・ショットを撮りませんか?」と声をかけると、「いや、いいよ」と断られた。しかも、プロストではなく、ブノワにだ!! 逆にプロストが「いいじゃないか、一緒に撮ろう」とブノワを説得してくれ、ようやくツー・ショットが実現した。199戦でF1を引退したプロストにとって、750戦のブノワは「御大」なのである。

【あなたは何しに?】アラン・プロストも祝福。スイス人ジャーナリストが750戦目のF1取材を迎える
スイス人のベテランジャーナリスト、ロジャー・ブノワ(左)と元F1チャンピオンのアラン・プロスト(右)

 1949年1月13日生まれのブノワは、もうすぐ71歳。ブノワと同郷のスイス人のジャーナリストであるマティアス・ブルナーは、ブノワを次のように称える。

「750戦という数字だけでも偉大なのに、彼は70歳のいまも現役だということ。5年前の2014年に定年を迎えたが、会社は彼が仕事を続けることを認めたんだ。750戦は、彼がF1という世界だけでなく、所属する新聞社という会社に信頼されている証でもある。それは、だれにでも真似できることではない」(ブルナー)

 アブダビGPでブノワは、マルコやプロスト以外にも、仲の良いドライバーやチーム代表に750戦記念Tシャツをプレゼントしていた。そして、筆者に別れ際に「今回は限られた数しか持ってこなかったから、おまえには来年渡すよ」と言ってくれたブノワ。2020年に再会することを楽しみにしたい。

2019/12/16

【あなたは何しに?】スーパーGTで活躍するコバライネンがF1アブダビGPに。夫婦仲睦まじい姿を見せる

 アブダビGPの舞台となったヤス・マリーナ・サーキットを元F1ドライバーのヘイキ・コバライネンが訪れていた。現在のFIA-F2の前身であるGP2時代の2005年にはニコ・ロズベルグとタイトル争いを演じたコバライネン。2007年にルノーからF1にデビューすると、富士スピードウェイで行われた雨の日本GPで2位表彰台を獲得。2008年のハンガリーGPでは28戦目にして、F1初優勝を飾るなど、ここ一番でチャンスをしっかりとものにした。

 2012年限りでF1のレギュラーシートを失ったコバライネンは、翌2013年にロータスのキミ・ライコネンが背中の手術のために第18戦アメリカGPと最終戦ブラジルGPを欠場すると、代役として出場。慣れないマシンだったためポイント獲得とはならなかったが、アメリカGPでは予選Q3に進出するなど、いぶし銀の走りを披露したものだ。

 その後、コバライネンは再びF1のシートを失い、戦いの場を日本に移し、2015年からスーパーGTに参戦。2016年には平手晃平と組んだGT500クラスでチャンピオンを獲得した。

 そのコバライネンが久しぶりにF1のパドックに姿を現したわけだが、このアブダビGPではコバライネンと同郷のフィンランド人ドライバーがちょっと悲しい発表を行っていた。バルテリ・ボッタス(メルセデス)が、自らのツイッターで離婚したことを明らかにしていたからだ。ボッタスが水泳でオリンピック代表にもなったことがあるエミリア・ピッカライネンと結婚したのは、2016年の9月。つまり、結婚生活は約3年間に終わった。

 じつは、ボッタス以外のフィンランド人のF1ドライバーも、結婚生活にピリオドを打った者が少なくない。最近ではキミ・ライコネンが2013年に元ミス・スカンジナビアのジェニー・ダールマンと離婚。ミカ・ハッキネンもイリヤ・ホンカネンとすでに離婚している。

 そこで、失礼とは承知しつつも、2014年に結婚していたコバライネンに状況を確認してみた。するとコバライネンは同郷のドライバーたちに同情しながらも、「幸い僕はダイジョウブ。だって、ほらっ」と言って、イギリス人のキャサリン・ハイドを紹介してくれた。

【あなたは何しに?】スーパーGTで活躍するコバライネンがF1アブダビGPに。夫婦仲睦まじい姿を見せる
元F1ドライバーのヘイキ・コバライネン(右)と妻のキャサリンさん(左)

「はじめまして、妻のキャサリンです。いまはもう、結婚しているので、キャサリン・コバライネンね。結婚生活はだいじょうぶかって? いまのところだいじょうぶ。ヘイキがいま日本でレース活動しているので、2年前から私も日本で一緒に暮らしているからね。銀座なんだけど、とっても街がきれいで素敵よ」(キャサリン)

 ところで、コバライネン夫妻はどうして、アブダビGPに?

「じつは、銀座のほかに、アブダビにも自宅があるの!! いまは日本のレースが終わったので、こっちに帰ってきたというわけ」(キャサリン)

 いつまでも、仲睦まじく。

広告

2019/12/10

レーシングポイントを抑えランキング6位。チーム史上最高のシーズンに/トロロッソ・ホンダF1コラム

 2019年最終戦アブダビGPのトロロッソ・ホンダには、コンストラクターズランキング5位が掛かっていた。ルノーとは8ポイント差。しかし7位のレーシングポイントとは16点差で、逆に順位を落とす可能性もある。

 歴史的に見て決して得意とはいえないヤス・マリーナ・サーキットだが、トロロッソ・ホンダは最初から“決勝重視“でレースに挑んだ。暑いコンディションのレースではタイヤのデグラデーションに苦しむ傾向にあり、特に今回のように柔らかいコンパウンドの際にはその傾向が強かったからだ。

 金曜フリー走行からそれを想定した慎重なプログラム構成を採った。

2019年F1最終戦アブダビGP ピエール・ガスリー(トロロッソ・ホンダ)
2019年F1最終戦アブダビGP ピエール・ガスリー(トロロッソ・ホンダ)

 結果としてダニール・クビアトが9番手、ピエール・ガスリーが10番手につけ好調のように見えたが、ソフトタイヤが数周で大きくタレることを考えればQ3に進むのは利口とは言えなさそうだった。

「ダニーと2台で色々と比較データ取りをして、明日以降に向けて色んなことが見えてきた。今日(金曜フリー走行2回目)は10番手だったけど、ソフトタイヤのデグラデーションの大きさを考えるとこれは望ましいポジションじゃない。あとコンマ数秒を見つけて7番手を狙わなきゃいけないし、15番手・16番手まで落ちるのだってコンマ数秒しかないんだ」(ピエール・ガスリー)

 決勝重視のセッティングで臨んだFP3では10番手・12番手と好調だったものの、予選では路面温度が下がる中でグリップを引き出せずに12番手・14番手と順位を下げてQ2で敗退となってしまった。

「良かったのはQ2のアタック1回目だけで、それ以外は正直言ってマシンのグリップがとてもプアだった。なぜだか分らないけど、マシンがスライドしまくってしまったんだ。そのせいで本来の走りができなかった」(ダニール・クビアト)

 しかしこれは結果的にトロロッソ・ホンダにとっては良い展開を生むことになった。

 ガスリーが語っていた通り、Q3に進んで中古のソフトタイヤでスタートすれば戦略の幅はかなり限られてしまう。ミディアムやハードタイヤでスタートして1ストップ作戦を採るのに較べれば不利が大きくなる。

 そして何より、純粋な速さでは及ばないマクラーレンやルノーを上回るには、異なる戦略を用意するしかないのだ。

「今回のソフトタイヤのタレを考えれば、予選で10番手に入るくらいなら11番手や12番手の方が良い。いずれにしても今日はマクラーレンやルノーには敵わなかったし10番手以内に入ることは難しかったと思うけどね。Q3に進んで彼らと同じ戦略になれば逆転はかなり厳しいだろう。マクラーレンの方が僕らよりもかなり速いからね。でも今回はタイヤ選択が鍵を握ることになると思う。スタートタイヤが自由に選べるなら1ストップ作戦も視野に入るようになる。ギリギリだけど、その方がまだ可能性があるんだ」

 決勝に向けてどんな戦略を採るべきか?ソフトスタートで2ストップ作戦になるかもしれないQ3進出組に対して、ミディアムスタートの定石を採るか、ハードスタートで引っ張って最後にプッシュする戦略を採るか。

 ここでトロロッソ・ホンダが選んだのは、ランキング5位争いをするルノーではなく、ランキング6位争いをするレーシングポイントを見てレースをするということだった。

 レーシングポイントはトロロッソ・ホンダより1つ前の予選11番手・13番手。確実に彼らの前後でフィニッシュできるレースをすれば、ランキングを逆転されることはない。だからトロロッソ・ホンダは2台で大量得点を狙うのではなく、ガスリーにミディアム、クビアトにハードと戦略を分けて確実にどちらか1台はレーシングポイントと同等の結果になるようにコンサバティブなアプローチを採ったのだ。

 チーフエンジニアのジョナサン・エドルスはこう説明する。

「どちらの戦略もそれぞれに良いところと悪いところがあって、レーシングポイントは2台ともミディアムスタートの戦略で来るだろうと読んでいたから、我々としてはそれも想定した上であらゆるケースに対してカバーしておきたかったんだ。だから1台は彼らと同じ戦略、そしてもう1台は異なる戦略を採ることで様々な展開、つまりセーフティカーがレース序盤に出ても終盤に出ても対処できるようにしておいたというわけだ。(レーシングポイントに完敗して)コンストラクターズランキング6位を失うようなことがないようにしたかったんだ。我々はマクラーレンやルノーのことはあまり気にせず、どちらかといえばレーシングポイントだけを見てレースをしていたんだ」

 ガスリーがそのレーシングポイント勢とスタート直後のターン1で接触し、フロントウイングを失って大きく後退してしまったのは痛手だった。ノーズを留めるボルトが壊れており、交換に手間取ってしまいウイリアムズから80秒も後方でコースに戻ることになり、セーフティカーが出てギャップが縮まることもなく、ここからハードタイヤで走り切る戦略を採ったものの挽回はできなかった。

 しかしクビアトはハードタイヤを非常に上手く保たせ、40周目まで引っ張ってみせた。クビアト自身、キャリアベスト走りだというほどの好走だった。

「ハードタイヤで走った第1スティントはおそらく僕のキャリアでベストな走りだったと思う。明日なんてもうないっていうくらいに(余力を残さず)プッシュし続けたんだ。毎ラップ周りの誰よりも速かったし、マシンのフィーリングがすごく良かった。そしてレース戦略は僕らがまさに狙ったとおりに上手くいったんだ、最高の戦略だったと思うよ」

 序盤はキミ・ライコネン(アルファロメオ)に抑えられたもののフリーエアになってからは良いペースを維持し、ミディアムに履き替えた最終スティントもニコ・ヒュルケンベルグ(ルノー)を抜いて9位にポジションを上げた。その際にフロントウイングにダメージを負ってそれ以上の追撃がならなかったのは残念だったが、ここ数戦は不本意なレースが続いていたクビアトが最後にしっかりと好走で締めくくったのは来季に向けて良かった。

「ここ数戦はいつも何かを掴み損ねていたような感覚だったしとても良いレースでシーズンを終えたかった。それができて本当に良い気分だよ。僕らはレースに合わせて最高のセットアップを決めていた。それによって予選パフォーマンスは少し犠牲になってしまったかもしれないけど、それを今日のレースでひとつにまとめあげたんだ」

 これまで苦手としていた柔らかいコンパウンドのマネージメントは非常に上手く行き、2020年シーズンに向けた学びになった。

「非常にタイヤを上手く使えて保たせることができたというところで色々と学べたことがあったとチームのブリーフィングでも話していました。今までは後方で競っているとタイヤを壊してしまって抜けない、タイムが落ちていってしまうということがありましたが、今日は色々と学べることがあったし、色んなツールを使ってマネージメントしている中で、何が良かったのかというのは来年に向けていかせるという意味で非常にポジティブな最終戦になったということですね」(ホンダ・田辺豊治テクニカルディレクター)

 ガスリーは1周目の事故が無ければ7位か8位にはなれただろうとチームはいう。それが事実なら、ルノーを逆転してコンストラクターズランキング5位も有り得たわけだ。

 しかし今のトロロッソ・ホンダのマシンパッケージの実力からすれば、コンストラクターズランキング6位が妥当な結果だろうとエドルスはいう。

「現実的に考えると我々の実力としてはランキング6位が妥当な結果だっただろう。シーズンを通してルノーの方がマシンパフォーマンスは優っていたからね。サーキットによっては我々も好パフォーマンスを発揮できたけど、マクラーレンの方が安定して一歩先を行っていたし、ルノーも僅かながら我々を上回っていた。そういう意味ではランキング6位というのは我々のマシンパフォーマンスを反映したものだと言えるだろうね」

 しかしこのコラムでも再三触れてきたとおり、今季のトロロッソ・ホンダはセットアップや戦略などレース運営で大きく進歩を遂げた。さらにイタリアの本拠地ファエンツァだけでなくイギリスにあるファクトリー、ビスターの空力部門の改善にも着手し、風洞のオペレーションも刷新してそれがしっかりと効果を発揮してきた。

 チームとして着実に一歩成長したのが今年のトロロッソ・ホンダだった。それがこうしてしっかりと結果にも反映されたということだ。

 フランツ・トスト代表はチーム史上最高のシーズンだったと振り返ったが、それは結果だけでなく内容を含めてのことだ。

「トロロッソにとっては2度の表彰台を獲得し、これまでで最も成功に満ちたシーズンになった。コンストラクターズランキングでも5位と僅か数点差の6位だ。ドライバーたちは献身的で成熟したパフォーマンスを発揮し、空力部門のもたらしたアップグレードも全て上手く機能した。そして信じられないほど素晴らしい仕事をしたホンダにも大きく感謝したい」

 そして2020年シーズンはアルファタウリと名を変え、さらに強いチームへと成長を遂げるはずだ。

「来年はさらに強くなると自信が持てる。2020年が楽しみだよ」

2019年F1最終戦アブダビGP ダニール・クビアト(トロロッソ・ホンダ)
2019年F1最終戦アブダビGP ダニール・クビアト(トロロッソ・ホンダ)

2019/12/10

レッドブルF1ボス、フェラーリへの“甘すぎる”罰金処分に不満「今後疑わしい点があれば必ず抗議を行う」

 レッドブルのモータースポーツコンサルタント、ヘルムート・マルコが、2019年にいくつかのF1レギュレーション違反を疑われたフェラーリに関し、今後も注視し、疑わしい点があればためらうことなく抗議を行うと語った。

 フェラーリはシーズン後半、燃料流量について関して違反を犯しているのではないかとライバルたちは疑っていた。FIAはレッドブルの求めに応じて燃料流量についての規則の明確化を行った。また、最終戦では決勝スタート直前にシャルル・ルクレール車の燃料搭載量がフェラーリが事前に申告した量とは大幅に異なっていたことが発覚。フェラーリには50,000ユーロ(約600万円)の罰金を科された。

 マルコはアブダビでの罰金という裁定に不満を示した。
「規則は明白である。あの違反に対する罰がこれほど甘いとは、まるでジョークだ」とマルコはAuto Bildに対してコメントした。
「公平性の問題であり、規則順守についての問題だ。全チームの平等性にもかかわってくる」

「フェラーリのエンジンはいくつかの点において疑問を呈されてきた。グレーエリアを超えたものだと思うが、それを正すための行動が全くなされなかった」

2019年F1アブダビGP セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)とアレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)
2019年F1アブダビGP セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)とアレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)

 レッドブルは2020年もフェラーリを監視し、規則違反の疑いがある場合にはすぐさま抗議を行うと、マルコは宣言した。

「規則に反する点があるという疑いを持った場合は、必ずや抗議を行う。そうすればフェラーリはすべてを明かさなければならなくなる。そしてFIAがその問題を適切に処理してくれるだろう」

2019/12/09

ここ一番の勝負強さはまるでアロンソ。マクラーレンを引っ張る存在に成長したサインツ【今宮純のF1アブダビGP採点】

 F1ジャーナリストの今宮純氏が独自の視点でドライバーを採点。週末を通して、20人のドライバーから「ベスト・イレブン」を選出。予選やレースの結果だけにとらわれず、3日間のパドックでの振る舞い、そしてコース上での走りを重視して評価する。今回はF1最終戦アブダビGP編だ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・

☆ ダニール・クビアト(トロロッソ・ホンダ)
予選=14番手/決勝=9位

2019年F1第21戦アブダビGP ダニール・クビアト(トロロッソ・ホンダ)
2019年F1第21戦アブダビGP ダニール・クビアト(トロロッソ・ホンダ)

 驚いた。スタートタイヤをウイリアムズ勢以外で彼だけがハード、金曜FP2ではミディアムを試していたのに(ガスリーがハード担当)。この選択と1ストップ戦略は難しかったはずだが40周ロングスティントをこなし9位へ。

 トロロッソの目標はランク5位争い、だがガスリーがいきなりランス・ストロール(レーシングポイント)に接触され最後尾に後退、ルノーとの8点差を2点ちぢめ6位決定(08年ベスト・タイ結果)。チームメイトが入れ替わった今シーズンにレギュラーとして9回入賞、3度目の表彰台も。

☆ ジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)
予選=19番手/決勝=17位

2019年F1最終戦アブダビGP ジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)
2019年F1最終戦アブダビGP ジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)

 似たような結果に見えるが最後の健闘だ。1ストップ後に18周したオールド・ミディアムで50周目に自己ベストタイム13位を記録。体調不良が心配された週末も元気な走り、GP後の4日のタイヤテストでメルセデスに乗り込み、堂々トップタイム。速度次元が全く違うのに適応力を示した。

☆☆ ダニエル・リカルド(ルノー)
予選=8番手/決勝=11位

2019年F1第21戦アブダビGP ダニエル・リカルド(ルノー)
2019年F1第21戦アブダビGP ダニエル・リカルド(ルノー)

 終盤4戦連続入賞はならなかった。ここでは2020年シーズンのためのニューパーツ・テストを担当、PUトラブルなどもあり初日は16位。またもタイヤ温度問題を抱えたが土曜に大きくセッティングを変え、予選8番手はさすが。“オーバーテイク・マイスター”はセットアップ能力も持ち合わせているのだ。

☆☆ ランド・ノリス(マクラーレン)
予選=7番手/決勝=8位

2019年F1最終戦アブダビGP ランド・ノリス(マクラーレン)
2019年F1最終戦アブダビGP ランド・ノリス(マクラーレン)

 対サインツの予選で<11勝10敗>勝ち越した。何度も触れてきたが最年少20歳(11月13日に)ルーキーは、タイムアタック力がそなわっている。今年の新人3人でその部分が光る。ここでもセクターベストをしっかりそろえる7位。レース最終周の11コーナーでペレスとの真剣バトルに抜かれ、悔しさをむき出し(これもいいレッスン)。

☆☆ バルテリ・ボッタス(メルセデス)
予選=2番手~20番手グリッド降格/決勝=4位

2019年F1第21戦アブダビGP 予選2番手のバルテリ・ボッタス、ポールのルイス・ハミルトンを祝福
2019年F1第21戦アブダビGP 予選2番手のバルテリ・ボッタス、ポールのルイス・ハミルトンを祝福

 パワーユニットを2度交換して最後尾となるが今年最後の予選でセーブすることなくいった(気概を感じる)。このコース2本の直線で18周目まで“DRS機能停止”となり、メルセデスでもオーバーテイクは難しくなっていた。W10のストレートスピードは低く中団レベル、それでも5番手までポジションアップ。最後にルクレール(ソフトタイヤ)に仕掛けるもオールド・ハードでは果たせずに4位。誤解をおそれずに言えば今季のボッタスを象徴する結果に……。

☆☆☆ セルジオ・ペレス(レーシングポイント)
予選=11番手/決勝=7位

2019年F1第21戦アブダビGP セルジオ・ペレス(レーシングポイント)
2019年F1第21戦アブダビGP セルジオ・ペレス(レーシングポイント)

 ポジションアップ・レースが今年は15戦。最終戦もその強みを発揮しノリスをとらえると、11コーナー・エントリーからインサイドラインの“フェイント”をかけ、すかさずアウトサイドに。フェアーで巧妙な『ベスト・パッシング』のひとつ。ノリスとのランク10位攻防に勝ち、またここで中間チームのトップでゴール。

☆☆☆ シャルル・ルクレール(フェラーリ)
予選=4番手/決勝=3位

2019年F1第21戦アブダビGP 3位のシャルル・ルクレール(フェラーリ)と2位のマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
2019年F1第21戦アブダビGP 3位のシャルル・ルクレール(フェラーリ)と2位のマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)

 鬼門となったセクター3、走り出しからSF90は直角ターンで入口アンダーステア傾向が見てとれた。それをなんとかしようとアプローチのアクセリングを修正し、使用ギヤを変え、それでもカーバランスは最終盤戦で最も厳しい状態だった。(マシンが)決まらないときこそ彼のドライビングセンスが表れる。

☆☆☆ ニコ・ヒュルケンベルグ(ルノー)
予選=10番手/決勝=12位

2019年F1最終戦アブダビGP ニコ・ヒュルケンベルグ(ルノー)
2019年F1最終戦アブダビGP ニコ・ヒュルケンベルグ(ルノー)

 177戦のこれが総結果。4位3回、5位9回、6位20回、7位18回、8位18回、9位12回、10位14回(入賞率53%は現役ドライバーでトップ10レベル)。表彰台3位を阻まれた相手は12年ベルギーGPがキミ・ライコネン、13年韓国GPがロマン・グロージャン、16年ベルギーGPがルイス・ハミルトン。彼らは去るヒュルケンベルグの力量を充分に知っている。

☆☆☆☆ カルロス・サインツJr.(マクラーレン)
予選=9番手/決勝=10位

2019年F1最終戦アブダビGP カルロス・サインツJr.(マクラーレン)
2019年F1最終戦アブダビGP カルロス・サインツJr.(マクラーレン)

 ますます同郷の先輩、チームの先輩でもあるフェルナンド・アロンソのようなレースをやってみせている。最後のチャンス、最終周にヒュルケンベルグをとらえ10位1点を。この1点がドライバーズランク6位逆転の“大勝負”、そこに彼の勝負強さを見た。

 アロンソに似ているのはまだある。スタートに賭けオープニングラップで上がってくる技。接近戦では周囲を見切り、ラインワークをアドリブのようにチェンジ、空間認識能力が高い。自らのエラーは少なく今年3度のリタイアはメカニカル(PU)トラブル。担当エンジニア・メンバーとも密な“技術ミーティング”ができ、その気になれば自分でマシンを組み上げることもできるだろう。『ザ・マクラーレンズ2019』、ノリスとのコンビは進化途上にある。

☆☆☆☆ ルイス・ハミルトン(メルセデス)
予選PP/決勝=1位

2019年F1最終戦アブダビGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)が優勝
2019年F1最終戦アブダビGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)が優勝

 プレッシャーから解放され、リラックスした6冠王だからこその6度目“グランドスラム”。ありったけのスピードをチームというよりも自分自身のために追求したのだろう。<ルイス・ハミルトン・ショー>のグランド・フィナーレ、アンコールはドーナツターン。旋回半径を見事なくらい正確に描いていた(!)。

☆☆☆☆☆ マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
予選=3番手/決勝=2位

2019年F1第21戦アブダビGP 2位のマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)がレース後、ドーナツターンを披露
2019年F1第21戦アブダビGP 2位のマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)がレース後、ドーナツターンを披露

 何度もホンダPUの感触に関して無線で細かく言っていたのは、けしてネガティブ意味ではない。リアルタイムでコクピットから発する生コメントは、レース後のデブリーフィング会話と違う意味を持つ。

 聴く側のエンジニアグループは瞬時にリアル対応でき、それがデータとなって記憶保存され後日の“反省ミーティング“のテーマとなる。こうした流れがホンダ×レッドブルの初年度“アライアンス(協業)”を強化してきたのだ。再三TVにOAされる無線交信に、フェルスタッペン自身の進化と現体制への忠誠心をも感じた。

広告

2019/12/09

SNS特集F1アブダビGP:最終戦を終え休暇に入るドライバーたち。フェルスタッペンから「メリー・クリスマス」

 F1史上最多タイの全21戦を終えた2019年シーズン。ドライバーたちはすでに短いシーズンオフを満喫している。ドライバーや関係者のSNSで最終戦アブダビGPを振り返っていこう。

────────────────

最終戦恒例の集合写真。ルノーF1のニコ・ヒュルケンベルグに代わり、2020年にはエステバン・オコンがF1復帰。ウイリアムズF1のロバート・クビサが去り、ニコラス・ラティフィがデビューを果たす。

どちらの若者が先に、この強いチャンピオンを王座から陥落させることができるだろうか?

ウイリアムズF1のシートにニコラス・ラティフィが収まり、2020年シーズンのF1ラインナップが確定した。

シーズンエンドのタイヤテストではウイリアムズF1で苦しいルーキーイヤーを過ごしたジョージ・ラッセルがメルセデスF1に乗りトップタイムをマーク。「マシンさえよければいつでも行けるぞ!」と走りでアピール。

ブラジルGPでの同士討ち後、ふたりのわだかまりは完全に解消されたのか。並んでいても、なんとなく笑顔がぎこちなく見えてしまうのは気のせい?

最終戦アブダビGPでの戦いを終え、早くもシーズンオフを満喫しているドライバーもチラホラ。マックス・フェルスタッペンはモナコから、ちょっと気が早い「メリークリスマス」のメッセージ。

この投稿をInstagramで見る

A (very early) Merry Christmas from Monaco 🇲🇨 🎄 ❄

Max Verstappen(@maxverstappen1)がシェアした投稿 –

ロンドンで家族との時間を過ごす、リラックスムードのケビン・マグヌッセン。クリスマスには故郷のデンマークに帰るそうだ。

人生初のスカイダイビングにも余裕の表情のシャルル・ルクレール。F1ドライバーに恐怖心はないのか? 次はインストラクターなしの単独飛行を目論んでいる。

カルロス・サインツJr.とランド・ノリスのフレッシュなコンビで復調の兆しが見えてきたマクラーレン。インスタグラムのフォロワー数も500万人を突破。2020年のさらなる活躍が楽しみだ。

数年前は何度もF1転向のウワサが上がったMotoGPのレジェンド、バレンティーノ・ロッシ。共通のスポンサーであるモンスターエナジーのイベントでルイス・ハミルトンとお互いのマシンを交換するため、メルセデスのファクトリーでシート合わせを行った。

ふたり合わせて15度も世界制覇を果たしている王者の競演は楽しみだ。

ダニエル・リカルドのヘルメット・スワップその1は、2019年限りで去り行くチームメイトのニコ・ヒュルケンベルグ。

この投稿をInstagramで見る

Possibly Nico’s last dance. Helmet swap very necessary. Cheers buddy

Daniel Ricciardo(@danielricciardo)がシェアした投稿 –

リカルドのヘルメット・スワップその2は、2018年のチームメイト、マックス・フェルスタッペン。

この投稿をInstagramで見る

One year on. Missing bae like crazy. Helmet swap super necessary.

Daniel Ricciardo(@danielricciardo)がシェアした投稿 –

その3はシャルル・ルクレール。満面の笑みでリカルドが「ヘルメット交換しよっ!」って言ってきたら、みんな断れないのだろうか? すべて並べたら、すごく豪華なコレクションが完成しそうだ。

「またね」と去っていくハルクの後ろ姿。いつの日か、またF1に戻って来られるだろうか?

2020年はドイツ人F1ドライバーがセバスチャン・ベッテルひとりだけになる。

この投稿をInstagramで見る

@hulkhulkenberg 🙌🏼👋🏻

Sebastian Vettel(@vettelofficial)がシェアした投稿 –


2019年F1第21戦アブダビGP 最終戦とアブダビテストで見納めとなった2019年型マシン
2019年F1第21戦アブダビGP 最終戦とアブダビテストで見納めとなった2019年型マシン

2019/12/05

F1ボス、クビサとヒュルケンベルグの離脱を惜しむ「才能にふさわしい結果を出せなかった」

 F1のモータースポーツ担当マネージングディレクターを務めるロス・ブラウンは、2020年のF1シートを得られないまま最終戦を終えたふたりのドライバーに敬意を表した。

 多くのファンが、マックス・フェルスタッペン、シャルル・ルクレール、アレクサンダー・アルボン、ランド・ノリスといった新しい世代のドライバーたちに引き付けられ、それがF1人気につながっているのは間違いない。しかしブラウンは最終戦を振り返り、ふたりのベテランドライバーたちの素晴らしさに言及した。

 2020年にはルーキー、ニコラス・ラティフィがウイリアムズからF1デビューを果たし、1年F1から遠ざかっていたエステバン・オコンはルノーから復帰することが決まった。一方で、ウイリアムズのロバート・クビサとルノーのニコ・ヒュルケンベルグは来年はF1に参戦しないことが確定した。

「2019年には、ふたりとも彼らの才能にふさわしい結果を出すことができなかった。クビサはF1でさらに多くの勝利を飾ることができたかもしれなかったが、2011年にラリーでの大事故があって、それが実現しなかった」とブラウンは言う。

「だが彼は逆境に打ち勝ってみせた。ホッケンハイムで今年獲得したポイントが、決意によってどれだけのことを達成できるのかを象徴している」

2019年F1第21戦アブダビGP ニコ・ヒュルケンベルグ(ルノー)
2019年F1第21戦アブダビGP ニコ・ヒュルケンベルグ(ルノー)

「ヒュルケンベルグのキャリアはもっとシンプルだったが、9シーズンにわたってF1でレースをしたにもかかわらず、真の実力を発揮するチャンスに恵まれることがなかった」

「ニコは、やり残した仕事があると強く感じているはずだ。本来の実力を示すため、できるだけ早くF1に戻る方法を見つけようと決心していることだろう」

2019/12/05

アブダビでF1の問題点が浮き彫りに「DRSがないとオーバーテイクできない」とドライバー

 F1のモータースポーツ担当マネージングディレクターを務めるロス・ブラウンは、アブダビGP決勝を見れば、なぜ新たなレギュレーションが必要なのかが明らかであると語っている。

 ブラウンは、コース上でのバトルを活性化し、チーム間の争いをより接戦にするための取り組みを続けている。彼はシーズン最終戦で起きたことを例に挙げ、レギュレーションを変更し、バトルしやすいマシンを導入することが重要であると主張した。

「日曜日のレースでは、技術上のトラブルのために、ほぼ20周にわたってDRSが使用できなかった。その時の状況から、接近戦を演じられるマシンが必要であることが強調されたと言わざるを得ない」とブラウンは指摘した。

 DRSのトラブルはサーバーの不具合が原因だった。レース序盤はトラブルによってオーバーテイクが難しくなり、エンジンペナルティでグリッド最後尾からスタートしたメルセデスのバルテリ・ボッタスは、順位の回復に苦戦した。

「この件は、今のF1はDRSがなければオーバーテイクができないということを表している」とマクラーレンのカルロス・サインツJr.はコメントした。

「現代のF1では、DRSが本当に必要なんだ。2021年には不要になっているといいね。この補助装置を好きな者はいないけれど、現時点ではF1でオーバーテイクが見たかったらDRSが必要だ。今後どうなるのか状況を見ていこう」

■アブダビではトップ3チーム以外周回遅れ。格差が目立つ結果に

 DRSトラブルが解決してからはトラフィックが多少解消されたが、トップチームと中団チームのパフォーマンス差が大きいことが改めて示される形になった。

 首位と同一周回でレースを終えたのはわずか6台。このレースでの「トップ3チーム以外のトップ」だったのはレーシングポイントのセルジオ・ペレスだったが、彼もウイナーから1周遅れでチェッカーフラッグを受けている。

「日曜日のレースを振り返ると、完全なレース距離を完走したのはまたもトップチームだけだった。他のチームはすべて周回遅れだ。チーム間のパフォーマンス差を縮めなければならない」とブラウンは述べた。

 F1は2021年から導入予定の新ルールを最近発表しており、ブラウンはそれがファンに広く受け入れられていると感じている。

「新ルールについては、特にファンからの幅広くポジティブな反応があったことを非常に喜ばしく思っている」とブラウンは恒例のレース後のニュースレターに書いている。

「ファンは我々のスポーツにとって最大の利害関係者であり、我々は長年の愛好家たちをしっかり捉える必要がある。しかしそれと同時に、新たなファンを引きつける必要もある」とブラウンは続けた。

「我々は3年前にこのやり方を始めたが、今、その結果が見えようとしている」

「F1への関心は2019年も高まり続けている。これまでのところ入手可能なテレビ視聴者数のデータはポジティブなものだ。そして2018年と同様に、今年もまたレースウイークに来場した観客数が400万人を超えている」

「デジタルプラットフォーム上でも、その成長はいっそう印象強い。また一方で世界中の様々な都市で開催したフェスティバルは、多くの関心を集めた」

広告

2019/12/05

【F1アブダビGP無線レビュー】フェルスタッペン、ホンダPUのラグ問題に苛立ち「なんでこんな問題が起きるんだ!?」

 F1最終戦アブダビGPでは2位表彰台を獲得したレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンはスタート直後からパワーユニット(PU/エンジン)に異変を感じたという。不満を募らせるフェルスタッペンとピットとのやりとりを無線で振り返っていく。

——————————-

 ポールポジションのルイス・ハミルトン(メルセデス)が最終戦のホールショットを奪い、フェルスタッペンが2番手をキープしたままターン1へ飛び込んでいった。しかしバックストレートで早くもフェラーリのシャルル・ルクレールにオーバーテイクを許し、後方ではアレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)もマクラーレン勢に抜かれそうになっていた。

 フェルスタッペンはスタート直後からパワーユニットに異変を感じていた。

フェルスタッペン:エンジン回転数がすごく低い。なんだこれは?

 これに対し2番手に浮上したフェラーリはそのポジションを守り切るべくプッシュしていた。

フェラーリ:プランAで行く。できるだけプッシュする必要がある。

 フェルスタッペンがギャップを縮めてきたのを見てアンダーカットを警戒し12周目というかなり早いタイミングでルクレールがピットに飛び込み、ソフトスタートのセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)も同時にピットイン。大幅にタイムロスを喫して中団グループ勢の後方に回ってしまったことでレッドブル・ホンダにとってはかなり楽な展開になった。

フェルスタッペン:タイヤはまだOKだ。走り続けるよ。

レッドブル:了解、良い仕事をしているよ。このまま走り続けろ。

 首位を走るハミルトンもタイヤはまだまだ大丈夫だと報告する。

メルセデス:我々は(第1スティントを)少し引き延ばす。

ハミルトン:リヤはまだOKだよ。

メルセデス:了解。

 レッドブルはルクレールのピットストップに対してすぐに反応して逆転を狙うのではなく、第1スティントを引っ張って第2スティントに勝負を賭ける戦略に出た。22周目、フェルスタッペンはリヤタイヤがタレ始めたと報告する。

レッドブル:この戦略で良いか確認だ。

フェルスタッペン:あぁ、構わないよ。リヤタイヤが少しキツくなってきた。

レッドブル:了解。

 その翌周には「また少しマシになってきたよ」とペースを戻し、25周目まで引っ張ってピットイン。ルクレールとのギャップが広がったのは想定通りだったが、想定外だったのはパワーユニットの挙動に異変が起きてしまったことだった。

 その異変はピットアウトしてすぐに発生し、セクター3に入ったところでフェルスタッペンが無線でトルクの出方の異常を訴える。

レッドブル:LEC(ルクレール)は5秒前方だ。オーバーテイクボタンを押して2秒ホールドしろ。

フェルスタッペン:コーナーの出口でものすごいラグだ!

レッドブル:OK、チェックする。

フェルスタッペン:何かがおかしいよ。

レッドブル:エンジン11、ポジション8。

フェルスタッペン:変わらないしエンジンブレーキもフィーリングが変だ。

レッドブル:了解、調査中だ。

フェルスタッペン:なんでこんな問題が起きるんだ!?

レッドブル:LECとの争いだ、今は落ち着いて走れ。

 パワーユニットの制御ソフトウェアに問題が生じており、ホンダはパワーユニットのセッティング変更をフェルスタッペンに指示し、その反応によって問題を把握しながら次善策を模索していった。

レッドブル:エンジン11ポジション11。LECはフリーエアで43.1。左リヤタイヤだけ注意しろ、まだスティントの序盤だ。

フェルスタッペン:まだすごくプアだよ。

レッドブル:エンジン11ポジション4、悪くなるかどうかトライしてみてくれ。

フェルスタッペン:ピットストップの後におかしくなった。どうなってるんだ? 今のところこれがベストな妥協策だ。

 フェルスタッペンはフィーリングの違和感を訴えながらもペースは落とさず、13周もフレッシュなタイヤのアドバンテージを生かして前のルクレールとのギャップをじわじわと縮めていった。そして32周目のバックストレートで追い付き、DRSを使って一気にパスして2位を奪い返して見せた。

レッドブル:よくやった。まずはLECをDRS圏内からクリアしよう。セクター3では0.8秒速く走れている。モード7。

フェルスタッペン:スロットルの開け始めですごいラグだよ。エンジンの問題をなんとかしてくれ、とても走りづらい。

レッドブル:今はどうすることもできない。でも君のペースは充分速いぞ。

 ルクレールとのギャップはどんどん広がっていき、ヤス・マリーナ・サーキットで唯一の高速コーナーであるターン2~3でリフトオフしタイヤへの負荷を抑えるドライビングに徹する余裕もできた。

レッドブル:後ろとのギャップはすでに2秒になった。なのでターン3のタイヤマネジメントを再開してくれ。

 しかし首位ハミルトンとはすでに15秒のギャップが広がっており、レッドブル・ホンダはここで2位確保のレースに完全に切り替えることを決めた。

 パワーユニットのラグ問題は解決が難しく、だましだまし走るしかない。

レッドブル:HAM(ハミルトン)は41.8、我々は42.2。このペースを維持してくれ。LECとのギャップはもう5秒になろうとしている。

フェルスタッペン:OK、いたわって走るよ。

レッドブル:燃費は大丈夫だ、タイヤのためだけリフトオフしてくれ。エンジン11ポジション13、小さな変更だ。

フェルスタッペン:ブレーキは安定したけどスロットルのラグはすごく大きいよ。

レッドブル:どちらの妥協策の方が良い?

フェルスタッペン:こっちだ。

 一方、フェルスタッペンに抜かれたルクレールはハードタイヤで最後まで走り切る1ストップ作戦は諦め、2ストップ作戦のプランCに切り替えて戦うことを選んだ。

2019年F1最終戦アブダビGP シャルル・ルクレール(フェラーリ)
2019年F1最終戦アブダビGP シャルル・ルクレール(フェラーリ)

ルクレール:プランCをトライすべきだ。

フェラーリ:我々はそれを検討しているところだ。

ルクレール:プランC、プランC!

フェラーリ:了解。

 これでフェルスタッペンの後方は大きく離れ、前のハミルトンに追い付くこともできない。残り15周は一人旅でタイヤとパワーユニットをいたわりながらゴールへと運ぶ淡々としたレースになった。しかしそれはフェルスタッペンが第1スティントでしっかりとタイヤをセーブし、第2スティントの序盤できちんとルクレールを仕留めてみせたからにほかならない。

フェルスタッペン:フェラーリ勢は2台ともピットインした?

レッドブル:そうだ。

フェルスタッペン:あぁ、君の後ろで聞こえたよ、ハハハ(笑)

 レースエンジニアの無線から聞こえてきたフェラーリのマシンがピットアウトする際のスキール音を聞いてフェルスタッペンは笑った。パワーユニットの不具合に不満を抱えながらも、フェルスタッペンにはそれだけの余裕があったのだ。そして55周を走り切り、悠々と2位でチェッカードフラッグを受けた。

レッドブル:P2、選手権は3位だ。本当に素晴しい仕事だった。

フェルスタッペン:あぁ、悪くない結果だね。良いリカバリーができたし良い戦略だった。みんな今年1年ありがとう、僕らはとても良い流れに乗っているよ。

レッドブル:よくやった、マックス。君は1年を通して素晴しい仕事をしたよ。いくつも素晴しいレースがあったし、とても良い流れに乗っているよ。本当に素晴しいドライブだった。

 シーズンの大団円を祝うべく、トップ3フィニッシュの3台はメインストレート上へとマシンを向ける。

フェルスタッペン:ドーナツをするのに充分なパワーはある?

レッドブル:あぁ、大丈夫だ。

 マシンパッケージとしてメルセデスAMGには敵わなかったが、レッドブル・ホンダは自分たちにできる限りの走りで2位を勝ち取った。それは2019年シーズンの彼らの飛躍を象徴するようなレースであり、そして2020年シーズンのさらなる飛躍を予感させるドーナツターンだった。

2019年F1最終戦アブダビGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
2019年F1最終戦アブダビGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)

2019/12/04

F1アブダビGP決勝で発生したDRSトラブル。「原因はデータサーバーのクラッシュ」とFIA

 F1最終戦アブダビGP決勝レース中にクラッシュがあった。しかし、これはコース上での2台のマシンによるクラッシュではなく、F1マシンのDRSシステムをコントロールするコンピュータシステムの、データサーバーのクラッシュだった。

 マシンのドラッグリダクションシステム(DRS)のおかげで、後ろのドライバーは前のドライバーを追い越しやすくなる。なぜなら、リヤウイングが開くことで空気抵抗によるマシンのドラッグが低減され、マシンはストレートで速くなるからだ。

 しかし、レース開始17周の間はどのドライバーもDRSを使うことはできなかった。

 FIAのレースディレクターを務めるマイケル・マシは、レース後に何が問題だったのかを説明した。

「原因はデータサーバーのクラッシュだった」とマシは語った。

「タイミングモニター(ラップタイム画面)は、我々が見たところまだ通常どおり機能していた。しかし、DRS(のデータサーバー)がクラッシュした。我々は、直ちにDRSを無効にし、バックアップと通常データだけでなく、それらが正常なデータを流していることに100パーセントの確信が持てるまで待った」

「そうして再度DRSを有効にした。我々はFIAとF1との協力のもと、すべてが確実に動作するかどうか様々なチェックを行っていた。その時点まで、確信が持てるまでDRSを有効にするつもりはなかった」

 ではドライバーは彼らの望む時にDRSを使用できたのだろうか?それともまったくできなかったのだろうか?

「ノーだ。我々は全体を無効化した」

 この件は初めて起きたのだろうか?

「こうしたことが起きたのは初めてのことだ。質問される前に答えるが、バックアップはとってある。だがまず初めにやるべきことは、最初の問題が何だったのかを特定することだ。また、バックアップシステムによくあるように、タイムを測る部分で時間差あった」

 なぜ修正するのに17周かかったのだろうか?

「バックアップと通常データが安定した状態にあり、何が送信されたか、それらデータが均等に正確に送信されているかということを確実に確認したかったからだ。我々の間で確認ができてから、再度アクティベートし、DRSを有効にした」

2019/12/03

全21戦で入賞、安定した強さで2019年シーズンを完全走破したハミルトン【今宮純のF1アブダビGP分析】

 2019年F1最終戦アブダビGPは、メルセデスのルイス・ハミルトンがポール・トゥ・ウィンを達成。6冠王者はライバルを寄せ付けることなく圧巻の走りを見せつけた。F1ジャーナリストの今宮純氏が週末のアブダビGPを振り返る。
——————————–
 長き21戦シリーズ、1262周を“完全走破”したハミルトンに今年最後のチェッカーフラッグが振られた。勝利やPP獲得数もさることながら6381kmを走り切り(地球1周距離は約4万km)、王者はすべて入賞ゴールを重ねた。この最長不倒記録こそ今年彼が創った数々の記録のうち、もっとも価値があるものではないか。

 2018年から33戦連続入賞は自己最高タイ記録、アブダビGPがこの間の19勝目となる。6冠王者は狙っていたかのように10戦ぶりのPPを決め、スタートから55周リードを奪い、53周目には最速ラップも叩きだした(27周したハードタイヤで)。最終戦フィナーレに「全部獲ってみせる」と、ハミルトンは本能をむき出しにしたように見えた。

 アブダビGP前までPPが今年はたった4回、これは12年シーズン以前までさかのぼる少なさ。だからこそ意地でもPPを獲るという意欲があったにちがいない。相対的に見てフェラーリ勢はセクター3が鈍く、レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンもそこがもうひとつ。となるとボッタスの存在が“仮想敵”になる。

2019年F1第21戦アブダビGP 予選3番手のマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)とポールポジションのルイス・ハミルトン(メルセデス)
2019年F1第21戦アブダビGP 予選3番手のマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)とポールポジションのルイス・ハミルトン(メルセデス)

 ボッタスはアブダビGPで2度パワーユニット・エレメントを交換、最後尾グリッドが決定していた。だがそれに対応した追撃レース・ペースを意識するセッティングを試みないままでいた。個人的に感じたのは、あえてPU交換したのは2020年仕様を実戦テストする思惑もあり、ハミルトンのマイレッジを重ねたオールドPUと比較する意図もチームにあったのではないか。

 フレッシュPUを得たボッタスはQ1からQ3もフルアタック。通常ならそこまでやらずQ2で引き下がるのにプッシュした。しかしその結果はハミルトンが0.194秒差でPP、走り込んでいるパワーユニットで3セクターともボッタスを上回った。セクタースピードはボッタスの方が速かったが、ハミルトンはリズミカルなコーナーワークの切れを見せつけたのだ。

 獲るべくして決めた88回目のPPに、「まるで初めて獲ったような気分がする」と言った王者。その裏にはフレッシュPUのチームメイトに優った実感が込められているようにも感じとれた。34歳にして<初心忘るべからず>、いまやベテランの彼ならではの言葉だ。

 スタートから飛び出ると1周目1.681秒、2周目2.002秒、3周目2.771秒、2番手シャルル・ルクレール(フェラーリ)を瞬く間にリードしていった。以前のようなハミルトン・スタイルを思い出させた。すると技術的問題のため全車DRS機能が使えない事態が発生、独走パターンに持ち込むリーダーはさらにギャップを広げ、燃費もタイヤもしっかりマネージメント。ほぼ半分の26周をミディアムタイヤでカバーし、ハードに変えてからは1分42秒台でひた走った。

 09年アブダビGP初年度に勝ったセバスチャン・ベッテルの最速ラップ1分40秒279が、10年間破られずにいた。ハミルトンはその記録を狙った。52周目より一気に2.810秒アップ、1分39秒283を53周目にたたき出す。これ以上に完璧な締めくくりはない。387点+25点+1点=413点、昨年の408点を超えた(今季最速ラップ加点が6点)。

──2014年アブダビGP最終戦から6シーズンにハミルトンは4勝してきている。シリーズ最後の夜を華々しく、圧倒する速さで飾れ、王者は安らぎをみつけたような表情を表彰台で見せた。両脇にいる2位フェルスタッペン、3位ルクレールとそろってシャンパン・ボトルで乾杯、『ルイス・ハミルトン・ショー』の幕は下りた――。 

2019年F1最終戦アブダビGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)
2019年F1最終戦アブダビGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)

2019年F1最終戦アブダビGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)
2019年F1最終戦アブダビGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)

広告

2019/12/03

F1最終戦アブダビGP決勝トップ10ドライバーコメント(2)

 2019年F1最終戦アブダビGPの決勝レースで5位~優勝のドライバーたちが日曜日を振り返った。5位~優勝のドライバーは、セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)、バルテリ・ボッタス(メルセデス)、シャルル・ルクレール(フェラーリ)、マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)、ルイス・ハミルトン(メルセデス)だ。

■スクーデリア・フェラーリ
セバスチャン・ベッテル 決勝=5番手

2019年F1第21戦アブダビGP セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)とキミ・ライコネン(アルファロメオ)
2019年F1第21戦アブダビGP セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)とキミ・ライコネン(アルファロメオ)

 スタート直後、行き場がなくなった。(序盤に)DRSが使えなかったことも不利に働いた。(前を走る)マックス(・フェルスタッペン)に対して僕にはタイヤのアドバンテージがあったけれど、そのタイミングでDRSが使えなかった。そして周回を重ねていくうちに、タイヤのアドバンテージは減っていったんだ。

 最初のピットストップの後、あまり速さがなかったのでもう一度ピットに入った。それによってポジションをふたつ落とし、ひとつは取り戻せたが、今日のメルセデスはとにかく速くて、それ以上は無理だった。

 全体的に見て、僕らは今年、期待していたようなシーズンを送ることができなかった。その理由ははっきりしているし、学習もした。来年はそれを生かして戦わなければならない。

 チームとして成長していく必要があるが、僕自身にとっても理想的な一年ではなかった。外から見るほど悪くはないにしてもね。小さなことが積み重なって、最終的に素晴らしくは見えないような状況に陥っていった。

 僕自身、もっといい仕事ができることは分かっている。進歩することが来年の目標だ。来年のマシンがライバルたちと戦えるような強力なパッケージであればいいね。この後はテストに集中し、休暇も楽しむよ。

■メルセデス-AMG・ペトロナス・モータースポーツ
バルテリ・ボッタス 決勝=4位

2019年F1最終戦アブダビGP バルテリ・ボッタス(メルセデス)
バルテリ・ボッタス(メルセデス)

 シーズン最終戦としていいレースができたと思う。オーバーテイクを繰り返して楽しく走った。今日はマシンの力を最大限まで引き出せた。終盤、シャルルのすぐ後ろまで追いついたが、彼をオーバーテイクするには至らなかった。表彰台が見えていたんだけどね。

 序盤はついてないことに(サーバートラブルにより)しばらくDRSの使用ができず、そのためにオーバーテイクが本来よりも難しくなった。それでもポジションを上げつつ、ミディアムでのスティントを引き延ばすことで、最終的にいい結果をつかんだ。

 僕にとってここまでのキャリアのなかでベストシーズンだった。去年よりもはるかにいい状態だから、2020年にはまた攻めていくよ。

■スクーデリア・フェラーリ
シャルル・ルクレール 決勝=3位

2019年F1第21戦アブダビGP 3位のシャルル・ルクレール(フェラーリ)と2位のマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
2019年F1第21戦アブダビGP 3位のシャルル・ルクレール(フェラーリ)と2位のマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)

 フェラーリでの最初のシーズンがこのようなものになるとは全く想像していなかった。ドライバーとして、何度かポールと優勝を獲得できたことに満足している。一方で、人は常に向上を目指して努力するものであり、よくなる余地は何かしらあるとも思っている。

 全体的に見て、僕にとってポジティブなシーズンだったと思う。たくさんのことを学んだ。ハードワークを続け、僕を支えてくれたチーム全員に感謝する。

 今日のレースの話をすると、楽なレースではなかった。3番グリッドからのスタートだったが、ドライバーズ選手権3位の座を取り戻すには、勝たなければならないと分かっていた。だから全力を尽くして戦ったが、残念ながら今日はうまくいかなかった。

 この冬にはレースペースの改善のために時間を割く必要がある。今年は予選はとても強かったけれど、ロングランパフォーマンスには改善の余地がある。

 いずれにしても表彰台でシーズンを締めくくることができたのはうれしい。この後、休暇が取れることもね。それでも数日もたてばレースに戻ることばかり考えてしまうだろう。今から来年のメルボルンを楽しみにしているんだ。

(FIA記者会見で、1回ストップのフェルスタッペンに敗れたことについて聞かれ)2回ストップで走ったことを後悔はしていない。ランキング3位を獲るには勝つしかなかった。そのためには何かをトライする必要があったんだ。あまり可能性がなくても、やるだけやった。他のドライバーたちと同じ戦略を採って2位でフィニッシュすることなど望んでいなかった。そんなの意味がない。だからギャンブルをしたんだ。

■アストンマーティン・レッドブル・レーシング
マックス・フェルスタッペン 決勝=2位

2019年F1第21戦アブダビGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)が2位表彰台を獲得
2019年F1第21戦アブダビGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)が2位表彰台を獲得

 シーズンを表彰台で締めくくることができてうれしい。ドライバーズ選手権でフェラーリのふたりを上回って3位を獲得したのも素晴らしい結果だ。
 
 今日、メルセデスとルイス(・ハミルトン)は速すぎて届かなかったが、僕らチームは戦略とピットストップに関していい仕事をしたし、マシンもとてもよく機能していた。このサーキットで2位というのは上出来だと思う。

 ペースがよく、全体的に見て他のドライバーたちよりかなり速かったので、それもうれしい。

 シーズンを振り返ると、僕のハイライトはオーストリアだと思う。ホンダのV6時代初の勝利を飾れたことは感動的だったし、チームのホームコースで大勢のオランダ人ファンの前で勝てて最高の気分だった。

 努力し続けて、いいシーズンを送ることができた。ホンダも大きく改善したと思う。彼らとの最初のシーズンに満足できる。

 チームとして来年はさらに前進していき、タイトル争いに加わりたい。前とのギャップを縮めるために全力を注いで作業に取り組む必要がある。この数戦には大きな進歩があり、素晴らしい形でシーズンを締めくくることができた。これからは今後のことに集中し、2020年により一層競争力を高めることを目指していく。

■メルセデス-AMG・ペトロナス・モータースポーツ
ルイス・ハミルトン 決勝=1位

2019年F1第21戦アブダビGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)が優勝
2019年F1第21戦アブダビGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)が優勝

 最高の形でシーズンを終えることができた。今週末、僕らチームはとても強くて、バルテリ(・ボッタス)も素晴らしい仕事をしたと思う。皆が献身的にハードワークを続けていることをありがたく思う。僕らは共にレベルを引き上げているんだ。チームの皆に心から感謝したい。
 
僕らチームにとって、成長という意味ではとても重要な一年だったと思う。来年新たなチャレンジを始めるにあたり、今年の経験が役立つことを願っている。

 今年はバルテリ、マックス(・フェルスタッペン)、シャルル(・ルクレール)を相手にいいレースをしてきた。2020年はさらに接戦になるはずだ。彼らはレベルを引き上げるための努力を惜しまないだろうから、この冬、僕も同じことをしなければならないのは明らかだ。自分にはやれると信じているよ。気持ちを新たに前に進んでいく。来年の新たなチャレンジを楽しみにしている。

2019/12/03

F1最終戦アブダビGP決勝トップ10ドライバーコメント(1)

 2019年F1最終戦アブダビGPの決勝レースで10位~6位に入賞したドライバーたちが日曜日を振り返った。10位~6位のドライバーはカルロス・サインツJr.(マクラーレン)、ダニール・クビアト(トロロッソ・ホンダ)、ランド・ノリス(マクラーレン)、セルジオ・ペレス(レーシングポイント)、アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)だ。

■マクラーレンF1チーム
カルロス・サインツJr. 決勝=10位

2019年F1第21戦アブダビGP カルロス・サインツJr.(マクラーレン)
2019年F1第21戦アブダビGP カルロス・サインツJr.(マクラーレン)

 文句なしだ! この週末の目標はドライバーズ選手権を6位で終えることで、それを実現できたのだから。決して楽なレースではなかった。どのスティントでもひどいトラフィックの中を走らされたし、ソフトタイヤでスタートしなければならなかったからだ。

 僕は2ストップの戦略を採った。そうするとトップ10でフィニッシュできるかどうか、微妙になることは承知していたが、1ストップではチャンスはないことも分かっていた。

 レース終了間際に何とか(ニコ・)ヒュルケンベルグに追いついて、最終ラップにオーバーテイクを決めることができた。あれは一生忘れられないだろうね。このシーズンに心から満足しているし、チームメンバーのひとりひとりに本当に感謝している。ありがとう!

■レッドブル・トロロッソ・ホンダ
ダニール・クビアト 決勝=9位

2019年F1第21戦アブダビGP ダニール・クビアト(トロロッソ・ホンダ)
2019年F1第21戦アブダビGP ダニール・クビアト(トロロッソ・ホンダ)

 いい形でシーズンを終えることができた。ハードタイヤでのファーストスティントは、僕のキャリアのなかで一番うまくいったスティントといっていいだろう。死にもの狂いでプッシュした。

 毎ラップ、周囲のマシンよりも速さがあり、マシンの感触がよかった。予定したとおりに物事がうまくいったよ。戦略は素晴らしかったし、レース用セットアップもとてもよかった。昨日の予選を少し犠牲にしたかもしれないが、今日うまく取り戻すことができた。

 この数戦は悔いが残るレースが続いていたから、いいレースをして、シーズンをポジティブな形で締めくくりたいと思っていた。こういう風に最終戦を終えることができて最高の気分だ。

■マクラーレンF1チーム
ランド・ノリス 決勝=8位

2019年F1最終戦アブダビGP ランド・ノリス(マクラーレン)
ランド・ノリス(マクラーレン)

 総じて言えば、無難なスタートを切って、いいレースができた。ソフトタイヤでのスティントの終盤は、少し苦戦してミスを犯し、派手なロックアップをやらかした結果、理想的なタイミングより早めにピットに入らなければならなかった。それでも、タイヤマネージメントに関しては、全体としていい仕事をしたと思う。

 いいバトルができたし、その必要がある時にはいいオーバーテイクもできた。レースを通じて僕が犯したもうひとつのミスは、最後に(セルジオ・)ペレスに抜かれてしまったことだ。彼は正々堂々と勝負してきたけど、正直なところを言えば、僕としては抜かれたことがとてもショックだった。決定的な勝負どころだったからね。

 長いシーズンだったけど、全体としては満足だ。クルマも大きく進歩して、そのおかげでいいレースができた。チームとして素晴らしい仕事をしたと思う。今から来シーズンが本当に楽しみだ。最高のルーキーシーズンを送らせてくれた、チームのみんなに感謝したい。

■スポーツペサ・レーシングポイントF1チーム
セルジオ・ペレス 決勝=7位

2019年F1第21戦アブダビGP セルジオ・ペレス(レーシングポイント)
2019年F1第21戦アブダビGP セルジオ・ペレス(レーシングポイント)

 レース前半はちょっとゴタゴタしたものになった。ターン1で(ピエール・)ガスリーにヒットされ、その影響で(ケビン・)マグヌッセンに抜かれてしまったんだ。しばらくの間はDRSが使えなかったので、彼の背後で少しタイムロスを強いられたが、DRSなしでも何とかオーバーテイクできた。

 長い第1スティントの後は、中団グループに追いつくために激しくプッシュする必要があった。レース終盤はとてもいいペースで走れたし、最終ラップのターン11でノリスを仕留めたのは、僕のキャリアを通じて最高のオーバーテイクのひとつだった。そうして6点を稼いだ結果、ドライバーズ選手権でトップ10に入れたことに満足している。もう来シーズンの開幕が待ち切れないよ。

■アストンマーティン・レッドブル・レーシング
アレクサンダー・アルボン 決勝=6位

2019年F1最終戦アブダビGP アレクサンダー・アルボン、ダニール・クビアト
2019年F1最終戦アブダビGP アレクサンダー・アルボン、ダニール・クビアト

 今日のレースは望んでいたような展開にはならなかったので、この後、その理由を調べるつもりだ。セブ(ベッテル)の前に出るために早い段階でピットストップをしたが、うまくいかず、(トラブルにより全員が)DRSを使えない時間帯にトラフィックに引っ掛かってしまった。

 長いセカンドスティントを走ったため、終盤にはタイヤがだめになった。一方のセブはオーバーテイクを重ねて、僕らが予想していたよりずっと早く順位を上げてきた。

 でも時にはこういうこともある。それに、シーズン全体を振り返ると、満足だと言える。やるべき仕事はまだ残っているし、僕自身が今後改善すべきエリアもあるけれど、ルーキーイヤーなのだから、それは当然のことだ。

 レースでのパフォーマンスはよかったと思うが、ペースはもっと改善する必要がある。それも経験を積めばよくなるだろう。

 週明けにはテストがあるから、ハードワークを続けていき、来年に向けてもっと強くなることを目指す。次のシーズンにどこで走るのかはっきりしている状態で冬を過ごせるのはうれしいことだ。目の前の仕事に集中できるからね。このチームで働くのはとても楽しいから、2020年が今から楽しみだよ。

2019/12/03

ストロール「ブレーキに問題が起きてリタイア。全体として期待外れだった」:レーシングポイント F1アブダビGP日曜

 2019年F1最終戦アブダビGPの決勝レースが行われ、レーシングポイントのランス・ストロールはリタイアに終わった。

■スポーツペサ・レーシングポイントF1チーム
ランス・ストロール 決勝=リタイア
 1周目に(ピエール・)ガスリーと接触して、ピットインを強いられた。フロントウイングにダメージがあったからだ。その後は本来のポジションではない下位を走ることになり、そこからの追い上げはとても厳しいものがあった。

 戦略のオプションを検討して2ストップに切り替えたものの、序盤にフロントウイング交換で大きくタイムを失っていたので、挽回は難しかった。残念なことに最後はブレーキに問題が起きて、原因はまだ分からないが、クルマを止めるのに苦労しているような状態だった。それがリタイアした理由だ。

 全体としては、期待はずれと言うしかないレースだった。

2019年F1最終戦アブダビGP ランス・ストロール、セルジオ・ペレス(レーシングポイント)
ランス・ストロール、セルジオ・ペレス(レーシングポイント)

広告

2019/12/03

クビサ「今年は難しいシーズンだったが、決して諦めなかった」:ウイリアムズ F1アブダビGP日曜

 2019年F1最終戦アブダビGPの決勝レースが行われ、ウイリアムズのジョージ・ラッセルは17位、チームメイトのロバート・クビサは19位でレースを終えた。

■ロキット・ウイリアムズ・レーシング
ジョージ・ラッセル 決勝=17位

2019年F1最終戦アブダビGP ジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)
ジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)

 とても楽しいと同時に、タフなレースだった。ペースも相対的には良かったよ。スタートはあまりうまく行かず、何人かに抜かれてしまった。ピットストップ後のペースは、僕らの基準で言えば良かったから、レース後半に関しては満足している。

ロバート・クビサ 決勝=19位
 今年は難しいシーズンになり、今日のレースも楽ではなかった。だが、少なくともいくつかのバトルはあった。1周目にはジョージ(・ラッセル)と競り合って、ターン5で接触してしまった。

 その後の(アントニオ・)ジョビナッツィとの争いでは、それよりずっと激しい衝突があった。そこで右側のフロアにかなり大きなダメージを負い、それからの35周はひどく厳しいものになったんだ。

 総じて楽なシーズンではなかったが、少なくとも全力を尽くそうとトライし、決してあきらめなかった。

2019/12/03

グロージャン「金曜日のクラッシュのせいで仕様変更を強いられた。来年はもっといい展開になることを願う」:ハース F1アブダビGP日曜

 2019年F1最終戦アブダビGPの決勝レースが行われ、ハースのケビン・マグヌッセンは14位、チームメイトのロマン・グロージャンは15位でレースを終えた。

■ハースF1チーム
ケビン・マグヌッセン 決勝=14位

2019年F1最終戦アブダビGP ケビン・マグヌッセン(ハース)
ケビン・マグヌッセン(ハース)

 今回もすごくいいスタートが決まり、1周目も良かった。ただ残念なことに、それ以降は周囲のペースについて行けず、結果としてせっかく稼いだポジションを失った。

 僕らは可能な限りハードに戦った。チームのみんなの仕事には十分に満足しているが、こういうレースで最後まで走り続ける、つまり悪化した状況の中で最善を尽くすというのは、精神的にはとてもキツイものがある。

 それでも、ドライバーたちはみんな頑張っている。ちょうどいいタイミングでセーフティカーが出るとか、そういった予想外のことが起きる場合を考えて、わずかな可能性を追い求めているんだ。いざとなったら、それを最大限に活かせるようにね。

 思えば、今年はずっとそんな感じだった。状況がとても厳しい時にも、チームはずっと頑張ってきた。このシーズンが終わって、みんなホッとしている一方で、2020年に向けて気持ちを切り替えていると思う。来年はもっともっといい年にしたいね。

ロマン・グロージャン 決勝=15位
 タフなレースだった。金曜午後の(バルテリ・)ボッタスとのクラッシュが、今日のレースで多くの妥協を強いたと思う。プラクティスで使っていたあのパッケージのフロアは、ひとつしかなかったからだ。

 結果として、僕は仕様の変更を強いられ、すでによく知っている別の仕様に戻すしかなかった。いずれにせよ、それ以降が厳しい戦いになるのは明らかだった。本番に近いコンディションのセッションは、FP2だけなのだからね。

 僕自身について言えば、レースのスタートに改善の余地がある。それが今年の僕の大きな弱点だった。来年こそ、予選でいいポジションを獲れた時には、必ずいいスタートを決められるようにしたい。

 今日のレースでは、できる限りのことをやったし、チームのみんなも例によっていい仕事をしてくれた。問題はペースが良くなかったことだけだ。来年はもっといい展開になることを願うよ。

2019/12/03

ライコネン「レースペースは良かった。できることはすべてやったので胸を張っていい」:アルファロメオ F1アブダビGP日曜

 2019年F1最終戦アブダビGPの決勝レースが行われ、アルファロメオのキミ・ライコネンは13位、チームメイトのアントニオ・ジョビナッツィは16位でレースを終えた。

アルファロメオ・レーシング
キミ・ライコネン 決勝=13位
 できることはすべてやったのだから、堂々と胸を張っていいと思う。レースペースは金曜と土曜のペースより良くて、何度か面白いバトルにも加われた。ポイント獲得を目指して戦い、それは十分に可能だと考えていたが、最終的にはほんの少し届かなかった。

 1日休んで、ここでテストを行った後、いよいよシーズンは幕を閉じる。

 今シーズンはいろいろと学ぶことが多かった。この経験は来年に向けての改善に活かせるだろう。来季の自分たちの位置は予想できないが、さらに競争力を高めて新たなシーズンに臨みたい。チームとして、今年は多くの面で進歩したが、さらなる進歩を望んでいる。

アントニオ・ジョビナッツィ 決勝=16位

2019年F1最終戦アブダビGP アントニオ・ジョビナッツィ(アルファロメオ)
アントニオ・ジョビナッツィ(アルファロメオ)

 いい成績でシーズンを終わるために戦ったが、ポイントを獲ることはできなかった。グリッド後方からのスタートになり、チャンスが訪れた時にはそれを生かせるように2台で戦略を分けた。けれども、そのギャンブルは功を奏さなかった。

 僕自身、多くのことを学んだシーズンだった。それはメルボルンでまたスタートラインに並んだ時に、大いに役立つことだろう。予選とレースの両方について、シーズンを通じて進歩できたことにも満足しているし、もっと進歩できると思うと来年が楽しみだ。

 この冬の間もハードワークを続けて、どの領域で改善ができるかを理解し、2020年をさらにいいシーズンにするためにベストを尽くしたい。

広告

2019/12/03

ヒュルケンベルグ「1ストップ作戦は難しかったがペースは良かった。チームの成功を祈っている」:ルノー F1アブダビGP日曜

 2020年F1最終戦アブダビGPの決勝レースが行われ、ルノーのダニエル・リカルドは11位、チームメイトのニコ・ヒュルケンベルグは12位でレースを終えた。

■ルノーF1チーム
ダニエル・リカルド 決勝=11位

2019年F1最終戦アブダビGP ダニエル・リカルド(ルノー)
ダニエル・リカルド(ルノー)

 僕にとってはごく普通のレースだった。最初のピットストップの後、ハードタイヤで少し苦戦したのが残念だ。終盤にはハードよりも速いタイヤで挽回しようと試みたが、最後は時間切れになってしまった。

 とはいえ大局的に見るとすれば、何とかコンストラクターズ選手権5位を確保できたのは良いことだ。それがこの週末を迎えるにあたっての目標だったからね。結果として、楽観的な気持ちでオフシーズンを迎え、来季を展望することができそうだ。

ニコ・ヒュルケンベルグ 決勝=12位
 全力を尽くしたが、残念なことにポイントは獲れなかった。1ストップ戦略で走り抜くのは難しくて、終盤はタイヤのデグラデーションがひどかったんだ。

 それでもレースペースは良かったし、最後まで戦うことができた。僕のこのチームでの最後のレースとして、内容は悪くなかったと思う。明るい気持ちでフィニッシュを迎えられたよ。

 ここでの3年間は有意義で、親密な家族のように共に成長することができた。一緒に味わってきた喜びや悔しさのすべてについて、彼らに心から感謝している。チームの今後の成功を祈るよ。

2019年F1第21戦アブダビGP ニコ・ヒュルケンベルグ(ルノー)
2019年F1第21戦アブダビGP ニコ・ヒュルケンベルグ(ルノー)

2019/12/02

サインツJr、最終ラップでつかんだ選手権6位「このレースは一生忘れられない」:マクラーレンF1

 2019年F1アブダビGP決勝で、マクラーレンのカルロス・サインツJr.は10位、ランド・ノリスは8位だった。サインツは、最終戦を迎えた段階で、トロロッソ・ホンダのピエール・ガスリーと同点ながら、成績の差でひとつ下のランキング7位だった。しかしアブダビでガスリーがノーポイントに終わるなか、サインツはファイナルラップで10位に浮上、1ポイントをもぎ取り、選手権6位の座を確保した。

■マクラーレンF1チーム
カルロス・サインツJr. 決勝=10位
 文句なしだ! この週末の目標はドライバーズ選手権を6位で終えることで、それを実現できたのだから。決して楽なレースではなかった。どのスティントでもひどいトラフィックの中を走らされたし、ソフトタイヤでスタートしなければならなかったからだ。

 僕は2ストップの戦略を採った。そうするとトップ10でフィニッシュできるかどうか、微妙になることは承知していたが、1ストップではチャンスはないことも分かっていた。

 レース終了間際に何とか(ニコ・)ヒュルケンベルグに追いついて、最終ラップにオーバーテイクを決めることができた。あれは一生忘れられないだろうね。このシーズンに心から満足しているし、チームメンバーのひとりひとりに本当に感謝している。ありがとう!

2019年F1第21戦アブダビGP マクラーレンチームが記念撮影
2019年F1第21戦アブダビGP マクラーレンチームが記念撮影

ランド・ノリス 決勝=8位
 総じて言えば、無難なスタートを切って、いいレースができた。ソフトタイヤでのスティントの終盤は、少し苦戦してミスを犯し、派手なロックアップをやらかした結果、理想的なタイミングより早めにピットに入らなければならなかった。それでも、タイヤマネージメントに関しては、全体としていい仕事をしたと思う。

 いいバトルができたし、その必要がある時にはいいオーバーテイクもできた。レースを通じて僕が犯したもうひとつのミスは、最後に(セルジオ・)ペレスに抜かれてしまったことだ。彼は正々堂々と勝負してきたけど、正直なところを言えば、僕としては抜かれたことがとてもショックだった。決定的な勝負どころだったからね。

 長いシーズンだったけど、全体としては満足だ。クルマも大きく進歩して、そのおかげでいいレースができた。チームとして素晴らしい仕事をしたと思う。今から来シーズンが本当に楽しみだ。最高のルーキーシーズンを送らせてくれた、チームのみんなに感謝したい。

2019/12/02

ペレス7位「キャリアベストのオーバーテイクを決めて選手権10位を獲得」:F1アブダビGP

 2019年F1アブダビGP決勝で、レーシングポイントのセルジオ・ペレスは7位だった。55周のレースを10番グリッドからミディアムタイヤでスタート、37周目にハードに交換する1回ストップで走行。ランキング10位争いをしていたランド・ノリスを最後の最後に抜いて、選手権トップ10の位置を死守した。

■スポーツペサ・レーシングポイントF1チーム
セルジオ・ペレス 決勝=7位
 レース前半はちょっとゴタゴタしたものになった。ターン1で(ピエール・)ガスリーにヒットされ、その影響で(ケビン・)マグヌッセンに抜かれてしまったんだ。しばらくの間はDRSが使えなかったので、彼の背後で少しタイムロスを強いられたが、DRSなしでも何とかオーバーテイクできた。

2019年F1第21戦アブダビGP ピエール・ガスリー(トロロッソ・ホンダ)、ランス・ストロールおよびセルジオ・ペレス(レーシングポイント)のクラッシュ
2019年F1第21戦アブダビGP ピエール・ガスリー(トロロッソ・ホンダ)、ランス・ストロールおよびセルジオ・ペレス(レーシングポイント)のクラッシュ

 長い第1スティントの後は、中団グループに追いつくために激しくプッシュする必要があった。レース終盤はとてもいいペースで走れたし、最終ラップのターン11でノリスを仕留めたのは、僕のキャリアを通じて最高のオーバーテイクのひとつだった。そうして6点を稼いだ結果、ドライバーズ選手権でトップ10に入れたことに満足している。もう来シーズンの開幕が待ち切れないよ。

広告

2019/12/02

ボッタス、最後尾から4位「表彰台まで0.944秒。楽しいレースだった」:メルセデス F1アブダビGP

 2019年F1アブダビGP決勝で、メルセデスのバルテリ・ボッタスは最後尾から4位を獲得した。

 予選で2番手タイムをマークしたものの、パワーユニットの交換により最後尾20番グリッドから、ユーズドミディアムタイヤでのスタートとなった。29周目にハードに交換する1回ストップで走り、3位シャルル・ルクレールの0.944秒後方にまで迫った。

■メルセデス-AMG・ペトロナス・モータースポーツ
バルテリ・ボッタス 決勝=4位
 シーズン最終戦としていいレースができたと思う。オーバーテイクを繰り返して楽しく走った。今日はマシンの力を最大限まで引き出せた。終盤、シャルルのすぐ後ろまで追いついたが、彼をオーバーテイクするには至らなかった。表彰台が見えていたんだけどね。

 序盤はついてないことに(サーバートラブルにより)しばらくDRSの使用ができず、そのためにオーバーテイクが本来よりも難しくなった。それでもポジションを上げつつ、ミディアムでのスティントを引き延ばすことで、最終的にいい結果をつかんだ。

 僕にとってここまでのキャリアのなかでベストシーズンだった。去年よりもはるかにいい状態だから、2020年にはまた攻めていくよ。

2019/12/02

メルセデスF1のハミルトン、完勝も「2020年マックスたちに負けないよう、気を緩めずに努力していく」

 2019年F1アブダビGP決勝で、メルセデスのルイス・ハミルトンはポールポジションから今季11勝目を挙げた。

 ハミルトンは55周のレースをミディアムタイヤでスタート、26周目にハードに交換する1回ストップで走った。ファステストラップを記録してボーナスポイントも獲得、決勝全周回リードと、完勝を果たした。

2019年F1第21戦アブダビGP 優勝したルイス・ハミルトン(メルセデス)がドーナツターン
2019年F1第21戦アブダビGP 優勝したルイス・ハミルトン(メルセデス)がドーナツターン

■メルセデス-AMG・ペトロナス・モータースポーツ
ルイス・ハミルトン 決勝=1位
 最高の形でシーズンを終えることができた。今週末、僕らチームはとても強くて、バルテリ(・ボッタス)も素晴らしい仕事をしたと思う。皆が献身的にハードワークを続けていることをありがたく思う。僕らは共にレベルを引き上げているんだ。チームの皆に心から感謝したい。

 僕らチームにとって、成長という意味ではとても重要な一年だったと思う。来年新たなチャレンジを始めるにあたり、今年の経験が役立つことを願っている。

 今年はバルテリ、マックス(・フェルスタッペン)、シャルル(・ルクレール)を相手にいいレースをしてきた。2020年はさらに接戦になるはずだ。彼らはレベルを引き上げるための努力を惜しまないだろうから、この冬、僕も同じことをしなければならないのは明らかだ。自分にはやれると信じているよ。気持ちを新たに前に進んでいく。来年の新たなチャレンジを楽しみにしている。

2019/12/02

メルセデスF1のハミルトン、完勝も「2020年マックスたちに負けないよう、気を緩めずに努力していく」

 2019年F1アブダビGP決勝で、メルセデスのルイス・ハミルトンはポールポジションから今季11勝目を挙げた。

 ハミルトンは55周のレースをミディアムタイヤでスタート、26周目にハードに交換する1回ストップで走った。ファステストラップを記録してボーナスポイントも獲得、決勝全周回リードと、完勝を果たした。

2019年F1第21戦アブダビGP 優勝したルイス・ハミルトン(メルセデス)がドーナツターン
2019年F1第21戦アブダビGP 優勝したルイス・ハミルトン(メルセデス)がドーナツターン

■メルセデス-AMG・ペトロナス・モータースポーツ
ルイス・ハミルトン 決勝=1位
 最高の形でシーズンを終えることができた。今週末、僕らチームはとても強くて、バルテリ(・ボッタス)も素晴らしい仕事をしたと思う。皆が献身的にハードワークを続けていることをありがたく思う。僕らは共にレベルを引き上げているんだ。チームの皆に心から感謝したい。

 僕らチームにとって、成長という意味ではとても重要な一年だったと思う。来年新たなチャレンジを始めるにあたり、今年の経験が役立つことを願っている。

 今年はバルテリ、マックス(・フェルスタッペン)、シャルル(・ルクレール)を相手にいいレースをしてきた。2020年はさらに接戦になるはずだ。彼らはレベルを引き上げるための努力を惜しまないだろうから、この冬、僕も同じことをしなければならないのは明らかだ。自分にはやれると信じているよ。気持ちを新たに前に進んでいく。来年の新たなチャレンジを楽しみにしている。

広告

2019/12/02

ベッテル5位「DRSトラブルでソフトタイヤのアドバンテージを生かせず」:フェラーリ F1アブダビGP

 2019年F1アブダビGP決勝で、フェラーリのセバスチャン・ベッテルは5位だった。55周のレースを4番グリッドからソフトタイヤでスタート、12周目にハードに、38周目にミディアムに交換する2回ストップで走った。

 上位の他のドライバーたちと異なりソフトタイヤでスタートしたベッテルだが、レース序盤、データサーバーのクラッシュにより全ドライバーがDRSを使えない事態になったことが、戦いに影響したと語っている。

 2019年ドライバーズ選手権で、ベッテルは5位を獲得した。

2019年F1第21戦アブダビGP チームと記念撮影をするセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)
2019年F1第21戦アブダビGP チームと記念撮影をするセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)

■スクーデリア・フェラーリ
セバスチャン・ベッテル 決勝=5番手
 スタート直後、行き場がなくなった。(序盤に)DRSが使えなかったことも不利に働いた。(前を走る)マックス(・フェルスタッペン)に対して僕にはタイヤのアドバンテージがあったけれど、そのタイミングでDRSが使えなかった。そして周回を重ねていくうちに、タイヤのアドバンテージは減っていったんだ。

 最初のピットストップの後、あまり速さがなかったのでもう一度ピットに入った。それによってポジションをふたつ落とし、ひとつは取り戻せたが、今日のメルセデスはとにかく速くて、それ以上は無理だった。

 全体的に見て、僕らは今年、期待していたようなシーズンを送ることができなかった。その理由ははっきりしているし、学習もした。来年はそれを生かして戦わなければならない。

 チームとして成長していく必要があるが、僕自身にとっても理想的な一年ではなかった。外から見るほど悪くはないにしてもね。小さなことが積み重なって、最終的に素晴らしくは見えないような状況に陥っていった。

 僕自身、もっといい仕事ができることは分かっている。進歩することが来年の目標だ。来年のマシンがライバルたちと戦えるような強力なパッケージであればいいね。この後はテストに集中し、休暇も楽しむよ。

1 2 3 4 5