F1アメリカGPの記事一覧

2019/11/14

【F1チームの戦い方:小松礼雄コラム第14回】改めて知る高地セットアップの難しさ。連戦を経てようやくマシン不調の原因が明らかに

 今シーズンで4年目を迎えるハースF1チームと小松礼雄チーフレースエンジニア。アメリカ大陸における連戦の初戦、第18戦メキシコGPは厳しいレースが続くハースにとって鬼門となった。その一方で、第19戦アメリカGPではこの数レースで続けてきたテストが功を奏し、ようやくマシン不調の原因がわかったという。現場の事情を、小松エンジニアがお届けします。

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2019年F1第18戦メキシコGP
#8 ロマン・グロージャン 予選18番手/決勝17位
#20 ケビン・マグヌッセン 予選17番手/決勝15位

 メキシコGPは苦戦を覚悟していましたが、まるでこの2週間の連戦が3週間のように感じられるくらい大変でした……。ウチは毎年メキシコGPでは同じ問題を抱えてしまうのですが、標高が高く空気密度が薄いメキシコシティーでは、昨年のように競争力のあるクルマであったとしてもダウンフォースが絶対的に不足してしまうんです。

 それに加えて高地では冷却もあまりうまくいかず、そのため開口部が大きく開いたボディワークを使用せざるを得ないので、それによってダウンフォースはさらに削られてしまいます。ですからメキシコでは最もダウンフォースの効くモナコGP仕様のリヤウイングを持って行っても、実際には低ダウンフォース仕様で走るイタリアGPと同じくらいのダウンフォースしか発生させられないんです。

 標高が高いことで空気密度が薄くなると、ブレーキの冷却にも影響を及ぼします。ダウンフォースがイマイチ足りなくてタイヤに熱が入りにくい場合は、基本的に攻めの走りをしてできるだけタイヤに負荷をかけて熱を入れないといけません。

 しかし冷却不足でブレーキ温度が高くなりすぎると、クルマがきちんと止まらなくなりますし、ブレーキディスクもどんどん摩耗して最悪の場合はレースを完走できなくなります。これを避けるためには、ブレーキングポイント手前の直線の最後でスロットルを緩めて、ブレーキにかかる負荷を緩めて温度を下げてやらなければいけません。しかしこうすることで、今度はタイヤの温度までどんどん落ちてくるという悪循環に陥ります。

 ウチはいまだにそういう状況で走る場合の弱点を潰し切れていないので、メキシコGPはきつい戦いになると事前からわかっていました。残念ながら、予選Q1で敗退というのも想定内でした。決勝レースでも状況は同じで、ウチのクルマは基本的な競争力不足だったので厳しいレースでした。

2019年F1第18戦メキシコGP ロマン・グロージャン(ハース)
ロマン・グロージャン(ハース)

 F1のカレンダーには、抵抗を無視してとにかくダウンフォースをつけなければいけないモナコGPやハンガリーGP、逆に空気抵抗をなるべく削らなければいけないイタリアGP、シーズンのなかで最も標高が高く空気密度の薄いサーキットで開催されるメキシコGPなど、通常のレースとは特性の異なるレースがいくつかあります。そういう特殊なレースにどれくらいの人・時間・資金を割くのかというのもチームの戦略的判断になります。

 ちなみに、第17戦日本GPに続いてメキシコGPでもテスト用の空力パーツを投入する予定だったのですが、これはアメリカGPに延期しました。というのもメキシコの空気の薄さにより、クルマのあらゆるところに埋め込まれている空気圧を計測するセンサーがうまく機能しないのです。

 こうなるとコーナリング中のデータが不足し、新しいパーツの評価をしっかりとすることができないので、下手をすれば間違った判断を下すことになります。よってより正確に結果を検証できるアメリカGPに先延ばしする判断を下しました。

 また、あまり良いデータが採れないなかで不確定要素をなるべく減らすため、メキシコでは2台ともに同じクルマの仕様で走りました。このようにしてなんとかドライバーが力を発揮できる状況で走らせたのですが、やはり絶対的なグリップ不足に悩まされ、できることはとても限られていました。

■アメリカGPではわずか4周でピットストップ1回分のロスタイム。ポジション入れ替えが大きなカギに

第19戦アメリカGP
#8 ロマン・グロージャン 予選15番手/決勝15位
#20 ケビン・マグヌッセン 予選12番手/決勝18位

 アメリカGPの舞台となるサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)ですが、元々安定した土地に建てられていないので、毎年コース上の至るところが沈みます。今年は開催初年度に比べてコースの一部が1.5mも低くなっていたそうです。

 みんな路面の“バンプ”と言っていますが、もう“うねり”と表現した方がよいぐらい状況は酷かったですね。ドライバー達もみな、走り出してすぐに文句を言っていました。来年まともに走るためには相当な路面工事が必要になると思います。

 また今年は寒さの影響もありました。FP1はまるで冬のプレシーズンテストのような低い気温でしたが、あの状況で走ってもクルマ的には悪くなかったです。実はそれ自体も問題だとは思うのですが……ウチは寒ければ寒いほどクルマがいいんですよね。

 ピレリタイヤは表面がオーバーヒートすると使い物にならなくなりますが、フリー走行1回目(FP1)の状況(セッション開始時は気温9度、路面温度16度)だとそういうことも起きませんでした。ロマンはクルマの感触が良いと言っていましたが、やはりこの状況で最もまともに走れてしまうというのも問題です。

 ケビンもFP1ではクルマの感触が良かったと言っていました。ロマンの方が速かったのですが、そういう時でもケビンは予選までには自分もその速さを発揮できるようになると確固たる自信を持っているのが彼の長所です。

 フリー走行2回目では2周目にロマンがクラッシュし、ケビンはテスト用のパーツを投入した際にクルマのバランスを崩してしまい、ほとんどまともなデータが採れなかったのは反省点です。よってフリー走行3回目が実質的な2回目の走行で仕切り直しという感じでした。

 FP3ではケビンの方が最初から感触が良かった一方で、FP1との風向きの違いや路面温度の上昇もあって、ロマンはうまく走れていませんでした。この時点で予選でもロマンがケビンを上回ることは難しいだろうとの予想がついていました。

 その結果ケビンは12番手、ロマンは15番手でした。ケビンはなかなか良く走ってくれましたが、最終コーナーでアンダーステアを出してコンマ2秒ほどロスしたのが痛かったです。

2019年F1第19戦アメリカGP ケビン・マグヌッセン(ハース)
ケビン・マグヌッセン(ハース)

 決勝レースは、ミディアム-ハードと繋ぐ1ストップ作戦でいこうと考えていました。ケビンはレース序盤にキミ・ライコネン(アルファロメオ)やダニール・クビアト(トロロッソ・ホンダ)に抜かれて以降ペースが上がらず、ロマンのすぐ前までずるずるとポジションを落としてしまいました。

 17周目にアントニオ・ジョビナッツィ(アルファロメオ)がピットインしたので、これに対応するためケビンを翌18周目にピットに入れ、無事ジョビナッツィの前でコースに復帰することができました。

 これでロマンはケビンに詰まることなく走れるようになったので、どれくらいのペースで走れるのかを確認したかったのですが、ケビンと同じ18周目にカルロス・サインツJr.(マクラーレン)やライコネンもピットに入り、19周目にはピエール・ガスリー(トロロッソ・ホンダ)もピットインしたので、ロマンはピットアウトしてきた彼らとバトルをすることになりました。バトルによるタイムロスもあり、タイヤも結構摩耗していたので、パフォーマンスもガクッと落ちてしまいました。

 その後は後方から追い上げてきたアレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)や2スティント目を走っていたランス・ストロール(レーシングポイント)ともバトルをしたこともあって、この4周くらいの間にピットストップ1回分くらいのタイムロスをしてしまいました。最終的にロマンは24周目にハードタイヤへ交換し、そこから最後までは上手くタイヤのマネージメントをして最後まで走り切りました。

 反省点としては、レース序盤にケビンのペースが上がらなかった時点で、ロマンとポジションを入れ替えるべきでした。チームオーダーのことも考えて、ケビンにはペースを上げるように言ったのですが、全然ペースが上がらずにロマンが10秒以上も詰まってしまったので……。もしこの早い段階でドライバーを入れ替えていれば、24周までロマンのピットストップを遅らせてもアウトラップのクルマとのバトルであれほどのロスにはならなかったはずです。それでもポイント獲得には至らなかったと思いますが、12位辺りでレースを終えられていたと思います。

■ハースF1と小松エンジニアがギリギリのタイミングでつかんだマシン不調の原因

 さて上述の通り、アメリカGPで新しいパーツを投入しました。今年のクルマを早くするためというよりも、今までクルマのどの部分が悪さをしていたのかを見つけるためのテストですので、アメリカで投入した新しいパーツによってクルマが速くなったかというと残念ながらそのようなことはありません。

 しかしアメリカGPを終えて、今までクルマのどこの部分がどうして性能を発揮できていなかったのかというのが正確にわかってきましたが、ウチのような小さいチームではその発見に時間がかかってしまいました。

 大きいチームとは人数の差もありますが、データ処理の仕方やソフトウェア、センサーなどの道具も違うのでなかなか激しい競争のなかで迅速に対応することができていません。これは大きな課題で一朝一夕に完全に解決できることではありませんが、より効率的に速さを追及できるように、今は組織改革を進めているところです。

 もうすでに風洞では2020年型のクルマをテストしていますし、そろそろクルマの初期仕様を決めなければいけません。シンガポールGPから始めた数々のテスト結果はどんどん来年のクルマに反映されているので、開発の方向としてはあっていると思っています。あとは本当に効率ですね。開発を急ピッチで進めながらも今年のバルセロナでのアップデートと同じ過ちを犯さないために、解析の精度やタイミングなど様々な面を改善していっています。

 ハース4年目で今年は断トツに一番厳しいシーズンになりました。とても厳しいことはわかっていますが、あくまでも目標は選手権を7ポイント差で追っているアルファロメオを逆転することです。来年に向けてのテストをしながらも、残り2戦、最後まで決して諦めずポイント獲得を狙っていきます。

2019年F1第19戦アメリカGP ケビン・マグヌッセン&ロマン・グロージャン(ハース)
ケビン・マグヌッセン&ロマン・グロージャン(ハース)

2019/11/11

中団グループで戦うポテンシャルは十分。必要なのは“仕上げ”の部分/トロロッソ・ホンダF1コラム

 2019年のトロロッソは明らかに例年とは違う。いつもならばシーズン終盤のこの時期はマシン開発が停滞し、ポイント争いからは置き去りになってしまうのがトロロッソの常だった。

 しかし今年は毎戦予選Q3進出を争い、決勝でもポイント圏内を走行している。これはマシン開発面でもレース運営面でもチームとして成長を遂げている何よりの証だ。

「僕らはシーズン後半戦に入ってから大きなアップデートもないし、小さなカーボンパーツがあちこちに加わっている程度で、基本的にはベルギーGPの時と同じままのクルマで戦っている。そんな中でマシンのポテンシャルを最大限に引き出せているからこそ僕らはこのポジションにいられるんだ。メキシコGPでも良かったし、アメリカGPではその流れにままさらに前に進むことができた」

 ピエール・ガスリーはそう語り、マシンポテンシャルを最大限に引き出せるようになったチーム技術陣の成長を賞賛した。

 そしてガスリーは「ほとんど変わらない」と表現するが、実際には日本GP以降は毎戦のようにマシンには様々な手が加えられている。

 予選でのラップタイムに大きく直結するようなアップグレードではないためガスリーはそのような表現をしたのかもしれないが、ピークパフォーマンスが0.1秒ほどしか変わらなかったとしても、そのアップデートによってマシンの安定性が向上し、そのピークパフォーマンスが引き出しやすくなっている。それと同時にレースペースの安定性ももたらしている。そういう改良が着実に進められているからこそ、今年のシーズン終盤戦のトロロッソ・ホンダは速さを維持しているのだ。

 第18戦メキシコGPでは、結果的に最終ラップの最終コーナーでニコ・ヒュルケンベルグ(ルノー)と接触してペナルティを受け入賞圏外に落ちたとは言え、ダニール・クビアトは今季ベストのレース週末のひとつだったと振り返ったほどだ。中団グループ最上位のマクラーレンを喰うほどの速さを初日から見せていたが、それもやはりマシンの持つポテンシャルを引き出すチーム力の成長によるものだとクビアトは説明した。

「メキシコGPはマクラーレンと同じ戦略で戦って僕らの方がペースが良かった。金曜から速さがあったし今シーズンでベストレースのひとつだったんだ。ここ数戦の僕らはトラブルさえなければ良いポジションにいるし、チームとしてのオペレーションの成長にも満足しているよ」

 連戦となった第19戦アメリカGPのサーキット・オブ・ジ・アメリカズでもトロロッソ・ホンダの速さは続き、ガスリーがQ3に進んだ。

 マシンの開発、チーム力の成長だけでなく、ホンダのパワーユニット(PU/エンジン)の進歩も大いに貢献しているとガスリーは語る。

「Q3に安定して進めている一貫性には満足だよ。ホンダのパワーユニットが進歩したことで去年よりもパワーセンシティブなサーキットで苦労しなくなっている。それも僕らの一貫性に貢献しているよ」

■いまひとつ噛み合わないクビアト

 クビアトもQ2最後のアタック直前にルイス・ハミルトン(メルセデス)とマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)のコース上での交錯に巻き込まれていなければ、本来のアタックを決めてQ3に進むだけの速さはあったはずだった。

「ハミルトンとマックスが何をやろうとしていたのか、理解出来ないよ。僕はブレーキングして避けなければならなかったし、タイヤが冷えて最後のアタックに影響を受けてしまった。予選では時にこういうこともあるから仕方がないとは思うけど、何らかの措置があっても良いとも思う。彼らはもうQ3進出が決まっているから良いけど、僕はそうじゃなかったわけだからね」

 シーズン後半戦のクビアトはいまひとつ上手く回らないレースが続いている。夏休み明けに続いたトラブルが一段落したかと思えば、こうした外的要因に阻害されたり、それによって自身のドライビングがやや粗くなってしまったり。

 メキシコGPでも最終ラップの接触でペナルティを科されてポイントを逃したが、アメリカGPでもまた最終ラップのターン15でセルジオ・ペレス(レーシングポイント)のインに飛び込み、5秒加算ペナルティを受けて12位に後退してしまった。

「僕は彼とサイドバイサイドでバトルをしてインに飛び込んだだけだ。そしたら彼がドアを閉めた。これは普通のことだ。それで接触をして、今度は僕が(ターン17~18で)アウト側から彼をオーバーテイクしたんだ」

2019年F1第19戦アメリカGP ダニール・クビアト(トロロッソ・ホンダ)
2019年F1第19戦アメリカGP ダニール・クビアト(トロロッソ・ホンダ)

 10位でフィニッシュしポイントをもぎ取ったと興奮冷めやらぬ中、ペナルティを聞かされたクビアトは「クソだね、全く信じられないよ。言葉もないよ、本当に馬鹿げた裁定だ。全く受け容れがたいね」とこの裁定を真っ向から批判した。

 しかしターン15でクビアトはインカットするようなかたちでペレスに並びかけ、接触してフロントウイングをもぎ取りながら押し出したように見え、この裁定は仕方のないものと言えた。

 一方、ガスリーも残り3周でペレスと接触を喫していた。

■マクラーレンと同等のポテンシャルを見せたものの……

 ペレスは最後にタイヤがタレてペースを落とし、防戦一方の状態。ターン12で抜いたはずがターン13で再びインに飛び込まれ、その際に軽く接触した。フロントウイングを踏まれただけのようにも見えたが、ガスリーはすぐさまマシン挙動の異変を訴え、一度ピットインしてタイヤを換えて再度コースに戻ってみたものの違和感は拭えず、リタイアを余儀なくされた。

「56周レースの53周目までポイント圏内を走っていて、前のマクラーレンと同等のペースで走っていたんだ。これは僕らにとって驚きだったよ。でも残り3周でセルジオ(・ペレス)トのバトルになってターン13で交錯して接触した。それで右フロントサスペンションが壊れてリタイアすることになってしまった。とても残念だよ」

 結果はチームとしてもノーポイントで、2台揃って抜けたはずのペレスが生き残って1ポイントを獲得したため、コンストラクターズランキング6位の座を1点差で奪われた。

 今のトロロッソに足りないとすれば、レースの戦略とバトルをきちんと仕上げて確実にポイントを持ち帰る“仕上げ”の部分だ。

 メキシコGPしかり、アメリカGPしかり、マクラーレンと中団グループ最上位を争うほどのポテンシャルで絶好のチャンスであったにもかかわらず、レースの流れを組み立て切れずに獲れたはずのポイントを失っている。

「1点か2点は獲れたはずのレースだったし、毎戦ポイント圏内で争えているということ自体はポジティブなことだよ。それが残りのブラジルとアブダビでも僕らのターゲットになる」

 失敗から学び、成長し、残る2戦できちんと獲れるだけのポイントを持ち帰ることが今のトロロッソに求められている。

ピエール・ガスリー(トロロッソ・ホンダ)
ピエール・ガスリー(トロロッソ・ホンダ)

2019/11/09

コース全域で果敢なバトルを繰り広げたリカルドに敢闘賞【今宮純のF1メキシコ&アメリカGP採点】

 F1ジャーナリストの今宮純氏が独自の視点でドライバーを採点。週末を通して、20人のドライバーから「ベスト・イレブン」を選出。予選やレースの結果だけにとらわれず、3日間のパドックでの振る舞い、そしてコース上での走りを重視して評価する。今回はF1第18戦メキシコGP、第19戦アメリカGP編だ。

☆ ピエール・ガスリー(トロロッソ・ホンダ)
メキシコGP決勝=9位/アメリカGP決勝=16位

2019年F1第18戦メキシコGP ピエール・ガスリー(トロロッソ・ホンダ)
2019年F1第18戦メキシコGP ピエール・ガスリー(トロロッソ・ホンダ)

 いっそう激しくなっている終盤の“中間チーム戦線”で、レッドブルにいたときよりも自力を発揮。フリー走行からトップ10内をしっかりとキープしQ3へ。アメリカGPのレース終盤ではセルジオ・ペレスとの接触がありサスペンションを破損。DNF(16位)に終わったがいまの彼は昨年以上にトロロッソ・ホンダを乗りこなしている。

☆☆ ランド・ノリス(マクラーレン)
メキシコGP決勝=リタイア/アメリカGP決勝=7位

2019年F1第19戦アメリカGP ランド・ノリス(マクラーレン)
2019年F1第19戦アメリカGP ランド・ノリス(マクラーレン)

 初F1コースを二日目にはマスターする学習能力の早さがまさに速さにつながっている(シミュレーターでの“特訓効果”なのだろう)。鈴鹿からサインツに次ぐ連続予選8番手は驚く。アメリカGPスタートの1周目にはスペースを見切り5番手へ。そこからダニエル・リカルドとの攻防に没頭し、サインツとは異なる2ストップ作戦で7位入賞。マクラーレンにとって実に頼もしいルーキーだ。

☆☆ マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
メキシコGP決勝=6位/アメリカGP決勝=3位

2019年F1第19戦アメリカGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)が3位表彰台を獲得
2019年F1第19戦アメリカGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)が3位表彰台を獲得

 せっかくの才能を無駄にしてはいけない。メキシコGP予選での“黄旗振動無視事件”によってPPを自らダメにしてしまい、4番手スタートからまたも接触。アメリカGPでもそうだがダメージを負ったマシンであれほど走れるだけに、非常に惜しまれる。もう新鋭ではない百戦錬磨なのだから……。

■PP発進のメキシコでメルセデスに完敗したルクレール

☆☆ アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)
メキシコGP決勝=5位/アメリカGP決勝=5位

2019年F1第19戦アメリカGP日曜 アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)
2019年F1第19戦アメリカGP日曜 アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)

 メキシコGPでは初日にクラッシュ、そのミスを認めてしっかり結果を出しきるのは秘めたメンタルの強さ。フェルスタッペンとかなりタイム差があっても悩まずに受けとめ、自己啓発の糧にしているよう。挽回力をレースで示す連続5位で計84点(トロロッソでは16点)、ランク6位まで上昇。

☆☆☆ シャルル・ルクレール(フェラーリ)
メキシコGP決勝=4位/アメリカGP決勝=4位

2019年F1第19戦アメリカGP FP3でPUトラブルに見舞われたシャルル・ルクレール(フェラーリ)
2019年F1第19戦アメリカGP FP3でPUトラブルに見舞われたシャルル・ルクレール(フェラーリ)

 内心、相当ストレスがたまる連戦ではなかったか。繰り上がりとはいえPP発進のメキシコGPを2ストップ作戦で行った結果が4位後退。アメリカGPではトラブルが多発し旧スペックPUに交換。レースでもチームが「原因不明」と言うタイヤ変調に苦しんだ末に4位。その鬱憤をはらすかのように連続最速ラップ樹立、今季4度目だ。

☆☆☆ カルロス・サインツJr.(マクラーレン)
メキシコGP決勝=13位/アメリカGP決勝=8位

2019年F1第19戦アメリカGP決勝 カルロス・サインツJr.(マクラーレン)
2019年F1第19戦アメリカGP決勝 カルロス・サインツJr.(マクラーレン)

 20年に向けたパーツ・テストなど多くのプログラムをこなす彼は『走るエンジニア』。予選になればアタックを決め“BリーグPP”の7位を第17戦日本GPから3戦連続で獲得。メキシコGPではチームメイトともども決勝で苦戦したが翌週のアメリカGPでは10点追加。事実上これでルノーを38点リードするマクラーレンは5年ぶりの4位確定だろう。

☆☆☆ セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)
メキシコGP決勝=2位/アメリカGP決勝=リタイア

2019年F1第19戦アメリカGP セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)、サスペンション故障でリタイア
2019年F1第19戦アメリカGP セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)、サスペンション故障でリタイア

 なによりアスリートとしてレーサーとして、V6戴冠決定のルイス・ハミルトンに表彰台前の控え室で祝福した行動は立派だ。V4をやりぬいた彼だからこそ、その偉業がよく分かる。なにかと批判対象になったシリーズ後半にも、ひたむきな彼の戦う態度に変わりはなかったと思う(イタリア・メディアの見方は厳しいが)。サスペンションが折れるまで全力疾走したアメリカGP、スクーデリアを引っ張っていくのは若いルクレールではなく、エースの任務である。

■確実性と安定性、ベテランらしい走りを見せる2019年のハミルトン

☆☆☆☆ セルジオ・ペレス(レーシングポイント)
メキシコGP決勝=7位/アメリカGP決勝=10位

2019年F1第18戦メキシコGP決勝 セルジオ・ペレス(レーシングポイント)
2019年F1第18戦メキシコGP決勝 セルジオ・ペレス(レーシングポイント)

 トップチームには評価されずとも、フォースインディア時代からやるべきことをやりとおす。チームプレイヤーとして模範的な存在だ。母国メキシコGPのF1人気を毎年高め大観衆の前で7位入賞、トロロッソと同点。そして“1点勝負”がかかったアメリカGPではピットレーンスタートから10位入賞。逆転ランク6位は分配金に換算すれば、7番手とは“5億円(推定)”の差額になる。新メルセデスPUを彼に投入したレーシングポイント、残り2戦をエースに託す。

☆☆☆☆ バルテリ・ボッタス(メルセデス)
メキシコGP決勝=3位/アメリカGP決勝=1位

2019年F1第19戦アメリカGP決勝 バルテリ・ボッタス(メルセデス)
2019年F1第19戦アメリカGP決勝 バルテリ・ボッタス(メルセデス)

 自分が劣るのはどの部分か優っている部分はどこか。“ハミルトン研究”の成果をアメリカGPでは見出せたのだろう。土曜からセクター2のラインを微妙に変えバンプで跳ねる症状も減り、しなやかなドライビング・タッチで今季5回目PP獲得(ハミルトン4回)。OBカメラ画面ではやや早めの減速から滑らかに加速するのが見てとれた。PPウインが少ないと揶揄されてきた彼の“ベストレース”のひとつ、6冠王をコース上で抜いたのだから。

☆☆☆☆☆ ダニエル・リカルド(ルノー)
メキシコGP決勝=8位/アメリカGP決勝=6位

2019年F1第19戦アメリカGP ダニエル・リカルド(ルノー)
2019年F1第19戦アメリカGP ダニエル・リカルド(ルノー)

 サーキット・オブ・ジ・アメリカズのコース全域で技能・敢闘・殊勲賞にふさわしいレース。アメリカのハイウェイのように広い“道幅”を自由自在に使って抜く、抜かせないその攻守のスキルは彼ならでは。直近ライバルのマクラーレン2台をひとりで抑えこむ6位入賞、ランク6位のレーシングポイントとは18点差。これでルノーのランク5位はほぼ確定だろう。

☆☆☆☆☆☆ ルイス・ハミルトン(メルセデス)
メキシコGP決勝=1位/アメリカGP決勝=2位

2019年F1第19戦アメリカGP決勝 ルイス・ハミルトン(メルセデス)
2019年F1第19戦アメリカGP決勝 ルイス・ハミルトン(メルセデス)

 六冠達成を祝し『シックス・スター』を捧げる──。数々の記録がとり上げられているが個人的には(1)19戦全周回走破、(2)31戦連続入賞(昨年第10戦から)、(3)ペナルティポイント最少1点、これらを評価したい。チャンピオンの確実性とある意味の安全性、さらにフェアプレーをも表すものだ。

 振り返れば今シーズン、何度か接触に巻き込まれているがそのきっかけにはなっていない。ぎりぎりのところで身を引く勇気と自信、王者はひとつのコーナーの勝負におぼれず、305kmの先を見据えて戦うものだ。『ハミルトン2019』――象徴するような中北米2連戦のフィナーレ。

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2019/11/08

松崎淳シニアエンジニア インタビュー:タイヤ戦略的にもギリギリだった2連戦「チェコの頑張りが本当に大きい」/F1アメリカGP

 毎レース接近した戦いを繰り広げる中団グループの中にあって、レーシングポイントがじりじりと本来の力を発揮しつつある。夏休み明けのベルギーGP以降は、シンガポールGPを除く7戦中6戦に入賞。特に直近の北米2連戦では、18戦メキシコGPでセルジオ・ペレスが中団勢ベストの7位、第19戦アメリカGPもピットレーンスタートから10位入賞を果たした。

 その結果チームはトロロッソ・ホンダを抜いて、選手権6位に浮上。タイヤ戦略が大きな鍵を握ったこの2連戦の戦いを、松崎淳シニアエンジニアが振り返った。

2019年F1第19戦アメリカGP セルジオ・ペレスとランス・ストロールのチームメイトバトル
2019年F1第19戦アメリカGP セルジオ・ペレスとランス・ストロールのチームメイトバトル

──メキシコ、アメリカの2連戦は、レーシングポイントにとってどんなレースでしたか。
松崎シニアエンジニア:
両方とも、チェコ(セルジオ・ペレス)が本当に頑張ってくれました。

──タイヤ戦略的にも、会心のレースでしたか?
松崎シニアエンジニア:
いえいえ、ギリギリでしたよ。

──アメリカはメキシコ以上に、タイヤに厳しいレースという事前予想でした。
松崎シニアエンジニア:
ほぼその印象のままでしたね。正直、どこまで行けるかわかりませんでした。でもピットレーンスタートから、何とか入賞までこぎ着けました。チェコの頑張りが、本当に大きかったですね。

 ランス(ストロール)も乗れていて、いい感じだった。でも1コーナーでぶつけられて、フロントウイングにダメージを負ったのが痛かった。それでリヤのダウンフォースが減ったせいもあると思いますが、バンプに乗って飛び出してしまった。1周目は2台とも、ほぼ最後尾でした。欲を言えば、キリがありません。

──メキシコではきっちり50周をハードで走り切って、中団勢ベストの7位入賞を果たしました。
松崎シニアエンジニア:ヒヤヒヤでした。でもあそこまで行ったら、走り切るしかない。タイヤ的には、まだまだ急激にグリップを失う状態ではなかったですが。

──いっぽうのアメリカは、メキシコとはまったく状況が違っていましたか?
松崎シニアエンジニア:
今回もベースラインは、そんなに違っていない。ただデグラデーションは、思ったより大きかったですね。

──初日フリー走行時に比べてということですか。
松崎シニアエンジニア:
ええ。あとは今年これまでの金曜日のデータを基に、日曜日のコンディションを想定するわけですけど、そのデータと比べてですね。最後は完全に性能が落ち切ってはいなかったんですが、後ろから来る速いクルマを抑え切れるほどではなかった。

■F1アメリカGPでのバンプの影響は?

2019年F1第19戦アメリカGP セルジオ・ペレス(レーシングポイント)、アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)
2019年F1第19戦アメリカGP セルジオ・ペレス(レーシングポイント)、アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)

──アメリカのレースは1回ストップと2回ストップ、結果的にどちらが正解だったのでしょう?
松崎シニアエンジニア:
スタートする位置にもよりますけど、普通のグリッドからだったら2回だったかもしれません。それはこれから、戦略担当エンジニアたちと分析してみます。

──路面温度の上昇が、戦略やタイヤの持ちにも影響しましたか?
松崎シニアエンジニア:
温度というよりも、グリップ変化ですね。路面温度は25~26℃から、32℃に上がっただけですから、タイヤへの影響は大したことはありません。

──今年の路面は、いつも以上にバンプがひどかったです。メカニカルグリップ的に、特別な対応をせざるをえなかった?
松崎シニアエンジニア:
うちのチームでは、そこまでの余裕はとてもありませんでした(苦笑)。1周走って来て(状態を把握して)、あるもので調整するしかない。でもそれだけではやはり厳しくて、ランスがレース中に飛び出したりした。あれは、バンプが原因でした。

──このサーキットは3日間の路面コンディションの改善代が、それほど大きくないと聞いていました。しかしQ1では急激にラップタイムが伸びて、それに戸惑ったチームも少なくなかったようです。
松崎シニアエンジニア:
そうですか。うちとしては、ほぼ予想通りでしたよ。しっかり作動温度域に入れてあげれば、あとはドライバーがしっかりやるだけですから。とはいえ初日の2回のセッションは、かなり寒かったですね。

──そこから予選、レースと、どんどん暖かくなっていきました。
松崎シニアエンジニア:
ええ。でも先ほど言ったように、路面温度自体はそれほど急激に上がったわけではありません。

■タイヤのテストでも一歩先をいくメルセデス

──2020年タイヤは、どんな感触を持ちましたか?
松崎シニアエンジニア:
まだちゃんと、比較するまでは行きませんでした。クルマとドライバーのウォームアップに、使わせてもらった程度です。

──ここで少しぐらい走っても、有益なデータは取れないですか?
松崎シニアエンジニア:
パッと乗って、(現行タイヤと)すぐに差が出るくらいなら話は別ですが。アブダビでちゃんとしたタイヤテストをしないと、実際のところはわからないですね。

──メルセデスは2台が分担して、前後に気流センサーをつけて走っていました。
松崎シニアエンジニア:
もうタイトル決めてますからね。つまり強いチームは、いつも一歩先を行けるということですね。ここで取ったデータで、アブダビ用の準備ができる。一方でわれわれプライベーターは、そこまでの余裕はとてもない。彼らに追い付くのは、果てしなく遠い道のりです。

──資金的には楽になったとはいえ、マシン開発はなかなか順調には行っていないということでしょうか。やはり、空力ですか?
松崎シニアエンジニア:
全体的な問題ですね。今年の中団グループの戦いは、例年以上に厳しいですし。マクラーレンだけでなく、ルノーもトロロッソも本当に速い。厳しい戦いが、これからも続くと思います。

2019/11/07

ロス・ブラウン、フェラーリF1不振の原因について推測を避ける「外部から説明するのは難しい」

 F1のスポーツ担当マネージングディレクターを務めるロス・ブラウンは、F1第19戦アメリカGPで奇妙にも精彩を欠いたフェラーリのパフォーマンスについて、憶測の輪に加わるつもりはないと語った。

 サマーブレイク後のフェラーリは、優れたエンジンパワーとトップスピード、タイトなコーナーでのハンドリングの改善が相まって絶好調にあった。

 しかしアメリカGPの舞台であるサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)ではそのアドバンテージが突如として消えてしまったようだ。シャルル・ルクレールは4位でフィニッシュし、セバスチャン・ベッテルはサスペンショントラブルのためレース序盤にリタイアした。

 一方メルセデスはワンツーフィニッシュをを飾り、ルイス・ハミルトンは6度目のタイトルを獲得した。

「フェラーリのドライバーが表彰台にいないのはバルセロナ以来だ」とブラウンは語った。

「サマーブレイクから、フェラーリは突破口を開いたかに見えた。ポールポジションを6回獲得し3度の優勝を挙げたのだ」

「だがアメリカGPは時計を6カ月前に戻してしまった。フェラーリは後退した」

「予選はそれほどでもなかった。ベッテルはボッタスよりたった0.012秒遅かっただけだ。だがレースでは間違いなく後退していた。ルクレールはボッタスより52秒も遅れてフィニッシュしたのだ」

「ルクレールはミディアムタイヤでの第1スティントで特に苦戦しており、首位に約1秒遅れで走行していた。ハードタイヤに変えると、ルクレールはより競争力を発揮できるようになったが、表彰台を賭けての戦いのチャンスはとっくに失われていた」

 オースティンにおけるフェラーリの突然の不振は、ライバルチームの質問に対してFIAが発行した新たな技術指令書に関連があるのではないかとパドック内で噂がささやかれていた。

 質問書では、フェラーリがルールに準拠しながらも、エンジンパワーのアドバンテージを得るために、F1のエンジンの燃料流量レギュレーションの抜け穴を利用している可能性とその方法について問い合わせがあった。

「外部からはパフォーマンス不振について説明するのは難しいし、私は燃料流量の計測に関する最新のFIA技術指令書について推測することははっきりと控えたい」とブラウンは反論した。

「明確なことは、フェラーリが特にタイヤマネジメントの点で苦戦したということだ。タイヤを保たせるというよりは、適切に機能させることに苦戦していたのだ」

「週末を通じてコースのコンディションが大きく変わったのは事実であり、気温も極めて高くなった。しかしメルセデスとレッドブルがそうしたコンディションの変化へ順応するために、より優れた仕事をしたことも同様に事実だ」

「マラネロではこの数日で多くのことが行われる。分析し、見直しが行われ、対策が取られる。特にこうしたことは来年にも役立つだろう」

2019/11/07

【F1アメリカGP無線レビュー】「このバランスでは妥協を強いられる」フェルスタッペン、善戦も0.854秒及ばず

 2019年F1第19戦アメリカGPでは、逆転優勝を狙い1ストップ作戦を採ったルイス・ハミルトン(メルセデス)と、予定通り2ストップ作戦を実行したマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)の2位争いがレース終盤まで続いた。両者が限界ギリギリのところで争っていたバトルを、無線とともに振り返る。

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 3番グリッドのフェルスタッペンは、スタートでフェラーリを抜いて2番手に浮上した。しかし前を行くバルテリ・ボッタス(メルセデス)と僅かに接触しフロントウイング翼端板にダメージを負った。

フェルスタッペン:ウイングをチェックしてくれ

レッドブル:了解。モード7、ストラット8

 なんとかボッタスについていこうとするフェルスタッペンだったが、逆に後方のハミルトンからプレッシャーを受けることになった。

2019年F1第19戦アメリカGP
フェルスタッペンの背後に迫るハミルトン

レッドブル:モード6に戻せ。前後のギャップはコンシステントになってきた。ハミルトンの後方7.5秒にルクレールだ

フェルスタッペン:彼がDRS圏内かどうかを教えてくれ

 10周目にはハミルトンの姿が背後に見え、タイヤのグリップ低下も進んできた。実際にはフロントウイングよりもリヤタイヤ前のフロアのダメージの方が大きく、リヤのダウンフォースが抜けてバランスが前寄りになっていることはチームもテレメトリーデータで把握していた。

フェルスタッペン:高速コーナーでニュートラルになってきた

レッドブル:ダメージのせいでバランスシフトして前寄りになっているからだ。ハミルトンがバックストレートでDRS圏内だ

フェルスタッペン:このバランスでは妥協を強いられるよ

レッドブル:ハミルトンがDRS圏内。エンジン8ポジション8。少しだけパフォーマンスが向上するよ

 ウイングのフラップ調整によるバランスの改善という意味も含めてレッドブルはフェルスタッペンを13周目に早々にピットインさせた。後方のフェラーリのペースが遅く3番手以下に下がることはなさそうだったため、当初の予定通りアグレッシブな2ストップ作戦を採った。

 翌周ピットインしたボッタスにはアンダーカットを封じられ、コース上での追い抜きは難しそうだった。ということはステイアウトして第1スティントを引っ張り続ける1ストップ作戦のハミルトンとの戦いになる。

レッドブル:ハミルトンは1分41秒7。1ストップ作戦だと思われる。モード7

 フェルスタッペンもボッタスのペースにはついていけないと感じており、照準をハミルトンに絞っていた。

フェルスタッペン:ハミルトンのペースは?

レッドブル:40.9

フェルスタッペン:今のところボッタスは僕より少し速い。あのペースでは走れないよ

 24周目にハミルトンがピットインし、やはり1ストップ作戦を敢行してきた。タイヤのライフ的にはややギリギリだが、ハミルトンとしてはボッタスを逆転し優勝するためにこの可能性に賭けたわけだ。

2019年F1第19戦アメリカGP決勝 ルイス・ハミルトン(メルセデス)
2019年F1第19戦アメリカGP決勝 ルイス・ハミルトン(メルセデス)

メルセデス:残り32周。ここから最後まで走る。最後はフェルスタッペンとギリギリの争いになる。フェルスタッペンとは16秒、ボッタスとは21秒だ。1ストップで走り切るのはクリティカルだ。このラップタイムで走れば勝てるが、重要なのはこのタイヤを最後まで保たせることだ

 ボッタスについていけず7秒のギャップを広げられたフェルスタッペンは、30周目を過ぎる頃にはハードのリアタイヤもダメになりつつあった。依然として空力バランスは前寄りで、さらなるフラップ調整が必要だった。

フェルスタッペン:全然ターンインしていかない。もうタイヤが終わっているよ

レッドブル:デフスイッチを使え

フェルスタッペン:ターン16〜17がガスティ(突風が吹いている状態)だ。タイヤに苦しみ始めたよ。レーシングポイント(ランス・ストロール)と同じラップタイムだ、抜くのに苦労している

レッドブル:彼はピットインしたばかりでソフトを履いているからだよ

フェルスタッペン:次のスティントはフロントウイングを下げてくれ。ターン2はもう全開で行けないよ

レッドブル:了解

 フェルスタッペンは34周目に2回目のピットストップを行い、再びミディアムタイヤに履き替えた。

 40周目を過ぎると前を行くハミルトンもフロントタイヤがタレ始め、ペースが鈍っていく。

フェルスタッペン:燃費はどう?

レッドブル:今のところOK。リフトオフはタイヤマネージメントのためだけだから君の判断でやってくれ。ターン17でリヤタイヤをケアし続けろ

 ピットストップ後は15秒あったハミルトンとのギャップが、47周目にはいよいよメインストレート1本分になって来た。

レッドブル:前のハミルトンが(ターン1の)丘の頂上にいる。残り10周だ。2台のメルセデス勢のギャップは急速に縮まっているぞ

 52周目にボッタスがハミルトンに追い付いて一気にパスし首位へ。フェルスタッペンもハミルトンを追うが、周回遅れに阻まれてなかなか差が縮まらない。もっとパワーをくれと懇願するフェルスタッペンだが、すでに使えるモードは使っていた。

フェルスタッペン:ガスリーに大きくタイムを失ったよ

レッドブル:OK、ハミルトンも同じだ

フェルスタッペン:これがフルパワー? フルパワーが必要だ

レッドブル:あぁ、今フルパワーだよ

 しかしハミルトンも追い付いてくるフェルスタッペンに対して全神経を集中させている。

メルセデス:フェルスタッペンとのギャップは2.9秒

ハミルトン:そんなの見りゃ分かるよ、集中させてくれ!

 残り数周というところでケビン・マグヌッセン(ハース)がバックストレートエンドでブレーキディスクを壊しグラベル上にストップ。これでダブルイエローがでてしまい、バックストレートエンドでの追い抜きが禁止となったばかりかDRSも使えなくなってしまった。

レッドブル:ターン12でダブルイエローが出ている。ターン1で抜く必要がある。そこでオーバーテイクボタンを使え

 最後の力を振り絞ってハミルトン攻略に賭けたフェルスタッペンだったが及ばず、最後は0.854秒差で3位フィニッシュとなった。

レッドブル:オーライ、不運だったが君は良くやったよ

フェルスタッペン:あぁ、バックマーカーで信じられないくらい大きくロスしたよ。でも良い結果だ。これだけ接近戦を演じることができたんだからね

クリスチャン・ホーナー:本当に良い結果だったよ。あと数周あれば抜けていたはずだ

レッドブル:1周目のダメージによるバランスシフトがなければもっと上に行けたはずだ

フェルスタッペン:後で詳しく説明するけど、全体的に彼らの方が少し速かったよ

 自身も久々に味わったメルセデスAMG勢との僅差のトップ争いに手応えを感じながらも、同時にメルセデスAMGの速さは認めざるを得なかった。それはコクピットで戦っていたフェルスタッペン自身が最も正確に感じ取っていたことだった。

2019年F1第19戦アメリカGP 3位マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)と2位のルイス・ハミルトン(メルセデス)
2019年F1第19戦アメリカGP 3位マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)と2位のルイス・ハミルトン(メルセデス)

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2019/11/07

F1アメリカGPで予選低迷のハミルトン、マシントラブルに見舞われていたことが判明

 メルセデスF1チームは、第19戦アメリカGP予選でルイス・ハミルトンが速さを示せなかった理由を明らかにした。

 チームメイトのバルテリ・ボッタスはポールポジションを獲得したものの、ハミルトンは予選5番手に終わった。レース後、モータースポーツストラテジーディレクターのジェームズ・ボウルズは、ハミルトンのマシンのステアリングホイールに問題が発生していたと明かした。

「Q1とQ2ではバルテリとルイスは上位で互角のタイムを出していた。だがQ3になるとルイスは5番手にポジションを落とした」とボウルズは語る。

「右手の下に、エンジンブレーキングの調整を行う小さなロータリー(ダイヤル)がある。通常ではその上にカバーが取り付けられているのだが、走行中にそれが外れてしまった」

「そのラップの間、ステアリングホイールを回すたびに、エンジンブレーキングの変更がなされてしまった。そのため、ラップ終盤のパフォーマンスが低下したのだ」

「1回目のランはその問題の影響を受けた。メカニックはマシンがピットに戻ってくるとすぐに問題に気付いたが、2回目のランでは、路面がタイムが出づらいコンディションになってしまった」

 その時点ではハミルトンは問題が発生していたことに気付かず、自分自身のパフォーマンスがよくなかったのだと発言していた。

 ハミルトンは決勝で挽回し、2位を獲得、自身6度目のF1タイトルを確定させた。

2019年F1第19戦アメリカGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)が6度目のタイトルを獲得
2019年F1第19戦アメリカGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)が6度目のタイトルを獲得

2019/11/06

レッドブルF1代表、最後尾から追い上げ5位入賞のアルボンを絶賛「16回もオーバーテイクをした」

 レッドブル・ホンダのチーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーは、F1第19戦アメリカGPの決勝レースで印象的な走りを見せ、一時は最後尾を走りながらも5位に入賞したアレクサンダー・アルボンを絶賛している。

 アメリカGPの決勝レースを6番手からスタートしたアルボンは、トラブルなく1コーナーに向かった。ところが1コーナーの出口では、左にシャルル・ルクレール(フェラーリ)、右にカルロス・サインツJr.(マクラーレン)と、アルボンは2台に挟まれてしまった。

 アルボンはサインツJr.と接触し、その影響で両者はコース外へ。2台ともコースへ復帰したものの、アルボンはピットインを余儀なくされ、フロントウイングを交換して最後尾で隊列に戻った。

2019年F1第19戦アメリカGP スタートシーン
2019年F1第19戦アメリカGP スタート直後にアルボンとサインツJr.が接触

 しかしその後のスティントでは巧みな走りでポジションを上げ、最終的にはまさにその走りにふさわしい5位に入賞。アルボンは見事ドライバー・オブ・ザ・デイに選ばれた。

「アレックス(アルボンの愛称)は素晴らしい仕事をした」とホーナーは語った。

「1コーナーでは不運で、彼は挟み撃ちの状態になってしまった。結局3ストップ作戦を採り、彼は上位に戻ってきた」

「彼は3回ほどカルロス・サインツJr.を抜いたと思う。今回は(トータルで)15回か16回のオーバーテイクをしただろうね!」

「力強いリカバリーだった。あなた方は、彼が(F1で)1年目だということを忘れているだろう。これまでの成長には本当に励まされている。彼にとってもポジティブな日だ」

 結局1コーナーでのサインツJr.との接触は、レーシングインシデントと判定された。フロントウイングを交換したアルボンだったが、彼はそのほかにもマシンのフロアにダメージを負っていた。

「僕たちはいいスタートを切った。ソフトタイヤを履いていたから、もちろんそれが役に立った」とアルボンは話した。

「ターン1の出口で、イン側にシャルルがいるのが見えた。基本的には、僕はできる限りシャルルに近づこうとした。というのもあのコーナーのアウト側でもっといいドライビングができそうだとわかっていたからね」

「僕はシャルルが(バルテリ)ボッタスの通ったアウト-インのラインを通ると予想していた。でも彼はそのラインを通らなかった。それで僕は挟まれてしまったのだと思う」

「誰にも責任はない。僕たちはフロントウイングにいくらかダメージを負い、フロアにもダメージがあった。僕は『さあ、今日は長い1日になりそうだ』という感じだったよ」

2019/11/06

不正のうわさに激怒するフェラーリF1代表、レース後、レッドブルに直接抗議

 F1アメリカGP後、フェラーリ代表マッティア・ビノットが、レッドブル・レーシング側の言動についてクリスチャン・ホーナー代表に直接抗議を行ったと報じられている。レッドブルは、FIAに対して技術規則について問い合わせを行ったが、それはフェラーリのシステムを念頭に置いての行動であると考えられている。また、決勝後にはマックス・フェルスタッペンがフェラーリが不正を行ってきたと示唆する発言を行った。

 レッドブルがFIAに対して燃料流量に関する規則の明確化を求め、FIAはそれを受けて、アメリカGPの土曜朝に技術指令書を発行した。レッドブルはフェラーリが違反を犯している可能性があるとの考えのもとに問い合わせを行ったと考えられており、FIAは指摘された行為は違反であるとの説明を行った。 

 サマーブレイク後に他を圧倒する速さを発揮してきたフェラーリだが、アメリカGP予選ではポールポジションに届かず、決勝ではセバスチャン・ベッテルがトラブルでリタイア、シャルル・ルクレールはトップから大差の4位に終わった。

 FIAのレース後記者会見で、フェラーリがアメリカで精彩を欠いたことに驚いたかと聞かれたフェルスタッペンは、「驚かないね。全然驚かない。あの書類が出た後だからね。それがすべてを物語っている」とコメントした。

 さらにオランダのテレビ番組Ziggo Sportに対しては「不正をやめたらああなる」と発言した。

 フェルスタッペンのこの発言に関し、ビノット代表はメディアに対して不快感を示していたが、実際にレッドブルに抗議に出向いたとも伝えられている。

 スペインのMotorlatは、レース直後にビノットがホーナーのもとを訪れた場面を目撃したと報じた。ふたりの雰囲気は緊迫していたという。

 Motorlatのヤクベク・ロペス記者は、レース後、レッドブルのホスピタリティの外に立っていたところ、ビノットが登場、ホーナーがメディアとの話を終えるのを待って、ホスピタリティに入っていったと伝えている。ビノットはホーナーに対して不満を訴えており、ロペス記者には法的措置に関し警告する言葉が聞こえたということだ。

■「フェラーリはやましいことは一切していない」とビノットは強調

 このところライバルたちがフェラーリのパワーユニット関連にレギュレーション違反があるのではないかとの疑いの目を向けていることについて、ビノットはオースティンで次のように語っていた。

2019年F1アメリカGPでのシャルル・ルクレール(フェラーリ)
2019年F1アメリカGPでのシャルル・ルクレール(フェラーリ)

「こういったうわさには腹立たしい思いをしている。過去にパワーユニットにおいて大きなアドバンテージを得たマニュファクチャラーがいたとき、我々フェラーリがしたことは、単純に自分たちのパッケージを改善するために努力することだった。我々はライバルが不正を行ったと非難したことはない」

「現時点でコーナーではライバルたちの方が速いが、我々はそれを不正によるものだと非難したりしない。彼らが自分の仕事に集中し、自分自身のマシンを改善することに集中してくれればありがたい」

「我々は自分たちがしていることを正確に理解しているので、何も心配していない。我々はレギュレーションに則って行動している。FIAは毎戦パッケージをチェックしている。入手可能なすべてのデータを検査しているのだ」

「FIAが、我々のパッケージは合法であり、不正を行ってはいないと、皆に対して明確にしてくれるだろう」

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2019/11/06

史上最も成功したふたりのF1ドライバー、ハミルトンとシューマッハーのデータ比較

 F1世界選手権を勝つことにかけては、史上最も成功したふたりのドライバーがいる。それはもちろん7度タイトルを勝ち取った記録を持つミハエル・シューマッハーと、6度目のタイトルを獲得したばかりのルイス・ハミルトンだ。このふたりの偉大なドライバーの記録を比べてみることは興味深い。 

 もちろん、ハミルトンの方が少なくともあと数年はレースをすることになるので、第19戦アメリカGP時点の彼の勝利数、ポールポジション獲得回数、チャンピオンシップ数の合計を加えることにしよう。

 シューマッハーの素晴らしい記録はやや偏っている。なぜなら彼は2006年末に1度引退し、2010年にF1に復帰して、メルセデスで不振の3年間を送ったからだ。

2004年に7度目のワールドチャンピオンに輝いたミハエル・シューマッハー
2004年に7度目のワールドチャンピオンに輝いたミハエル・シューマッハー

ハミルトン シューマッハー
タイトル数 6 7
レース優勝回数 83 91
レース出走数 248 307
表彰台登壇回数 150 155
ポールポジション獲得数 87 68
フロントロースタート回数 144 116
ファステストラップ回数 46 77
リードしたレース回数 145 142
最初のポールポジションまでのレース数 5 41
最初の優勝までのレース数 6 18
シーズン最多優勝数 11 13
連続勝利数 5 7
連続表彰台登壇数 16 19
連続得点回数 33 24
最初のタイトル獲得年齢 23 25
2度目のタイトル獲得年齢  29 26
3度目のタイトル獲得年齢 30 31
4度目のタイトル獲得年齢 32 32
5度目のタイトル獲得年齢 33 33
6度目のタイトル獲得年齢 34 34
2019年F1第19戦アメリカGP決勝 ルイス・ハミルトン(メルセデス)
2019年F1第19戦アメリカGP決勝 ルイス・ハミルトン(メルセデス)

2019/11/06

F1 Topic:技術指令書がフェラーリ失速の原因とするのはまだ早計。トップ3チームの各セクター最高速を比較

 2019年F1第19戦アメリカGPのパドックで土曜日から話題を集めていたのが、レッドブルがFIAに確認を依頼した燃料流量に関する『技術的指南の解釈』についてだった。

 レギュレーションでは『1時間に100kgを超えてはならない』と規定されている。ただし、その計測は連続的にではなく、間隔を置いて断続的に測定されている。そのため、レッドブルのチーフエンジニアであるポール・モナハンは『測定されていないタイミングで多くの燃料を流入させた場合の合法性』について何度かFIAに確認を行っていた。その回答がアメリカGPの土曜日の朝にFIAからあり、それは違法だという結論だった。

右:レッドブルのチーフエンジニアであるポール・モナハン
右:レッドブルのチーフエンジニアであるポール・モナハン

 すると、その日の午後にサーキット・オブ・ジ・アメリカで行われた予選でフェラーリの驚異的な速さは姿を消し、メルセデスのバルテリ・ボッタスがポールポジションを獲得した。フェラーリがポールポジションを逃したのは第13戦ベルギーGP以降、初めてのこと(第18戦メキシコGPは予選2番手から繰り上がり)。連続ポールポジション記録は6でストップした。

 予選戦後、メルセデスのトト・ウォルフ代表は「われわれにとっては、7月のドイツGP以来のポールポジションだ」と喜び、ルイス・ハミルトンは、「今日のフェラーリは明らかに少しパワーを失っていたと思う。明日のレースがどうなるか見てみよう」と含み笑いを浮かべていた。

 果たして、フェラーリは日曜日のレースでも失速。シャルル・ルクレールが4位に終わった。フェラーリが表彰台を逃したのは第5戦スペインGP以来。しかも、3位のマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)に47秒以上の差をつけられ、メルセデス、レッドブル・ホンダの2強に完敗した。

 直後に行われたFIAの会見で、そのことを尋ねられたフェルスタッペンは、「フェラーリの失速についてはまったく驚いていない。なぜかって?(FIAが出した)書類(技術指令書)を見たから。それがすべてを物語っている」と笑った。

■トップ3チームのセクタースピードを比較

 だが、フェラーリのマティア・ビノット代表は即座に否定。ルクレールも「彼はチームの一員じゃないから、何もわかっていない」と反論した。

2019年F1第19戦アメリカGP 右:フェラーリ代表のマティア・ビノット
2019年F1第19戦アメリカGP 右:フェラーリ代表のマティア・ビノット

 そこで、レース中のフェラーリの分析してみた。すると驚くべきことに、最高速はルクレールが13位(時速321.5km)、セバスチャン・ベッテルも16位(時速319.9km)だった。トップ3チームでは後方から追い上げてきたレッドブル・ホンダのアレクサンダー・アルボンが最も速い時速328.7kmを記録。

 優勝したボッタスは10位(時速324.1km)、フェルスタッペンも11位(時速323.6km)とフェラーリを上回った。もちろん、レース中の最高速はトウ(スリップストリーム)をどれだけ活用したかによって大きく変動するため、正確な数字ではないが、1ストップだったハミルトン以外のメルセデスとレッドブル・ホンダの3人がフェラーリよりもいずれも速かったことは事実である。

 しかし、これだけを見て、フェラーリの失速がFIAが出した技術指令書によるものだと断定することはできない。なぜなら、フェラーリは各セクターの通過地点ではメルセデス、レッドブル・ホンダを凌ぐ速さをサーキット・オブ・ジ・アメリカで披露していたからだ。以下が各セクターの通過地点の最高速だ(序盤にリタイアしたベッテルを除く)。

■セクター1(ターン7の55m手前)
1位 ルクレール(時速231.5.3km)
2位 ボッタス(時速226km)
3位 アルボン(時速225km)
4位 フェルスタッペン(時速223.4km)
5位 ハミルトン(時速221.4km)

■セクター2(ターン13の65m手前)
1位 ボッタス(時速193.6km)
2位 ルクレール(時速192.2km)
10位 ハミルトン(時速189.3km)
12位 フェルスタッペン(時速187.8km)
15位 アルボン(時速187.1km)

■フィニッシュライン
1位 ルクレール(時速217.3km)
2位 ボッタス(時速213.1km)
5位 アルボン(時速212km)
9位 フェルスタッペン(時速211.1km)
10位 ハミルトン(時速210.3km)

 各セクターの通過時のスピードは、いかに直前のコーナーを速く脱出しているかにかかっており、それはすなわち、そのマシンがどれだけダウンフォースをつけているかを表していると考えていい。つまり、アメリカGPでフェラーリはかなりダウンフォースをつけた仕様でレースを戦っていたことになる。そのため、サーキット・オブ・ジ・アメリカでのストレートスピードの失速が、FIAが出した技術指令書の影響があったからだと断定するのは、現時点では早計だろう。

 ただし、それをもって、フェラーリが燃料流量でトリックは行なっていないと結論付けるつもりもない。引き続き、推移を注視したい。

2019/11/06

圧倒的な強さで弱みを見せなかったハミルトンが心中を吐露「調子が悪いときでも常に自分を励ましていた」

 今や6度もF1世界チャンピオンとなったドライバーには、不安など感じることはほとんどないと思うだろう。しかしルイス・ハミルトンは、私生活において、“内なる敵”と戦っているのだと明かした。

「毎年、目的地に到達するには違った感情のジェットコースターに乗ることになる」とハミルトンはアメリカGPで2位になり、6度目のF1世界タイトルを獲得した後に語った。「僕たちはひとりひとり、誰もが人生で何かと戦っているんだ。それが大きかろうが小さかろうがね」

「僕は外見からは常に立派に見えているかもしれないけれど、実はそうではないんだ。僕も多くのあらゆる物事や内なる敵と戦っている。そうして確実に人間として成長しようとしているんだ。昨日は僕にとって試練の日だったけど、今日は思うようなレースができたと思うよ。レースにとても満足している」

 ハミルトンの言う“昨日”とは土曜日の予選のことで、チームメイトのバルテリ・ボッタスがポールポジションを獲得したいっぽうで自身は5番グリッドになったことだ。しかし翌日のレースでは状況が好転した。

 今シーズンこれほどまでの成功を収めたハミルトンが、内なる敵と戦っているというのはおかしな話に聞こえる。彼はそのことについてどう説明するだろう?

「毎日鏡を見ると、調子の良い日でも悪い日でも、理由はどうであれ常に暗い側面が自分を引きずり降ろそうとしてくるんだ。だからいつも目を覚ましていなければならない」

「僕は鏡を見ると、自分の気持ちを上げるようにしている。『よし、僕ならできる。僕は素晴らしい。進んでいけばうまくいって自分はタイムを出せる。正しい手順を踏んで自分を信じ続ければ、このレースに勝てる。他の誰も自分のためにそうはしてくれないのだから』とね」

「だから、つまり常に自分を励ますんだ。今年ニキ(ラウダ)を失って、これほど衝撃を受けるとは思っても見なかった。本当に動揺したし、今日も彼のことを本当に懐かしく思っている。彼のことをどれだけ尊敬していたか気づいていなかったんだ。僕たちにとって厳しい出来事だったけど、最終的に重要な点となった」

「それに僕たちは若手をスパ・フランコルシャンで失った。(ベルギーGPの週末にFIA-F2の事故でアントワーヌ・ユベールが亡くなった)テレビで見たよ。事故の様子をね。あのようなことが起きると、心の中に多くの疑問が湧いてしまう。そしてそうした考えと戦うんだ。そしてオーケー、もうやめるべきだ、と考えるタイミングが来るかもしれない。もしくは前に進むべきだとね。この後にも人生には多くのものがあるのだから」

「今も自分の家族との時間を取りたいし、いつかは自分の家族を持ちたい。そうしてまったく違うこともやりたい。でも今の僕にはやるべきことがある。自分がやっていることを本当に愛しているし、そういう意味で僕を止められるものはそう多くないと思うよ」

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2019/11/06

ベッテル、ハミルトンのもとを訪れ6度目のF1タイトル獲得を祝福。「その偉業に値するドライバー。皆が称えるべき」

 フェラーリのセバスチャン・ベッテルは、F1第19戦アメリカGPの決勝レース終了後、6度目の世界タイトル獲得を決めたメルセデスのルイス・ハミルトンを祝意を伝えるためにクールダウン・ルームを訪れた。ベッテルは、ハミルトンはその偉業に値する素晴らしいドライバーだとして彼を称えた。

 アメリカGP決勝でのベッテルは、サスペンション破損のため早々にリタイアを喫したものの、ハミルトンの表彰に立ち会うためそのままコースに残った。

 ふたりの好敵手は、これまで互いに激しい戦いを繰り広げてきた。2017年のアゼルバイジャンGPのように、接触し互いを非難し合うようなこともあったが、それぞれの傑出した成績に対する相手への尊敬の気持ちを損なうことは決してなかった。

2019年F1ロシアGPでのハミルトンとベッテル
ハミルトンとベッテルは、常に互いを尊重し、相手の成果を称えてきた

「(記者の皆さんは)今こそ(ハミルトンについて)できるだけ多くの良いことを書くべきだと思う」と、ベッテルはオースティンで取材陣に対して語った。6度目のタイトル制覇を成し遂げたハミルトンは、偉大なミハエル・シューマッハーの持つ通算タイトル獲得数の記録まであとひとつに迫っている。

「タイトルを6度も獲得したのだから、その偉業に値するドライバーだ。彼にもそう伝えたよ」

 ベッテルにとって唯一悔やまれるのは、2019年シーズン中、自身がハミルトンとひんぱんに接戦を演じられなかったことだ。

「もちろん、彼のタイトル獲得は僕にとってもうれしいことだ。だけど、今年の僕たちが彼ともっと競い合えなかったことは残念だ。かなり後ろに取り残されてしまったからね」とベッテルは語った。

「それでも、彼がこれまで成し遂げてきたこと、今年成し遂げたこと、そして本当に強力な彼のチームに対して、敬意を表すべきだ」

「彼の成績を僕も喜びたい。自分たちの成績は喜べないものだけどね」

2019/11/06

【あなたは何しに?】元F1チャンピオンのマリオ・アンドレッティがホンダを激励

 F1シーズンを転戦していると、いろいろな人との出会いがある。今回は、サーキット・オブ・ジ・アメリカズのアンバサダーを務めているマリオ・アンドレッティを紹介する。
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 1978年のF1ワールドチャンピオンであり、インディカーでも4回のチャンピオンを獲得したマリオ・アンドレッティが、今年もF1第19戦アメリカGPが開催されたサーキット・オフ・ジ・アメリカを訪れていた。

2019年F1第19戦アメリカGP マリオ・アンドレッティ
2019年F1第19戦アメリカGP マリオ・アンドレッティ

 1940年生まれのマリオ・アンドレッティは2020年で80歳を迎えるが、F1だけでなく、インディ500、デイトナ500でチャンピオンを獲得した唯一のドライバーである生きる伝説は、79歳とは思えないほど元気だった。人気もいまだ衰えず、パドックに姿を現すと多くのファンに取り囲まれていたのが印象的だった。

 サーキット・オブ・ジ・アメリカズのアンバサダーを務めているマリオ・アンドレッティには、今回もうひとつアメリカGPを訪れた理由があった。それは、ピレリが行っている予選後のポールポジション・アワードのプレゼンター役だ。

 またマリオ・アンドレッティはサーキット・オフ・ジ・アメリカが完成した後、最初にコースをF1マシンで走行したドライバー。2012年にタイトルを獲得したロータス79で1周している。そのとき、すでに72歳だった。

2019年F1第19戦アメリカGP ポールポジション・アワードのプレゼンター役を努めたマリオ・アンドレッティ
2019年F1第19戦アメリカGP ポールポジション・アワードのプレゼンター役を努めたマリオ・アンドレッティ

 さらにインディ500のチャンピオンであるマリオ・アンドレッティは、インディ500期間中にインディアナポリス・モータースピードウェイで2シーターカーをドライブさせるなど、現役さながらの腕前を披露している。そのマリオ・アンドレッティがステアリングを握る2シーターカーに昨年のインディ500で招待されたのが、ホンダの山本雅史(マネージングディレクター/当時はモータースポーツ部長)だった。

 今回のアメリカGPのパドックで、約1年5カ月ぶりに山本MDと再会したマリオ・アンドレッティ。

2019年F1第19戦アメリカGP 元F1チャンピオンのマリオ・アンドレッティ、山本雅史マネー ジングディレクター
2019年F1第19戦アメリカGP 元F1チャンピオンのマリオ・アンドレッティ、山本雅史マネー ジングディレクター

「今年のホンダは調子が良さそうだね。これからも楽しみにしているよ」と山本MDの元を訪れ、ホンダへの激励も忘れていなかった。

 アメリカGPが復帰後、100レースとなったホンダF1。これは単なる通過点。目標であるチャンピオン獲得へ向けた戦いは、まだ続く。

2019/11/06

フェルスタッペン「フェラーリF1の不振は不正行為をやめたせい」と発言

 レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンは、F1第19戦アメリカGPにおけるフェラーリの不振には驚いていないと語り、土曜日にFIAから通達のあった技術指令書に準じて施した変更がパフォーマンスに影響したのだとほのめかした。

 フェラーリは、サマーブレイク終了後からライバルチームに監視の目を向けられていた。フェラーリのエンジンのパフォーマンス向上は何かしら違法な策が元になっているのではないかと疑われていたのだ。

 レッドブルはFIAに対し、エンジンの燃料流量を含む抜け穴が使われている可能性について意見を求めた。FIAはアメリカGPの予選日朝にオースティンで技術指令書を発行してこの件についての立場を明確にし、フェラーリが利用したのではないかと他チームが疑っている燃料流量スキームは違法であるとして、その理由を説明した。

 その後の予選で、奇妙なことに、フェラーリのペースは多くの人々が予想するレベルにはなかった。これについてメルセデスのルイス・ハミルトンは、フェラーリが予選時に「少々パワーを失っていた」と語っている。

 日曜日のレースにおいてもフェラーリのスピードは相対的に落ちており、シャルル・ルクレールはトップから大きく差をつけられての4位にとどまった。セバスチャン・ベッテルは8周を走った後にサスペンショントラブルを起こしてリタイアしている。

 フェラーリのアメリカGPでの不調について尋ねられたフェルスタッペンは、そのことに驚いてはいないと冗談を交えて語った。

「別に奇妙なことじゃない。あなた方はなぜだと思う? 自分で書くといいよ」

■フェルスタッペンの発言にフェラーリ勢が反論

 フェルスタッペンは、オランダの放送局『Ziggo Sport』に対してはより率直に意見を述べた。

「不正行為をやめると、そういうことになるんだ」

「このことは非常に注意深く観察されてきた。もちろんそういうことには目を配らなければならない」

 フェラーリのチーム代表を務めるマッティア・ビノットは、フェラーリのパワーユニットはいかなる技術レギュレーションにも違反していないと強く否定し、FIAにエンジンを調査するよう促しさえした。

 またルクレールは、フェルスタッペンのコメントに反論している。

「正直に言って、それはジョークにしか思えない」とルクレールは語った。

「彼にはなんの手がかりもないし、チームにいないんだからね。僕たちは自分たちがやっていることを完全に把握している。なぜ彼が話をしているのか分からないよ。彼は僕たちのことなど何も知らないのに」

2019年F1第19戦アメリカGP決勝 シャルル・ルクレール(フェラーリ)
2019年F1第19戦アメリカGP決勝 シャルル・ルクレール(フェラーリ)

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2019/11/05

F1 | ペンスキーの買収でインディアナポリスでのレース復活の可能性

F1は、近い将来、インディアナポリス・モーター・スピードウェイでのグランプリが復活する可能性がある。新たなオーナーとなったロジャー・ペンスキーは、F1や他のカテゴリーのレースの開催を検討することを認めている。 インディアナポリスは、2000年にF1アメリ... 続きを読む

2019/11/05

巧さを極めたハミルトン、2019年を象徴する走りで6冠達成【今宮純のF1アメリカGP分析】

 2019年F1第19戦アメリカGPは、メルセデスのルイス・ハミルトンがワールドチャンピオンを獲得。予選日の苦戦から一転、巧みな走りで2位表彰台へと登っていった。F1ジャーナリストの今宮純氏が週末のアメリカGPを振り返る。

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 達成感と虚脱感がまざりあったような表情のルイス・ハミルトン、いつもの表彰台とは違う自然な笑顔を見せた。喜びが顔のすみずみにまで満ちていた――。

 F1第19戦アメリカGP二番目のチェッカーフラッグが6冠王に振られた。チャンピオンの決め方としてここで勝って決めるのが王者にはふさわしいが、ハミルトンはバルテリ・ボッタスの4.148秒後だった。シーズン9度目のメルセデス・チーム『1-2フィニッシュ』、開幕5戦連続したあの強さを再び見せつけるかのように彼らは最強のフィナーレを飾った。

2019年F1第19戦アメリカGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)
2019年F1第19戦アメリカGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)

 いったいどうしたんだ。土曜フリー走行でハミルトンは金曜日より0.7秒も遅かった。ガレージに閉じこもりセッティングを変えてもタイムは上がらない。予選Q1では2番手にきたもののトップはマクラーレンの新人ランド・ノリス、“COTAマイスター”がルーキーに及ばない異常事態だ。

 Q2開始、ボッタスより先に出てアタックしたタイムが他のドライバーたちによって次々に破られていった。さらなるアタックが必要だ。ところが19コーナーでマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)ら3台と“渋滞”の混乱に、あわや接触という場面になった。

 彼らしくないプレーのまま結局ミディアムタイヤで4番手にとどまる。それでも5回PPを奪ってきたハミルトンなのだからQ3にはソフトで一撃を決めるだろうと思えたが、ダメだった。自己ベストセクター・タイムをそろえられず、昨年の新記録1分32秒327より遅い1分32秒321で5番手。前の4人がすべて新記録を更新、しかも僅差の0.108秒間にひしめきボッタスが5回目のPPを。強気顔などあまりしない彼がハミルトン4回を超えるPPに薄笑いを浮かべた。

 精査すればハミルトンは低速8コーナーが連なるセクター3が遅く、マクラーレンのサインツ以下の7番手。このエリアで絶対最速を誇っていた『ミスターCOTA』の失速は解せない。まったく意外だ。本人は「ラップをまとめられなかった」とルーキーみたいなコメント。見せ場もなくCS中継で流れたのもたった10秒だった。

 予選ワースト5番手は17年シンガポールGPを思い出させた。バンピー路面に手を焼きそれを言い訳にしたあのときのことを。今年のコース状態はまったくあのひどい凸凹にそっくりで、応急工事対策がなされたようだが点在するバンプは見るからに嫌らしい……。しかし、そのシンガポールGPで5番手スタートから最速ラップを叩きハミルトンは勝ってみせている。個人的な記憶の中でそれがよみがえった。

 タイトル・プレシャーに縮むような彼じゃない、5番手だろうと“レーシング・スイッチ”をONするか……。故ニキ・ラウダがそうだったようにハミルトンは土曜の夜、心をすべて入れ替えたのではないか。

■あっという間に反撃の“橋頭堡”を築いたハミルトン

 空間認識能力が冴えているのが『ハミルトン2019』の進化だろう。周囲の混戦を見極め、引くときと行くときの瞬間判断がすばらしい。それはカナダGP(対セバスチャン・ベッテル)でも、メキシコGP(対フェルスタッペン)でも何度も演じてきている。

 スタート加速はふつうだった。ユニークな坂上の1コーナーはラインが交錯する最初のデインジャラス・ポイント。それを熟知するハミルトンはベッテルとルクレールも奇妙な挙動をするのをすぐに察知。

2019年F1第19戦アメリカGP決勝レーススタート
2019年F1第19戦アメリカGP決勝レーススタート

 TV映像では分かりにくかったがベッテルは2コーナーが鈍く(軽いタッチかあるいはバンプのせいか)、すかさず高速S字で見抜きかわす。これで完全にスイッチON、ルクレールもさばき、危ない動きをするフェルスタッペンの背後に。3番手浮上、これからの反撃の“橋頭堡”をあっという間に築く、レースはここからだ。

 レース戦略面でこの日、金曜タイヤデータに固執するわけにはいかない路面コンディション変化がつづいていた。木曜朝の氷点下から日増しに温度が上昇、日曜には平年並みの20度以上へ。路面温度の微差でピレリタイヤは“性格”を一変する。

 あらためてここで言うと、6冠王はそのタイヤの使い方がとびきりうまい。前戦メキシコを欠席し、アメリカで戻って来た相棒のピーター・ボニントン担当エンジニアと、“生々しい”無線会話を反芻しながら上位陣でただ一人、1ストップに挑んだ。

 もうひとつ。6冠王は14年ハイブリッドPU時代になって、とくに“リフト&コースト”のスキルが絶妙だ。単純に言えば燃費とタイヤをそれでセーブしながら、次の局面にそなえる。そしてその滑走状態からコーナーに向かうと、得意なテクニックであるブレーキングを見せる。減速時のラインもポイントもずれずにぶれない。奥の奥へ『減速の細道』を精確にでなぞるのだ、そのためにフリー走行で何度かロックアップ、一見ミスに見えるが『細道』にトライしていくのだ。

 ハミルトンが勝って決られたのはV2の2014年とV3の2015年、あとは5位、9位、4位だっただけに今回のV6戴冠レース2位はいままでとやや違った。ちなみに4連覇のベッテルは2度だけ勝ち決めを達成し、7冠ミハエル・シューマッハーは4度やっている。2位での戴冠は2016年ニコ・ロズベルグと2006年フェルナンド・アロンソ以来となる。

──今年のハミルトンを象徴するような決め方、PPは今年少なくたった4回でも巧みな強さで11勝。ただ速さで押しまくるのではなく、巧さを極めた34歳の6冠王ハミルトン。そうシューマッハーも同じ年齢で6冠を達成している……。

2019年F1第19戦アメリカGP決勝 ルイス・ハミルトン(メルセデス)
2019年F1第19戦アメリカGP決勝 ルイス・ハミルトン(メルセデス)

2019年F1第19戦アメリカGP 2位でチェッカーを受けるルイス・ハミルトン(メルセデス)

2019/11/05

ピレリ、アメリカGPのタイヤに満足「広範囲に渡る戦略がみられたレースは我々が求めていたものだ」

2019 アメリカグランプリ 決勝
ボッタスが2ストップ戦略で優勝
1ストッパーのハミルトンは6度目のドライバーズタイトル獲得

2019年11月3日、オースティン

 メルセデスのバルテリ・ボッタスが2ストップ戦略でアメリカグランプリを制しました。また、1ストップ戦略を採ったチームメイトのルイス・ハミルトンは2位でフィニッシュし、自身6度目のドライバーズタイトルを獲得しました。

 例年同様、広範囲に渡る戦略がサーキット・オブ・ジ・アメリカズで展開され、レース終盤にはトップ3間で緊迫した戦略的な闘いが見られました。

■キーポイント

・ポールポジションからスタートしたボッタスは、2回目のピットストップ後、ハミルトンを追うかたちとなりました。その後、ボッタスはフレッシュなタイヤのアドバンテージを活かし、レース終盤トップに立ちました。

・ハミルトンは、トップ10グリッドでミディアムタイヤを装着してスタートしたドライバー中のひとりでした。ライバルたちよりも長いオープニングスティントを走行したハミルトンは、ハードへ交換する1ストップ戦略を採りました。この戦略には、完璧なタイヤマネジメントが必要でした。

・レッドブルのマックス・フェルスタッペンは、ボッタスと同様のミディアム~ハード~ミディアムと繋ぐ2ストップ戦略を採りましたが、ハミルトンを抜くことはできず、3位でフィニッシュしました。

・フェラーリのシャルル・ルクレールは、3種類のコンパウンドを使用した2ストップ戦略で4位フィニッシュしました。ルクレールは、ソフトタイヤを使用したファイナルスティントでファステストラップポイントを獲得しました。

・レッドブルのアレクサンダー・アルボンが5位を獲得しました。接触によってオープニングラップでのピットストップを余儀なくされたアルボンは、ただひとりの3ストッパーとなりました。

・トップ6で5種類の異なる戦略が使用され、アメリカグランプリにおける戦略の多様性が強調されました。

・昨日同様の温暖なコンディションがタイヤ動作に影響を及ぼし、硬めのコンパウンドが好まれる傾向となりました。

■各コンパウンドのパフォーマンス

・ハード C2:鍵を握るレースタイヤとなり、アルボン以外の全ドライバーがハードを使用しました。1ストッパーで優勝を狙ったハミルトンは、ハードタイヤによるファイナルスティントで32周を走行しました。

・ミディアム C3:4名を除く全ドライバーがミディアムを使用しました。また、トップ5グリッドのドライバーがミディアムでスタートしました。

・ソフト C4:ファステストラップを記録した4位のルクレールを含め、多くのドライバーが燃料の軽いファイナルスティントでソフトを使用しました。

ピレリ カーレーシング責任者 マリオ・イゾラのコメント

「1ストッパーで優勝を狙ったハミルトンと、フレッシュなタイヤで後を追うドライバーたちとの緊迫した闘いがレース終盤に見られました」

「ハミルトンは優勝できませんでしたが、戦略の重要性を示す見応えある闘いでした。スリリングなレースを経て、6度目のドライバーズタイトルを獲得したルイスを讃えたいと思います」

「また、ハミルトンと異なる戦略でレースを制したバルテリも祝福します。気温が低かった金曜日よりも温暖なコンディションとなったことで、硬めのコンパウンドを使用した1ストップもしくは2ストップの判断が難しくなったと思います」

「実際、表彰台中の2名が2ストッパーでした。上位から下位まで、終始広範囲に渡る戦略が見られました。これは、我々がまさに求めていたレースです」

2019年F1第19戦アメリカGP レースインフォグラフィックス
2019年F1第19戦アメリカGP レースインフォグラフィックス
2019年F1第19戦アメリカGP レースインフォグラフィックス
2019年F1第19戦アメリカGP レースインフォグラフィックス

■コンパウンド毎のラップタイム上位:
・ハードタイヤ
ルイス・ハミルトン:1分38秒446
バルテリ・ボッタス:1分38秒916
シャルル・ルクレール:1分39秒361

・ミディアムタイヤ
バルテリ・ボッタス:1分36秒957
ランド・ノリス:1分38秒074
マックス・フェルスタッペン:1分38秒214

・ソフトタイヤ
シャルル・ルクレール:1分36秒169
アレクサンダー・アルボン:1分38秒029
ニコ・ヒュルケンベルグ:1分38秒437

■最長スティント:
・ハードC2:
カルロス・サインツJr. 37Laps
・ミディアムC3:ロマン・グロージャン、ルイス・ハミルトン、セルジオ・ペレス 24Laps
・ソフトC4:ランス・ストロール 26Laps

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2019/11/05

クビサ「グリップ不足でバンプの対処が難しく、オイル漏れでリタイアを強いられた」:ウイリアムズ F1アメリカGP日曜

 F1第19戦アメリカGPの決勝レースが行われ、ウイリアムズのジョージ・ラッセルは17位、チームメイトのロバート・クビサはリタイアに終わった。

■ロキット・ウイリアムズ・レーシング
ジョージ・ラッセル 決勝=17位

2019年F1第19戦アメリカGP ジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)
ジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)

 いつも以上にトリッキーなレースだった。タイヤがオーバーヒートして、その後はグリップが落ちるという問題に苦しめられ、ドライブが難しかったんだ。仕方なく2度目のピットストップをすることにしたが、それ以降はブルーフラッグの連続で思うように走れなかった。

 ルイス・ハミルトン(メルセデス)に「6度目のドライバーズ・ワールドチャンピオン獲得、おめでとう」と言いたい。

ロバート・クビサ 決勝=リタイア
 ペースが良くなかったので、戦略を切り替えて早めにピットに入った。グリップ不足に苦しみ、特に燃料が重い状態では、バンプへの対処がすごく難しかった。リタイアを強いられたのは、ハイドロリック系のオイル漏れが起きたからだ。

 次のブラジルが楽しみだ。とても面白いサーキットだし、いい成績を残せればと思っている。

2019/11/05

ライコネン「クルマも良くなり最後まで戦えた。ポイント圏外は悔しい」:アルファロメオ F1アメリカGP日曜

 F1第19戦アメリカGPの決勝レースが行われ、アルファロメオのキミ・ライコネンは11位、チームメイトのアントニオ・ジョビナッツィは14位でレースを終えた。

■アルファロメオ・レーシング
キミ・ライコネン 決勝=11位
 今日のレースでは、ポジティブな面がいくつもあった。コンペティティブなレースをしながら、11位フィニッシュでポイント圏外というのは、悔しい結果ではあるけどね。スタートはとてもうまく行ったし、クルマはずいぶんと良くなって、最初から最後まで周囲と戦うことができた。

2019年F1第19戦アメリカGP キミ・ライコネン(アルファロメオ)
キミ・ライコネン(アルファロメオ)

アントニオ・ジョビナッツィ 決勝=14位

2019年F1第19戦アメリカGP アントニオ・ジョビナッツィ(アルファロメオ)
アントニオ・ジョビナッツィ(アルファロメオ)

 この週末は、チームとして進歩が見られたと思う。レースではポイントこそ獲れなかったものの、今後に向けては楽観的になれそうだ。ソフトに履き替えてからの方が良かったが、その時点ではもう大きく遅れすぎていて、好調さを生かすことができなかった。

 全体として進歩しつつあるので、ブラジルではもっと速くなっているといいね。

2019/11/05

マグヌッセン「ブレーキトラブルで終盤にストップ。グリップがなくてペースも悪く、全然速さがなかった」:ハース F1アメリカGP日曜

 F1アメリカGPの決勝レースが行われ、ハースのロマン・グロージャンは15位、チームメイトのケビン・マグヌッセンは18位でレースを終えた。

■ハースF1チーム
ロマン・グロージャン 決勝=15位

2019年F1第19戦アメリカGP決勝 ロマン・グロージャン(ハース)
2019年F1第19戦アメリカGP決勝 ロマン・グロージャン(ハース)

 トリッキーなレースだった。スタートを迎える前から、少しばかり厳しいレースになるであろうことは予想できた。残念なことにトップスピードが遅くて、レース序盤は相手が誰だろうと、まったくオーバーテイクができなかった。

 プランAはミディアムからソフトへ履き替える作戦だったので、ミディアムでできるだけ長くステイアウトしようと試みた。ところが、みんながピットに入る頃には、こちらのタイヤもダメになっていて、次々と抜かれてしまった。あの時点では、ラップタイムがとんでもなく遅くなっていたからね。

 後半はハードを選んだところ、そっちのタイヤではかなりいい感じで、バランスにもラップタイムにも満足できた。ただ、もう前との差は大きく開き、戦うチャンスはなくなっていた。

ケビン・マグヌッセン 決勝=18位
 終盤に止まってしまったのは、ブレーキに問題が起きたからだ。タフな一日だったよ。とにかくグリップもなければペースも悪くて、全然速くなかった。僕らが問題を抱えていることは誰の目にも明らかだが、いずれにしてもベストを尽くそうと努めた。

 1周目には9番手まで浮上できて楽しかった。でも、ペース不足はどうしようもなく、その後はズルズルと順位を下げる一方だった。そして、僕のレースはブレーキのトラブルで終わった。

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2019/11/05

ホンダ田辺TD決勝後インタビュー:「メルセデスとは実力差があった」/F1アメリカGP

 9月のF1第15戦シンガポールGP以来、マックス・フェルスタッペンが久々に表彰台に上がった第19戦アメリカGP。ドライバーズ選手権ではセバスチャン・ベッテルを抜いて、単独4位に浮上した。しかしホンダの田辺豊治テクニカルディレクターは、「メルセデスとは実力差があった」と、完敗を認める。とはいえフェラーリを含め、「上位2チームと、近いところでは戦えたかな」という認識も示した。

2019年F1第19戦アメリカGP決勝 アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)
2019年F1第19戦アメリカGP決勝 アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)

──久々の表彰台ですが、手放しでは喜べないですか?
田辺豊治テクニカルディレクター(以下、田辺TD):
全般的には、そうですね。まずホンダ車4台で見た時に、期待したような結果が出せなかった。そしてレッドブル・ホンダの対メルセデスでも、完全について行けない状況でした。

──力負けでしたか?
田辺TD:
そうですね。彼らは1ストップ、2ストップのふたつに作戦を分けてきたわけですが、その両方にやられてしまった。戦略的にどうこうというより、実力差があったかなと。最後はハミルトンを追いつめましたけど、やはり両チームの力の差が出てしまったという印象です。

──黄旗が出ていなければ、もしかしたらハミルトンを抜いて2位になっていたかもしれない。とはいえ、ハードでのペースは遅かったですね。
田辺TD:
残念ながら。

──いっぽうで、予選一発の速さは勇気づけられるものでしたか?
田辺TD:
全チームの実力が、ぐしゃっと接近しましたからね。

──外から見る限りでは、第18戦メキシコGPで予選トップタイム、今回もポールから僅差の3番手と、どんなコース特性のサーキットでも、速さは出せている印象なのですが。
田辺TD:
そんなに単純ではないと思います。残りブラジルとアブダビに行って、どうなるかですね。その都度答えが出てくると思いますが、絶対的に速いという答えにはならないでしょうね。年間を通して、「これは強い」という評価を得られるところまで行かないと。

──夏休み前はレッドブル・ホンダがぐんと伸びて、それが明けにはフェラーリが一気に速くなりました。そして今は三つ巴に見えます。田辺TDは、どのような印象ですか?
田辺TD:
三つ巴的にはなっていますが、ひとつのパックに3チームが入ってるというよりは、まだまだ上位2チームとは差はありますね。近いところでは、戦えたかなというところでしょうか。

──メキシコでは、「メルセデスとフェラーリにフタをされてたのが、ちょっと頭を出して息ができた感じ」と言ってました。今回の予選も、それに近かったのでは?
田辺TD:いえ。僅差とはいえ、2台にフタをされました。

──今回も、スタートはよかったですね。
田辺TD:
数字的なものはまだ見ていないですが、きれいなスタートができたと思います。今年いろいろ見えた課題を解決しつつやってきた。そのおかげで、今のところ安定しているかなと。

──フェルスタッペン自身は、「黄旗が出ていなければハミルトンを抜けていた」と言っています。同意見ですか?
田辺TD:そうですね。ただタイヤマネージメントも含め、全体的なチーム力でわれわれはまだまだ敵わないと思っています。

──最後にハミルトンの六度目のタイトル獲得について。
田辺TD:
本当に、凄いことです。おめでとうございます。強いですよね。チャンピオンを続けるのは、本当に難しいことです。新パワーユニット(PU/エンジン)が導入されて、そこで大きなアドバンテージを得た中でスタートを切れたという巡り合わせのよさももちろんあった。

 しかしライバルたちも必死に開発して追い付こうとしている中、その位置を守り切っているのは本当に素晴らしい。チームの首脳陣はみんなかつての仕事仲間ですが、みんないまだに「何かあったら即対応する。それは今も欠かさずやっているよ」と言っていました。そういう企業文化的なところ、そして優れたパワーユニット、車体、すべてが合わさって、この偉業を達成したのだと思います。

2019年F1第19戦アメリカGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)のF1グランプリ100戦目を祝うチーム
2019年F1第19戦アメリカGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)のF1グランプリ100戦目を祝うチーム

2019/11/05

ストロール「ギャンブルで2ストップ作戦に変更したが、タイヤが保たなかった」:レーシングポイント F1アメリカGP日曜

 2019年F1第19戦アメリカGPの決勝レースが行われ、レーシングポイントのランス・ストロールは13位に終わった。

■スポーツペサ・レーシングポイントF1チーム
ランス・ストロール 決勝=13位
 とても長い午後だった。あまりいいレースではなかったのは間違いない。悔しいことに、クルマのフィーリングは良くて、ポイント獲得を目指して戦う力はあったのに、流れが僕の方に向いていなかった。

 スタートが良くなかったことに加えて、ターン1で行き場がなくなりクルマにダメージを負った。さらに路面がひどくバンピーなターン2のアウト側でバンプをヒットし、スナップオーバーステアに見舞われて、大きく順位を落としたんだ。トラックポジションを考えて、チームはギャンブルに出て、戦略を2ストップにスイッチした。そして、第2スティントのペースは良かったものの、タイヤを終盤まで保たせることができなかった。残念だけど、まあこういう日もあるよ。ブラジルでの挽回を目指すしかない。

2019年F1第19戦アメリカGP決勝 セルジオ・ペレス、ランス・ストロール(レーシングポイント)
2019年F1第19戦アメリカGP決勝 セルジオ・ペレス、ランス・ストロール(レーシングポイント)

2019/11/05

F1第19戦アメリカGPのドライバー・オブ・ザ・デー&最速ピットストップ賞が発表

 F1第19戦アメリカGP決勝レースを観戦したファンの投票による『ドライバー・オブ・ザ・デー』と、最速ラップを叩き出したドライバーに贈られる『DHLファステストラップ・アワード』、最速のピットストップ作業を行ったチームに与えられる『DHLファステスト・ピットストップ・アワード』の受賞者が決定した。

 今回ドライバー・オブ・ザ・デーに選ばれたのは、レッドブル・ホンダのアレクサンダー・アルボン。予選で6番手につけたアルボンはスタート後の1コーナーでマクラーレンのカルロス・サインツJr.と交錯。その後1周目終了時にタイヤ交換のためにピットインを行い最後尾まで順位を下げてしまったが、オーバーテイクをしながら着実な追い上げをみせ、アメリカGPを5位でフィニッシュした。

『DHLファステストラップ・アワード』を受賞したのは、フェラーリのシャルル・ルクレール。ルクレールはメキシコGPに続いての受賞となり、レース中盤の44周目に1分36秒169というタイムを記録した。このタイムは2018年にメルセデスのルイス・ハミルトンが記録した1分37秒392というラップレコードを上回るものだった。

『DHLファステスト・ピットストップ・アワード』は、レッドブル・ホンダが獲得。2位にもマックス・フェルスタッペンが入り、レッドブル・ホンダがワンツーを獲得した。3位、4位にはレースを制したメルセデス勢が続いている。

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2019/11/05

F1第19戦アメリカGP決勝トップ10ドライバーコメント(2)

 2019年F1第19戦アメリカGPの決勝レースで5位~優勝のドライバーたちが日曜日を振り返った。

■アストンマーティン・レッドブル・レーシング
アレクサンダー・アルボン 決勝=5位

2019年F1第19戦アメリカGP日曜 アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)
2019年F1第19戦アメリカGP日曜 アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)

 アメリカでの初めての週末を楽しんで過ごせたよ。今日は最善を尽くして5位をつかんだ。スタート自体はよかったが、ターン1で残念な展開になった。その場面の録画を見直す必要はあるが、他のマシンに挟まれるようになって、行き場がなくなったと感じた。コーナーに3台並んで入っていくのはちょっと無理だよ!

 単なるレーシングインシデントで、誰も悪くないと思う。でもあの時に縁石を乗り越えなければならなくなって、フロアとフロントウイングが壊れてしまった。それでピットインして大量に時間を失い、レースが台無しになった。あれがなければ、ルクレールと4位争いができたかもしれない。

 ちょっとおかしなレースだったけれど、上位グループに戻るためにオーバーテイクを繰り返して走ったのは楽しかった。セーフティカーが出動せず、フロアにダメージを負った状態で走っていたことを考えれば、うまく挽回できたといっていいんじゃないかな。

■スクーデリア・フェラーリ
シャルル・ルクレール 決勝=4位

2019年F1第19戦アメリカGP決勝 シャルル・ルクレール(フェラーリ)
2019年F1第19戦アメリカGP決勝 シャルル・ルクレール(フェラーリ)

 本当にきついレースだった。ファーストスティントではフロントタイヤの感触がよくなかった。グリップを感じられなかったので、一体何が起きたのか調べる必要がある。

 その後の2スティントではましになったけれど、決して素晴らしいといえるレベルではなかった。ライバルたちは速すぎてついていくことができず、孤独なレースだった。その上、チームの一台がリタイアしたのも残念だ。

 タイトルを獲得したルイス(・ハミルトン)におめでとうと言いたい。彼は素晴らしいチャンピオンだ。この栄誉にふさわしい。

■アストンマーティン・レッドブル・レーシング
マックス・フェルスタッペン 決勝=3位

2019年F1第19戦アメリカGP 3位マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)と2位のルイス・ハミルトン(メルセデス)
2019年F1第19戦アメリカGP 3位マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)と2位のルイス・ハミルトン(メルセデス)

 チームにとってポジティブな週末だった。このタイプのトラックで3位を獲得できたのはうれしいことだ。
 
 最後の数周、イエローフラッグが出たのは痛かった。ストレートの後で追い抜くことができなかった。黄旗がなければ2位でフィニッシュできたと思う。

 レース後、フロアに大きな破損があることに気付いた。マシンにダメージがなければもっと競争力が高かったと思うと残念だ。

 いいスタートを決めて、バルテリについていこうとしたが、彼らの方がペースがよかった。それを思うと、彼から約5秒遅れでフィニッシュできたというのは素晴らしい結果といえるだろう。マシンにダメージがあったのだからなおさらだ。

 2回ストップは正しい戦略だった。僕らにとってそれが最速の戦略だから、別の形で戦うことはできなかったと思う。

 僕らはしっかり前進して、上位争いの場に戻ってきた。これからも楽ではないだろうが、絶対に諦めない。

 ルイスが6度目のタイトルを獲得したのは、もちろん素晴らしいことだ。安定して結果を残さなければ達成できないことであり、彼はその業績に値するドライバーだ。

(レース後記者会見で語り)今日は彼ら(メルセデス)の方が少しだけ速かった。何か起きたときのために遅れずについていこうと頑張った。いいレースをしたと思うよ。前のマシンが見える位置を走れたし、今日のペースは悪くなかった。

 終盤は、バックストレートでイエローフラッグが出ていたから、DRSが使えなかった。それがなければ今日は2位になれたと思う。でも3位表彰台も悪くない結果だよ。

 レース中、おかしなオーバーステアの症状に苦しんでいた。チームからはフロントウイングに小さなダメージがあるせいだと言われたけど、レース後にマシンを見てみたら、リヤタイヤ前の部分のフロアが大きく欠けていた。それがラップタイムにかなり影響していたはずだ。いつ壊れたのか分からないが、レースが開始してかなり早い段階で、おかしな挙動を感じていた。以前には感じたことのないものだ。

 そういう部分で少しツイてなかったけど、それでも表彰台というのは僕らにとって素晴らしい成果だと思う。

■メルセデス-AMG・ペトロナス・モータースポーツ
ルイス・ハミルトン 決勝=2位

2019年F1第19戦アメリカGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)が6度目のタイトルを獲得
2019年F1第19戦アメリカGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)が6度目のタイトルを獲得

 今の気持ちを表現するのは難しい。「至福」という表現でも足りない。もっとずっと大きな感情だ。

 記憶にあるなかで一番きつい一年を過ごしてきた。アップダウンがあって、とても苦労したから、今は胸がいっぱいで、感情を抑えきれない。ファクトリーの皆、ダイムラー・ファミリー、ペトロナスには心から感謝している。全員が懸命に取り組んできたからこそ、この結果を達成することができた。このチームとともに働き、今日のようなパフォーマンスを発揮するためのベースを用意してもらって、このチームで走れることは、光栄なことであり名誉に思う。

 そしてニキ(注:ラウダ。メルセデスのノンエグゼクティブチェアマンを務めたが、2019年5月20日に死去)がここにいてくれたらと心から思う。彼は僕らのことを誇りに思ってくれただろう。ニキがいなければ、この成果を達成することはできなかった。僕らの心のなかには今も彼がいる。

 レース後、両親に会って、父の笑顔を見ることができた。その表情がすべてを物語っている。家族はずっと僕を支えてきてくれた。今日ここにこうして立っているのは彼らのおかげだ。皆に来てもらえてうれしく思う。

 昨日は苦労したが、今日はとにかく挽回して、チームのために1-2を飾りたかった。素晴らしい仕事をしたバルテリを祝福したい。

(レース後記者会見で語り)今年はニキを失い、チームにとって今までないほどに厳しい年だった。彼はチームにとって重要なメンバーだったから、彼を失って僕らはひどく動揺したんだ。

 それにこのマシンは扱いが簡単ではない。開幕戦に臨む時、僕らはライバルたちにかなわないだろうと予想していた。シーズン後半戦も厳しくて、僕らチームにとってこれほどきつい後半戦は初めてだと思う。今年は本当に大変なチャレンジに立ち向かってきた。

バルテリ・ボッタス 決勝=1位

2019年F1第19戦アメリカGP バルテリ・ボッタス(メルセデス)が優勝
2019年F1第19戦アメリカGP バルテリ・ボッタス(メルセデス)が優勝

 最初にルイスに心からおめでとうと言いたい。6度のタイトル獲得というのはすごい成績だ。今年も力強いシーズンを送り、全体的に見て彼の方が優れていた。このタイトルにふさわしいよ。
 ルイスは手ごわいライバルだ。ほとんど弱点がなく、ミスも犯さず、安定した走りをする。でも僕もいい流れをつかみつつあるから、来年また激しく戦うことを楽しみにしている。

 僕にとってもチームにとっても素晴らしい週末だった。僕は去年までこのサーキットで苦労してきたから、今日、トップでチェッカーを受けることができて最高の気分だった。

 楽なレースではなかった。スタートはうまく決まり、ファーストスティントは順調だったが、(序盤2番手を走行した)マックス(・フェルスタッペン)をカバーするために2回ストップに変更しなければならなかった。ルイスの1回ストップの方がいい戦略なのではないかと心配したよ。

 正々堂々と戦い、楽しいバトルができた。かなりプッシュする必要があったが、ペースがとてもよかったので、終盤にルイスに追いつくことができた。いいバトルをして、彼をオーバーテイクし、優勝をつかんだ。全力で戦った末に勝つのは、本当に気分がいいね。

(レース後記者会見で語り)プランAは1回ストップだったが、マックスがかなり早めにピットインしたので、彼をカバーするために僕も2回ストップに変更した。1回ストップのルイスが心配だったが、自分のことに集中し、すべてのラップ、すべてのコーナーを完璧に走るよう心がけ、ロスを最小限に抑え、ゲインできるところは最大限にゲインしようとした。楽なレースではなかっただけに、勝つことができて本当にうれしい。

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